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2006年8月24日 (木)

イタチごっこの末に

 競争があればルールがあるのも当然だが,そのルールがコロコロ変わるのは迷惑この上ない。かねてからその是非が話題となっていたマス・ダンパー・システムだが,遂に国際控訴審で違法との判断が下された。これによりこのシステムは,今後一切の使用が禁止される。この判定については,フランスGP後にFIAから禁止の通達があったが,この時点で今後の再使用はできないであろうと言われていた。一度疑惑のかかったシステムを使用し続けることは,後々ポイント剥奪の可能性も残すことになる。そんな危険を冒してまで使い続けるチームがあるはずもなく,同システムはそれ以降一度も使用されていない。

 マス・ダンパー・システムは,いわば建物の耐震装置のようなものである。フロントウイング内などに2つのバネの間に挟んだ重りを組み込み,マシンがバンプを乗り越えた際に重りが上下することで積極的な姿勢制御をするのがねらいだ。このシステムは今まで多くのチームが使用してきたが,ルノーの性能が突出して優れているとされていた。ルノーは昨年度からこのシステムを使用しており,今年度のR26はマス・ダンパーがあることを前提に設計されたマシンである。それ故,マス・ダンパー禁止の影響は1周あたり約0.3秒のロスとも言われており,ここ数戦その速さに陰りが見えていたことも確かだ。だた,ルノーとしても今回の禁止決定に備えて,今後の対応策は準備しているものと思われる。

 トヨタのパスカル・バセロン/車体部門ゼネラル・マネージャーが言うように,マス・ダンパー自体はメカニカル・デバイスだが,積極的な姿勢制御をすることはレギュレーションで禁じられており,違法と判断されても仕方がない。しかし問題なのは,一度合法と判断されていたマス・ダンパーが,今シーズン途中で違法と判断されたことにある。ルノーは昨シーズン同システムを導入するに当たり,FIAに使用の判断を求めている。その際はメカニカルデバイスとして合法の判断を下していた。ところが今回は空力デバイスとしての禁止通達。これでは内外に反感を買うのが当然である。

 テクニカル・レギュレーションをめぐっては,過去にもFIAとチームがイタチごっこを繰り返してきた。レギュレーションを作るたびに,技術者はその隙間を縫って新しいシステムを開発してきた。速すぎるルノーを止めるための手だてとしてマス・ダンパーが狙われたのは確かだが,今回はその時期が微妙である。マス・ダンパーが違法というならば,今まで違法なシステムで得ていたリザルトはどうなると言うのだろう。他のカテゴリーではタイトル争いを面白くする為,ハンディ・システムを変更することは珍しくない。しかし,F1という世界最高峰のレースで,一度決めたルールを曲げてまで混沌の争いを演出するのはいかがなものか。それがFIAと言ってしまえばそれまでだが・・・。

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現在F1-2006シーズンのチャンピオン争いをしているルノーチームが装着している「マス・ダンパー」について色々と言われてきたが…遂に違法である!との判断が下されてしまった。●←Nifty F1さん●←F1通信さん一旦許可されているシステムがなぜ?シーズンの途中で禁止され...... [続きを読む]

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