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2006年8月21日 (月)

目を覚ませフランク!

 同じチームオーナであっても,人が違えば考え方も大きく違うのは当然である。かつてジョーダングランプリを率い,F1において一世代を築いたエディー・ジョーダン氏の発言が面白い。かねてから親交の深かったウィリアムズチームの総帥,フランク・ウィリアムズ氏に対し,来シーズンからエンジン供給を受けるトヨタにチームの株式売却を勧めている。ワークスチーム全盛時代の現代F1において,プライベートチームであるウィリアムズが上位進出する道は険しい。そのためトヨタに株式を売却することで資金をつくり,それによりマシン開発を進め戦闘力を上げるように促している。

 ここで注目したいのが,ジョーダン氏が「トヨタへのチーム売却」を勧めているのではなく,あくまでウィリアムズの復活を望んでいる点である。自身としてはロシアの富豪,アレックス・シュナイダー氏にチームを売却してしまったものの,ウィリアムズ氏にはそれを勧めようとはしていない。今シーズンは不振に喘いでいるウィリアムズも,チームスタッフの技術レベルは高い。開発に必要な資金さえあれば,ワークス勢にも引けをとらない速さを取り戻す考えているのであろう。ウィリアムズ氏をよく知るジョーダン氏だからこその発言といえる。

 ジョーダン氏とウィリアムズ氏のレースに臨む姿勢が大きく異なることを考えれば,これは当然のことである。ジョーダン氏が銀行出身の現金主義者であったのに対し,ウィリアムズ氏はスピードに取り憑かれた根っからのレース人間である。今シーズン,戦闘力低下の大きな要因となったBMWとの決別も,ワークスの軍門に下るくらいだったら潔く清貧の道を歩んだ方がいいという,ウィリアムズ氏の強い意志がさせたものである。その結果今シーズンのウィリアムズは,ここまでの獲得ポイントが僅か10点,この8レースは入賞すらしていない。これは長いウィリアムズの歴史の中でワーストの記録になるというが,これもウィリアムズ氏自身の決断によるものである。

 結論を言えば,ウィリアムズ氏がチーム株式を売却することはないだろう。確かに株式を売却すればある程度の資金は得られるだろうが,同時にトヨタの介入も深くなる。自チームの独立を重んじるウィリアムズ氏がそれを許すとは思えない。これまでも数々の困難を乗り越えてきた「車椅子の闘将」だからこそ,最後の最後までプライベートチームの誇りを重んじると考えられる。だが今シーズンの不振は,これまでと違い出口の見えない長いものとなっている。圧倒的な資金力を誇るトヨタが,その状況を指をくわえて黙って見ているとは考えにくい。「変な意地を張らず,チームの置かれている状況を冷静に分析しろ!」と言うジョーダン氏の助言がどこまで届くのやら・・・。 

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