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2006年7月 7日 (金)

井出有治の将来は?

 今シーズン序盤4戦をSAF1からエントリーしていた井出有治のフォーミュラ・ニッポン復帰が決まった。チームは一昨年度のチャンピオンチーム「ドコモダンディライアン」。平中克幸にかわって第4戦からの復帰となる。井出はサンマリノの一件でスーパーライセンスを剥奪されており,レギュラードライバーはもちろん,第3ドライバーとして金曜日に出走することも許されていない。プライベートテストであればF1マシンをドライブすることもできるであろうが,資金不足のSAF1ではそのテストもほとんど行われていない。

 こういった状況の中,井出がF1以外のカテゴリーで走ることは必然とされていた。井出本人も「とにかく走りたい」という思いを何度も口にしている。当初の井出は,F1の最終ステップアップカテゴリーとして不動の地位を築きあげつつある,GP2シリーズへの参集を目ざしていた。マシン特性はもちろんシリーズのレベル,何よりそのほとんどのレースがF1のサポートイベントとして同時開催されている。サーキットを事前に把握することができることは,F1復帰を考えた際最良の選択であることは間違いなかった。しかし,実際に井出が選んだのはフォーミュラ・ニッポンだった。いや,正確に言えば,それしか選択肢は残されていなかったのだ。

 チームとしてシーズン途中でドライバーを変更するということがいかに大変なことであるかは簡単に想像できる。レーシングドライバーは「マシンをいかに速く走らせるか?」という課題を,おのおのが独自の方法で解決している。セッティングの好みやタイヤの使い方,果ては周囲とのコミュニケーションまで。チームの大きなパーツであるドライバーが変更となれば,それだけでシーズンの行方を変えてしまうことになりかねない。いかに交渉相手が「元F1ドライバー」とはいえ,GP2の各チームが井出をようこそと歓迎することはなかったであろう。

 結果,井出はフォーミュラ・ニッポンに復帰することになったのだが,結論から言えば,これで井出のF1復帰は完全になくなったと見ていいだろう。もちろんSAF1とのつながりは残されているし,鈴木亜久里代表も今後もサポートしていくと明言している。しかし,F1復帰のための最低条件はフォーミュラ・ニッポンで他を圧倒する走りを見せ,チャンピオンを獲得することである。しかも,その最低条件ですら,井出にとってはとんでもなく高いハードルである。現在のフォーミュラ・ニッポンには,井出よりも若く勢いあるドライバーはごまんといる。その連中と正面切ってぶつかったところで,中途半端な井出のポジションでは出せる結果も出すことはできない。そしてそれでも一度貼られた「危険なドライバー」のレッテルは,なかなか剥がれないだろう。

 イギリスGPから第3ドライバーを務めている山本左近の走りを見ていると,いかに井出がその力量を発揮できなかったかが伺える。左近は初めてのコースにもかかわらず,レギュラードライバーである佐藤琢磨のコンマ数秒落ちのタイムを刻んでいる。もちろん井出と左近では条件が異なるのは言うまでもない。もともと井出はスロースターターであり,努力を重ねて経験をため込み,じわりじわりとステップアップを果たしてきた。それは今までの経歴を見れば明らかなことであろう。しかし,それは言い訳にしかならない。F1の世界にはスロースターターは必要とされない。F1はドライバーが「育つ」場所ではないのだ。そもそも,亜久里代表が井出をセカンドドライバーに選出したときから,この運命は決まっていたのかも知れない。情に流されず始めから左近を起用していれば・・・。

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