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2006年7月10日 (月)

モンタニー続投の意味

 SAF1は第11戦フランスGPで,引き続きフランク・モンタニーを起用するようだ。まだチームからの正式発表はないものの,すでに決定事項のようである。何しろモンタニーは,2004年にトヨタで走ったオリビエ・パニス以来のフランス人ドライバーでもあるし,ルノーテストドライバーからの下積みを重ねた苦労人でもある。そのモンタニーの地元GP起用は,本人にとってもフランス人ファンにとってもグッドニュースだろう。

 モンタニーをSAF1に推薦したのは,マネージング・ディレクターのダニエレ・オーデットである。オーデットはルノー時代にモンタニーと知り合い,その縁で彼を新興SAF1に紹介。バーレーン&マレーシアGPにはサードドライバーとしてチームに帯同させていた。オーストラリア&サンマリノGPでは一時的にチームを離れるが,井出有治の降板もあってヨーロッパGPで念願のF1デビューを果たした。井出の降板劇があまりにも政治的だったことは今更言うまでもないが,その裏にF1で唯一のフランス人ドライバーであるモンタニーを走らせたいバーニー・エクレストンの意図があったのは間違いないだろう。

  ルノーというトップチームでの豊富なテスト経験が買われ,セカンドドライバーの座を射止めたモンタニー。彼のSA05に対する的確なフィードバックは,まだ駆け出しのエンジニアやメカニックにとっても有益なものであった。残念ながらマシントラブルやアクシデントの影響で,レースでは実力通りの走りはできていないがその能力を疑う者は少ない。それでも尚モンタニーが「代役」として数戦ごとの契約を結んでいるのは,SAF1の「チームコンセプト」に対する鈴木亜久里代表と周囲の見方がずれているからに他ならない。

 そもそもSAF1は「オールジャパン」をコンセプトに誕生したチームではない。昨年11月1日のF1参戦記者会見で亜久里代表が口にした,「チームとしてもう一度表彰台に日の丸を揚げたい」という言葉が一人歩きしたものである。2人のドライバーを日本人にしたのも結果であって,最初からそのつもりであったわけではないと,亜久里代表も語っている。しかし,周囲はそうは見なかった。チーム・エンジン・タイヤ・ドライバー。全てが日本製の「オールジャパン」チームが生まれたと,新聞やテレビ等各メディアがあちらこちらで騒ぎたてた。いくら代表が否定しようが,一度できあがってしまったイメージはなかなか壊せるものではない。事実,先日のアメリカGP直前にフジTV系列で放送されたSAF1の特番でも,「チームのコンセプトはオールジャパン」と,堂々とナレーションがなされていた・・・。

 なぜモンタニーの契約が数戦ごとなのか?なぜその契約がなかなか発表されないのか?その理由は明らかである。「オールジャパン」を望む日本サイドのスポンサーと,フランス人ドライバーを起用し続けてほしいF1界。その二つの狭間で亜久里代表が苦悩しているからである。新車SA06が1戦遅れてドイツGPからの投入となることが発表されたアメリカGPの時点で,亜久里代表は「ドライバーは決まっている。でも言わない。」と語っていた。大方の予想は「フランスGPまでモンタニーを起用,新車投入に合わせて山本左近をレギュラードライバーに昇格させる。」というものである。奇しくも,金曜のサードカーが来シーズンから廃止されるというニュースもある。ドイツGP以降数戦はサードカーを走らせないことが決定しているSAF1にとっては,全てのタイミングがそろうのがドイツGPということになるのだろう。しかし,メディアの存在は諸刃の剣である。うまく利用しないことには,そこに明るい未来など待っていないのだから。

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