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2006年10月24日 (火)

小さな奇跡?いや進化!

 「予想外だ・・・。」最近耳なじみのこの言葉が,ブラジルGPのSAF1にはぴったりと当てはまる。鈴鹿に全勢力をつぎ込み燃え尽きたはずのSAF1にとって,ブラジルGPは単なる「消化試合」だと思われた。事実サーキット入りした佐藤琢磨も「燃え尽きました」と,鈴鹿を振り返っている。プロフェッショナルなF1チームであるからには最終戦も手を抜かず臨むだろうが,それでも鈴鹿以上のモチベーションはないだろう。そう考えていたのだが,予想は完全に外れてしまった。今シーズン最高の走りを披露した琢磨は,トップテン・チェッカーを受ける「結果」を残したのだ。

 予選までのSAF1は,いつもと何ら変わらなかった。金曜フリー走行では,サードドライバーのフランク・モンタニーが8位のタイムを出したが,これは終盤の「アタック合戦」に参加した結果であり,純粋にレースラップの速さを示したものではない。それでも終盤戦になり,SA06Bが速さを増しつつあったことは事実だった。しかし予選ではいつもの定位置に収まり,今シーズンの目標であったQ2進出はついに叶わなかった。SAF1はレースペースを重視したクルマ作りをしてくるため,どうしても一発の速さがない。一方ライバルであるスパイカーは,時折飛び抜けた速さを示すが,これは予選重視のクルマ作りをしているためである。その証拠に,彼らのレースペースはさほど伸びない。

 そして迎えた決勝レース。19番グリッドからスタートした琢磨は,混乱の多い1コーナーを慎重に抜けると,そこから怒濤の走りを見せる。スタートで一度は抜かれたレッドブルのデイビッド・クルサードに3コーナーで襲いかかると,スパイカーのクリスチャン・アルバースもろともまとめてパッシング!レース後の琢磨は,この瞬間を「凄くエキサイティングだった」と振り返っている。レース中盤はトロ・ロッソのスコット・スピードを追い回し,スピードに「SAF1の速さには驚いた」と言わしめた。それはそうだろう。つい数戦前までは余裕で周回遅れにしていたマシンが,何度も襲いかかってきたのだから。

 今回のSAF1快走には,いくつかの要因がある。まず,今回持ち込まれたブリヂストンタイヤのスペックが非常に優れていたこと。もう一つは,インテルラゴスのコースにSA06Bが非常にマッチしていたことである。もちろんマシンのセッティングが決まっていたことは言うまでもない。最高速の伸びは今ひとつだったが,コーナーリング・スピードは,トップチームと遜色のないものだった。2台ともトップテン入りしたファステストタイムも素晴らしいが,その1周だけが速いのではなく,琢磨が自己ベストタイムを連発したことに真の速さがあった。最後の最後で「スパイカー&トロ・ロッソの上に行く」という,大きな目標を達成したSAF1。これは「奇跡」ではない。確実な「進化」なのだ。

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コメント

KAZさん、こんばんは。
トラック・バックまでして頂き誠にありがとうございます。

SAF1は今時珍しい真っ当なレーシングチームとなりました。
バブリーな大金持ちに買われたのでも、怪しげな投資家に騙されたのでもなく、千載一遇のチャンスを当ても無いまま見切り発車した、ただF1で戦いたいという気持ちのみでスタッフが一丸となったその姿!
 SA05を見たとき「新型さえ完成すれば…」と期待し、SA06Aの時は進歩に胸躍らせ、06Bでは予想を下回ったポテンシャルに消沈しました。それでもやっとここ数戦は闘っていましたね。欧州ラウンドでは「あのモーターホーム」に口うるさいジャーナリストに馬鹿にされるやら、賞賛されるやら…。SAF1のお陰で、久しぶりにF1にのめりこむ事が出来たシーズンでした。
 鈴木亜久里という人物を、個人的には「バブル期をうまく渡った奴」としか認識していませんでしたが、最近見直しました。レッドブルの発行するF1紙「The Red Bullein」でマン・オブ・ジ・イヤーに選ばれただけの事を成し遂げたと思います。
出来ればただのホンダBチームに成らないで欲しいものです。
ちなみに「予想GAY」の親会社は、メインスポンサーの噂もあったS社なのは面白いですね。

投稿: aqua1931 | 2006年10月24日 (火) 21時30分

失礼しました。
レッドブルのF1紙は正しくは「The Red Bulletin」でした…(^_^;;;。
http://www.redbulletin.com/index.php?lang=jp
英語版のみで、記事が載ったのはブラジルGP号日曜版です。PDFで内容が読めます。ちなみに佐藤琢磨も「UNSUNG HERO(詩歌に褒めたたえられなかった英雄)」に選ばれています。人気投票第9位は伊達ではありませんね。

投稿: aqua1931 | 2006年10月24日 (火) 21時40分

 aquq1931さん,こんにちは!「亜久里ハマケズ」にTBさせていただきました。今ちょうど宮沢賢治を読んでいたので,ツボにはまりました。素晴らしいカスタマイズです!
「The Red Bulletin」の情報もありがとうございました。今回レッドブル&トロ・ロッソはSAF1に追い回されましたが,しっかり評価するところは敵ながらあっぱれです!
 SAF1は怒濤の1年でしたね。本当に色々なことがありましたが,1年前には影も形もなかったチームがここまで来たわけですから,彼らの努力は賞賛に値するでしょう。小さなチームですが,スタッフ一丸となって戦う姿は見る者を熱くさせてくれました。
 佐藤琢磨も今回の快走で,大いに評価を高めましたね。昨年度の彼とは別人です。新興チームのリーダーとして,大きく成長した姿が見られて,ファンとしてはうれしい限りです。来年の開幕戦が今から待ち切れません!では!

投稿: KAZ | 2006年10月25日 (水) 11時09分

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