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2006年9月16日 (土)

未来をつかむ適応力

 毎年のことながら,シーズン終盤戦が来ると来年度の話があちらこちらから聞こえてきて,外野で見ているほうとしては面白い。チーム首脳陣は,来シーズンのパッケージを決めるために奔走しているだろうが,ドライバーも生き残りをかけて必死に戦っている。F1のシートは限られているので,そこからあぶれた者たちは,別のカテゴリーに生きる道を探すか,引退して第2の人生を歩むかという選択を迫られる。ミハエル・シューマッハのように,自らの意思で引退を表明できるケースは稀であり,大抵の場合はチームからの解雇や,アクシデントによりF1フィールドから姿を消すことになる。

 今シーズンF1から引退するのは,シューマッハとファン・パブロ・モントーヤ、ジャック・ビルニューブの3名。これに加えて,3戦を残してレッドブルから解雇されたクリスチャン・クリエンもシートが怪しい。来シーズンはヘイキ・コバライネンやルイス・ハミルトンのなど,GP2上がりの注目ルーキーがグリッドにつく。さらには,ネルソン・ピケJrやセバスチャン・ベッテルのように,粋のいいリザーブドライバーが後には無数に控えているので,F1学園の現役生たちもうかうかして入られない状況にある。来シーズンで契約の終了するベテラン勢にとっては,1戦1戦が勝負のレースになってくる。

 F1にステップアップするルートは様々だが,GP2の誕生以降,このカテゴリーの成績優秀者はもれなくF1のシートを獲得している。昨年度は上位3名,今年度も上位2名のドライバーがそれぞれ「進級」しているのだ。その中で2年間戦った吉本大樹は,今シーズンをランキング14位で終えた。序盤戦は表彰台を獲得するなど好調であったが,中盤からトラブルが相次ぎ失速。BCNで戦った2年間は,思うような結果を残せないまま終わることになった。彼のパートナーであったアーネスト・ビソやティモ・グロックは,BCNから移籍した途端に優勝を果たしている。シーズンオフは移籍を検討していた吉本だったが,結果的に勝てる流れをつかみ損ねてしまったのかもしれない。

 では,これから日本人ドライバーがF1を目指すには何が必要なのか。もっとも必要とされるのは「適応力」であろう。もちろん速さも必要ではあるのだが,F1のレベルまで来ると,どのドライバーもさして変わることはない。しかし,その速さを限られた時間の中でアピールするには,様子見の時間は許されないのである。それを証明しているのが,第3ドライバーデビューでトップタイムを出したベッテルである。それまでの彼は,数限りなくいるF1予備校生の中のひとりであったが,たった1時間で未来のF1シートを確実のものとした。これからも,日本人ドライバーにチャンスはやってくる。しかし,その時に自分の持つ力を最大限発揮できなければ,彼らにF1という未来はやってこない。

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