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2006年9月 6日 (水)

新型エンジンの実力は?

 ウェットレースは荒れた展開になるのが常である。ましてやそれが超高速サーキットのモンツァであったらなおさらである。今週末に迫ったイタリアGPは,3日間とも雨の予報になっている。1周5.793kmのこのオールドサーキットは超高速ターン「パラボリカ」を備え,エンジンの全開率は優に70%を超える。不確定要素の多いウェットレースでは,確実かつスムーズなドライビングが求められるため,ハンガリーGPで初優勝を果たした,ホンダのジェンソン・バトンに期待がかかる。ルーベンス・バリチェロもモンツァを得意としていおり,ウエットレースを生き残ればダブル表彰台のチャンスもある。

 ホンダはこのGPに,2007年仕様の新型エンジンを投入する予定でいた。シーズン途中で新型エンジンを投入するケースは珍しいが,来年度のエンジンスペックが中国GPで固定されるため,それを見据えての先行投入である。しかし,先日行われたテストではこの新型エンジンにトラブルが多発。必ずしも信頼性は高くないエンジンを投入することのリスクは避けられず,その判断は金曜日直前までずれこむようだ。雨となればエンジンにかかる負担は軽減されるが,アクシデントの起こる可能性は格段に上がる。第3期初優勝を果たした今,さらなる飛躍のためにも重要なレースとなる。

 さて,話は変わるが,ホンダとSAF1の関係について。一口に「ホンダ」と言っても,その構成は大きく二つに分かれる。F1の最前線で戦うイギリスのHRD(ホンダ・レーシング・デベロップメント)と,中長期的な開発・研究を行う日本の栃木研究所である。以前,SAF1のマーク・プレストン/チーフ・テクニカル・オフィサーも語っていたことだが,SAF1が直接支援を受けているのはHRDではなく栃木研究所である。SA06の開発にあたっても,新型ギアボックスに関する多くのデータと,実際にファクトリーで作業にあたるスタッフを提供していた。HRDもRA106の空力データを提供したらしいが,SA06とはコンセプトが異なるため,たいして役に立たなかったとも語っている。

 ホンダが低迷していたシーズン中盤,「ホンダのSAF1に対する支援が十分行われていない」という話をよく聞いた。これはHRD自体が問題に直面していたため,SAF1の支援どころではなかったためだ。そうでなくても,ニック・フライ代表やジル・ド・フェラン/スポーティング・ディレクターは,SAF1に対して肩入れすることを喜んではいないだろう。しかし,ホンダにとってSAF1は,なくてはならないサテライトチームである。2008年の大幅なレギュレーション改定に備えて,強力なサテライトチームを持つ意味は大きい。今回の新型エンジンは,いずれSAF1にも供給されるはずである。スケジュール的には鈴鹿あたりだが・・・。

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コメント

こんにちは!最近の記事、大変面白く拝読させて頂いてます。
先日のトヨタ関連の記事でも考えさせられましたが、ホンダとSAF1、トヨタとウィリアムズといったチーム間の協力関係が、トヨタの初優勝をも含め、今後の両陣営の力関係にどのような影響を及ぼすのか、来シーズン以降の見所のひとつになってきそうですね。
現在SAF1が、ホンダから「強力な」サテライトチームとして評価されているかどうかは微妙なところかもしれませんが、両者の協力関係については、2008年の大幅なレギュレーション改定に向けて、徐々に体制が整えられていくのでしょうか。
このあたり「オールジャパンという誤解」の記事でも考えさせられましたが、セカンドドライバーの人選も、非常に重要になってくると思います。いきなり新車を壊したり、またスピンをして「限界を越えた」と言い訳しているようでは、素人の目から見ても、ちょっと厳しいものを感じてしまいます。マシンの限界をきちんと見極め、コントロール゙する能力がないドライバーがいるチームでは、アメリカで厳しいレースを勝ち抜いてきたジル・ド・フェランのシビアな目からすれば、さすがに肩入れする気にはなれないでしょう。ホンダからの支援を期待するのであれば、その前提として、支援を受けた分、きちんとしたフィードバックを返すことができるチームに、SAF1がなっていかなければならないと思います。
琢磨も、より上のシートを狙っているみたいですので、このような人的交流をも含め、ホンダとSAF1ともに、高いレベルでの協力関係を築いて、ホンダ陣営全体の強化、さらに上位への進出を期待したいところです。
あとイタリアGPのモンツァは3日間とも雨の予報とのことですが、この前のハンガリーGPの序盤のようなタイヤ格差は見たくないですネ(レース全体としては面白かったのですが、これはあくまでも結果論だと思います)。いずれにしろ、来年からタイヤがワンメイクになるので、タイヤ面での差は少なくなるとは思いますが、最近よく耳にする「タイヤですべてが決まる」という論法は、ある意味、真実でもある反面、うまい逃げの口実に使われているようで、個人的には少しシラけてしまいます。タイヤをいかに使いこなすかはドライバーの力量、ドライバー腕をかけた接戦を観たいものなのですが...。
いずれにしても、チャンピオンシップの行方、ミハエルの進退をも含め、この週末がとても楽しみです!

投稿: Tommi-tuned | 2006年9月 7日 (木) 23時01分

 Tommi-tunedさん,コメントありがとうございます。ご指摘の通りトヨタにとってウィリアムズは強力なサテライトチームとなるでしょうが,ホンダにとってのSAF1はまだまだ「強力」とは言えませんね。なってくれることを願ってますが(^^;)
 SAF1のような小規模のチームにとって最も重要なことは,2台揃って確実な結果を残すことです。その意味でも,今後のセカンドドライバー人選は,ホンダの意向も強く反映されてくると思います。アンソニー・デビッドソンは優秀なドライバーですので,山本左近もうかうかしていられません。ただ,SAF1に対する見方は,HRDとホンダ本社で微妙に違っているように思えます。このあたりは,ホンダがまだ一枚岩でない証拠なのかもしれませんね。
 貴重なご意見,ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

投稿: KAZ | 2006年9月 8日 (金) 15時08分

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