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2006年9月25日 (月)

勝利以上の何か

 組織の規模が大きくなれば,それを維持することも大変なことになる。適材適所に人材配置をしなければ大きな組織は円滑に機能しないし,規模に比例して当然資金もふくれあがる。しかしある程度の規模がなければ,ライバルに後れをとることも事実である。要は,このバランスをとることが非常に難しいのだが,これを高い次元で安定させているのがルノーであろう。ルノーはチャンピオンチームながら,比較的少ない人数で構成されたチームである。カルロス・ゴーン体制の中では,湯水のように資金を使うわけにも行かず,結果として非常にコストパフォーマンスに優れたチームとなったわけである。その代表を務めているのが,金にはめっぽうがめついフラビオ・ブリアトーレというのも頷ける。

 F1チームは2台のマシンをグリッドに走らせるために,多くのスタッフを雇っているが,ブリアトーレ代表はその中でもトヨタとマクラーレンを「浪費チーム」として非難している。純粋にチームスタッフで比較をしてみると,最も多くのスタッフを抱えているのはトヨタと言われており,その数は1000人に迫る。しかしこれには,裏の事情がある。トヨタが本拠地としているドイツは労働基準法が厳しく,1週間あたりの労働時間はイギリスの70%程しかない。したがって,トヨタがイギリスに本拠を置くチームと同じ労働量を確保するためには,必然的にスタッフの数を増やさなければならないのである。

 一方のマクラーレンは,多少趣が異なる。このチームはもはや純粋なF1チームではなく,小規模の自動車メーカーなど足元に及ばない「企業」である。そのファクトリーである「マクラーレン・テクノロジーセンター」は,ファクトリーと言うよりもマクラーレングループ企業18社をまとめた本拠地であり,当然スタッフの人数も圧倒的に多い。プライベートチームだったマクラーレンを長期的なチーム戦略で蘇らせ,ここまで巨大な「企業」に育て上げたロン・デニス代表の経営手腕は見事なものである。マクラーレンはメルセデスに買収されれば,更なる成長を遂げるだろう。

 F1に参加するチームやドライバーは誰しも勝つことを目標に,日々終わりのない努力を続けているが,結果として勝者となれるものは少ない。以前SAF1のダニエル・オーデット/マネージング・ディレクターは,「チームのスタッフを120人以上に増やすことはない」と語っていた。この人数でできることは限られており,常識的に考えてSAF1が勝てるチームになるのは難しい。しかし,そこには勝利以上の何かをつかみに,F1という魑魅魍魎の住む世界へ飛び込んでいった,鈴木亜久里代表の想いがある。先日開催された「モータースポーツジャパン2006」での,亜久里代表の言葉を紹介しよう。
『優勝はホンダにしてもらいたいよね。でも,鈴鹿のお客さんはウチがもらったよ!』

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