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2006年7月26日 (水)

サードドライバーの明暗

 今週末のドイツGPにSAF1のセカンドドライバーとして山本左近がデビューする。イギリスGPから4戦に渡ってサードドライバーを務めてきた左近が,いよいよ満を持して新車「SA06」と共にグランプリデビューを果たす。もちろん我々日本人ファンにとってはうれしい話だが,井出有治降板以降セカンドドライバーを務めてきたフランク・モンタニーはグランプリの表舞台から姿を消すことになった。

 モンタニーがSAF1に与えた影響は計り知れない。F1経験の少ないSAF1のスタッフにとって,ルノーで豊富なテスト経験を持つモンタニーはドライバー以上の存在だった。「老兵」SA05の引退とともにレギュラーの座を明け渡すことになったが,今後は再びサードドライバーとしてチームに残留することになる。豊富な経験を持つ佐藤琢磨は問題ないとしても,左近は開発ドライバーとしての経験はほとんどない。チームとして今後SA06の開発継続を考えれば,モンタニーの残留は当然の結論である。

 サードドライバーのポジションは大きく分けて二つに分かれる。レギュラードライバー昇格を目指し,F1マシンとコースに慣れることを主たる目的としている者と,開発ドライバーとして様々な裏方の役割を担うことを主たる目的としている者である。前者はルノーのヘイッキ・コバライネンやBMWザウバーのロバート・クビカなどであり,後者にはフェラーリのルカ・バドエルやトヨタのオリビエ・パニスなどが挙げられるであろう。この中で,後者としてF1人生を閉じるのではないかと危惧されていたペドロ・デ・ラ・ロサは,フランスGPからレギュラードライバーに昇格。ドイツGP以降も継続参戦する見込みである。一方でウィリアムズのアレクサンダー・ブルツは,その能力の高さを認められながらもレギュラー昇格の道は未だ拓けていない。

 来シーズンから金曜日のサードカー走行が廃止される。サードドライバーにとってはその存在をアピールする絶好のチャンスであったが,それも今シーズン限りとなってしまった。これによりサード&テストドライバーにとっては,レギュラードライバーへの道は一層厳しくなったと言える。実力だけでは手に入れられないのがF1のシート。速さはあるもののチャンスに恵まれず涙を飲んだドライバーは数知れない。その中で前回のデ・ラ・ロサの復帰や今回の左近の昇格などは,イレギュラーな要素が多分に関わって実現したものである。「運も実力のうち」という言葉があるが,数少ないチャンスを確実にとらえられるかどうかもドライバーの技量なのだ。日本での魅力的なポジションを捨て,F1の世界に身を投じた左近のデビュー戦をじっくりと見つめてみたい。    

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