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2006年10月20日 (金)

下克上がまた始まる

 高いレベルで争っている世界では,ほんの少しのアドバンテージが大きな差を生むことになる。F1は厳格なレギュレーションで縛られているが,各チームはそのレギュレーションの隙間をついて様々な試みをし,ライバル達にアドバンテージを得ようとしている。昨日2007年シーズンF1レギュレーションの詳細が発表された。その中で特に注目されるのが,金曜フリー走行でサードドライバーの走行が許可されたことである。コスト削減の見地からサードカーの使用は禁止されたが,レギュラードライバーのマシンを使ってサードドライバーを走らせることが認められたのだ。

 各チームがこのレギュレーション改定をどう利用するか興味深い。現在サードドライバーの走行が許可されているのは,前年シーズンのコンストラクターズ・ランキングが5位以下のチームに限定されている。これは下位チームの救済および,スポンサーの露出効果拡大を狙ったものだった。しかし,今回の改定で上位チームでもサードドライバーを走らせることが可能になった。来季はサードカーが廃止されるため,チーム間の走行距離による差はなくなることになる。下位チームは若手ドライバーを試すこともあるだろうが,その走行時間は現在よりも限定されてたものとなる。上位チームはマシンをシェアしてまで,積極的にサードドライバーを走らせることはないだろう。

 今回のレギュレーション変更を誰よりも喜んでいるのは,各チームのサードドライバーや,F1を目指す若手たちであろう。グランプリウィークの走行は,テスト走行と比べF1関係者の注目度も高く,そこから昇格のチャンスを得ることができる。今シーズン途中でレギュラー昇格を果たしたBMWザウバーのロバート・クビサは,サードドライバーの典型的な成功例である。サードドライバーはエンジンをいたわる必要がなかったため「速くて当然」だったが,来季はエンジンおよびタイヤの制限が緩和されるため,レギュラードライバーたちも周回数を重ねることができる。その中で走るとなれば,ドライバーの腕が如実に表れることになるだろう。

 もっとも各チームは,レギュラードライバーを差し置いてサードドライバーに多くの走行時間を与えることはしないだろうから,彼らの状況はレギュラーより厳しい。しかし限られた時間の中でレギュラーを喰う者が現れれば,第2のクビサが誕生することになる。F1は下克上の戦国乱世。ルノーのテストドライバーとなったネルソン・ピケJrも,チームのエースジャンカルロ・フィジケラの後釜を虎視眈々と狙っている。まずは同じ道具を使うチームメイトに勝たなければ,そこから先の道は開けない。元ワールドチャンピオンとて,エースとして活躍しているドライバーとて,一寸先は闇なのである。  

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