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2006年9月 5日 (火)

評価に悩むSA06B

 人を評価することは難しい。数値で見えるものがあればいいが,人の評価はそれだけで決まるものではない。しかし,マシンの優劣ははっきりと数値が示すことになるので,その評価はたやすくなる。そう思ってトルコGPで投入されたSA06Bを評価しようとしたが,これがなかなか難しい。3日間行われたモンツァテストでのベストタイムは,フェラーリを駆るフェリペ・マッサの1'21.098。これに対してSA06のベストタイムは佐藤琢磨の1'24.536,直近のライバルであるミッドランドは1'23.771である。トップとは約3.5秒,ミッドランドとは1秒弱の差がある。さて,これをどう見るべきなのか。

 2段階のアップデートを経て投入されたSA06は,旧車SA05と比べ約2秒のタイムアップが期待されていた。ハンガリーGPに投入されたSA06で一新されたリアセクションに加え,SA06Bには新型のフロントサスペンションを導入した。だが,そのマウント方法は完全なゼロキールではなく,小さなツインキールと呼ぶべきもの。時間と予算の制約から,サスペンションのアッパーアームの位置は変えず,ロワアームの取り付け位置を変更するという妥協も見られる。琢磨もその有効性は認めつつも,セッティングの幅が狭くドライバーのミスを許さないマシン特性があると語っている。

 ミッドランドを上回るパフォーマンスを発揮すると言われていたSA06Bであったが,蓋を開けてみれば一発の速さもレースペースも十分ではない。これではSA06Bが,期待通りの速さを発揮していない評価されるかもしれない。しかし,以前マーク・プレストン/チーフ・テクニカル・オフィサーが語っていたように,タイムアップ率は何を基準にするかによって変わってくる。彼は0.5秒から5秒と言っていたが,確かに開幕戦のSA05から比べれば5秒はタイムアップしているだろうし,トップチームとの差と考えれば0.5秒縮めたととらえることもできる。条件は異なるが05と06の差は約3秒,06と06Bの差も約0.6秒あり,SA06Bは確実に進化を遂げている。

 相手の開発が止まっているのであれば,SAF1はもうとっくにミッドランドを追い越している。しかしF1の開発は日進月歩であり,ライバルがゆっくり待っていてくれるほど甘い世界ではない。SAF1の少ない予算では限られた開発しかできないだろうが,進化の止まっていたSA05に比べれば,SA06はまだまだ伸び代がある。SA06の目標はトップとのタイム差を縮めることではなく,ミッドランドの前に出ることである。モンツァテストでは,新車特有のトラブルシューティングに終始したが,初めて事前テストができた意味は大きい。今週末のイタリアGPでは,山本左近にレースの完走を,琢磨には初のQ2進出&トップ10フィニッシュを期待したい。

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