« イス取りゲームが始まった | トップページ | 一貫性のない判定 »

2006年8月 4日 (金)

「オールジャパン」という誤解

 ハンガリーGPを前に,デビュー2戦目となるSAF1の山本左近もコース学習に余念がない。この1週間で一気に移籍市場が活性化したF1界だが,ご多分に漏れずSAF1の周囲も騒がしくなってきた。数日前にミッドランドのクリスチャン・アルバースが,SAF1のシート獲得を目指しているというニュースが流れた。しかし実際のところは,SAF1のマネージング・ディレクターであるダニエレ・オーデットがオファーを出したものの,アルバースは発展を続けるミッドランド残留を希望したとされている。オーデットは,ホンダのアンソニー・デビッドソンにも以前から興味を示しており,願わくば来シーズンから佐藤琢磨のパートナーとして起用したいと考えている。

 さらに興味深いのは,現在GP2シリーズ2位のネルソン・ピケ・ジュニアにもイタリアGP前にテストドライブのチャンスを与えるというものだ。これが即来季のレギュラーシートにつながるものとは考えにくいが,ピケ・ジュニアにとって自らの能力をアピールする場であることには変わらない。来シーズンから第3ドライバーによる金曜日の走行が廃止されることにより,F1候補生はテストなどでF1ドライブのチャンスをつかむことが求められる。SAF1のような新興チームは,かつてのジョーダンやミナルディのような貴重な存在として,彼らに多くのチャンスを与えることになるだろう。

 ここで注意しなければならないのは,SAF1のチームコンセプトである。以前から語られていることだが,SAF1は「オールジャパン」を目的として結成されたチームではない。「再びF1の表彰台に日の丸を」という目標はあるだろうが,そのために何が何でも日本人を2人起用するという意志が鈴木亜久里代表にあるわけではない。したがって,F1進出を目指す日本人にチャンスを与えることはあるだろうが,実力のない者にシートを与えることはないだろう。未だ誤解されたままでいるのは,日本のメディアや一部のスポンサーの意識がそこに行ったままだからである。

 2008年から現在のテクニカル・レギュレーションが改正され,他チームからシャシーの購入が可能となれば,SAF1はホンダのBチームとして機能し始める。本来それがSAF1の真の姿であり,自分たちがチャンピオンチームになろうという意識はないだろう。そうなれば,SAF1は日本をマーケットとしたチーム運営方針を明確に打ち出すことができるであろうが,まずは今シーズンと来シーズンをF1で戦い抜かなければならない。井出有治のライセンス剥奪の例を挙げるまでもなく,「オールジャパン」という妄想にとりつかれていれば,あっという間にチームは消滅してしまう。まずはチームとしての基礎をしっかりと固めること。左近を含め,来季のドライバーラインナップに注目だ。

|

« イス取りゲームが始まった | トップページ | 一貫性のない判定 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/185587/11262063

この記事へのトラックバック一覧です: 「オールジャパン」という誤解:

« イス取りゲームが始まった | トップページ | 一貫性のない判定 »