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2006年8月27日 (日)

笑顔の裏に潜む牙

 人間は誰しも追い込まれると余裕をなくすものであり,追う者よりも追われる者のほうが心理的に厳しいものである。25歳の史上最年少チャンピオンは,今まさに追われる者の厳しさを痛感しているだろう。ましてや相手が100戦錬磨の老獪な皇帝となれば,そのプレッシャーは計り知れない。ここ数戦,フェルナンド・アロンソからは以前のような強気なコメントが聞かれないのは,じわじわと追いつめられる圧迫感を感じているからに他ならない。マス・ダンパーを奪われたルノーには以前のような速さがなく,予選でのフェラーリとのタイム差がそれを物語っている。

 一方でミハエル・シューマッハには余裕がある。予選では僚友のフェリペ・マッサが初のPPを獲得,自身は燃料を搭載しての2番手ということもあり,その表情からは笑顔が絶えない。予選終了後の会見でも,「マッサに助けてもらう前に自分が頑張らないとね」と,周囲を笑わせる余裕のコメントをしている。ドイツGPでも,マクラーレンのキミ・ライコネンが速さを取り戻してきたことについて,「速いライバルの出現は大歓迎だ」と笑顔で話していた。マッサやライコネン,前回優勝のジェンソン・バトンなど,アロンソのポイントを奪ってくれるライバルがいればいるほど,シューマッハにとっては好都合になってくる。彼の笑顔の下に,鋭い牙が見え隠れする。

 今回その好調フェラーリに向けられたのが,リアホイールカバーのレギュレーション違反疑惑である。しかし結論から言えば,それを決勝で使用したとしても,リザルト取り消しなどの重いペナルティが科せられる可能性はほとんどないだろう。今シーズンはフレキシブルウイングやBMWザウバーの「ツインタワー・ウイング」,さらに注目を集めたマス・ダンパーなどがレギュレーション違反のデバイスとして使用禁止を通達されている。しかし,そのいずれもが禁止通達のみであり,決定以前に使用していたチームに対するペナルティはなされていない。

 さて,SA06B投入で期待されたSAF1だったが,マシンの熟成不足は否めない。佐藤琢磨はトラブルを抱えながら力走するも,因縁のコーナー「ターン8」でコースアウトを喫し22番手。今回がデビュー3戦目となる山本左近は,初めてのコースにもかかわらず安定した走りを見せ21番手。タイム的にも琢磨と遜色ないレベルであり,F1ドライバーとして大きな資質となる適応力の高さをアピールしている。来季もSAF1のシートを得るためには,レギュラードライバーが確約されている今シーズンのうちに,しっかりとした結果を残すことが求められる。まだまともに周回していない決勝で,どれだけの走りが出来るか。本人も話している「3度目の正直」を見せてもらおう。

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