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2006年9月28日 (木)

取り戻した健全な精神

 人間はとても弱い動物である。いくら優秀な能力を持っていても,それを最大限発揮できる精神状態でなければ,持てる力を十分発揮することはできない。レーシングドライバーとてそれは同じ事。常識では考えられない超高速の世界で戦うためには,健全な精神が欠かすことのできない要素になる。F1を電撃引退しNASCARの世界に身を投じたファン・パブロ・モントーヤは,正に健全な精神を取り戻したと言えるだろう。その結果が,初テストで31人中6番手というタイムであり,ヘルメットの中で目をキラキラさせてドライブするモントーヤの表情が想像できる。

 アメリカン・モータースポーツの世界からF1に進出したドライバーは,口をそろえて「F1は閉鎖的だ」と語っている。確かにアメリカン・モータースポーツは可能な限りのイコールコンディションの中で,常に観客を意識したレースを展開している。もちろん参加しているドライバーは真剣勝負。イコールコンディションであるが故に競争も激しく,レースごとにウィナーが変わることも珍しくない。それは何もモータースポーツに限ったことではなく,メジャーリーグやバスケットボール等全てのスポーツが,エンターテイメント性を強く意識する「お国柄」なのである。

 そんな開放的な世界から比べれば,F1を閉鎖的な世界と感じるのも当然である。マイケル・アンドレッティ,アレッサンドロ・ザナルディ,クリスチャーノ・ダ・マッタ,そしてモントーヤ。優秀な能力を持った多くのチャンピオン経験者がF1で大成できなかったのは,F1に参戦しているドライバーとの腕の差があったのではなく,F1という環境に適応できず,健全な精神状態を保てなかったことが大きく影響している。その逆にナイジェル・マンセルは,持ち前の暴れん坊ぶりをアメリカでも十分発揮し,素直にレースを楽しんでチャンピオンまで獲得してしまった。結果だけでアメリカン・モータースポーツのレベルを低いと見る者がいるが,これは大きな誤解と言っていいだろう。

 さて,FIAの意識調査によって海外でも多くの支持を集めていることが改めて確認された佐藤琢磨だが,彼もまた健全な精神を取り戻したドライバーの一人である。昨シーズンの琢磨は,結果のでないストレスから多くのレースを無駄にし,最終的にB.A.Rから解雇されるという不遇のシーズンを送った。しかし今シーズンの琢磨は,新興チームSAF1の精神的支柱として,昨シーズンとは別人のように生き生きとしたレースしている。もちろん結果はなかなかついてこないが,純粋に今の状況を楽しみつつ向上させようとしていることは,誰の目にも明らかなことである。健全な精神を取り戻した琢磨が,地元鈴鹿でどんな走りを見せるのか。日本GP決勝まで,あと10日である。

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