« 超攻撃的タッグ復活!? | トップページ | シューミ最後の聖戦へ »

2006年10月 6日 (金)

アロンソは脅える兎

 勝負の流れを決する上で,勢いは重要なポイントである。しかし,風が同じ方向に吹かないように,勢いはふとしたことから変わってしまうものである。今,最も勢いに乗っているのは,8度目のドライバーズ・タイトルを射程圏内にとらえたミハエル・シューマッハ。一方のフェルナンド・アロンソは,完全に勢いを失ってしまっている。鈴鹿入りした木曜日,アロンソはチーム批判を繰り返した。先の中国GPで,チームが下した幾つかの判定が気に入らないのだ。ルノーはコンストラクターズ・タイトルを優先しており,自分のドライバーズ・タイトルは二の次だ,と。

 それに対してルノーは,アロンソの前輪のみのタイヤ交換は失敗だったとみとめつつも,チームは全力でアロンソをサポートしていると強調している。ピットストップ時のミスは意図的なものではないにしろ,ここぞというときに起きてしまった。ミスをしたメカニックが,ハンガリーGPの時と同一人物と言うから,アロンソにとっては尚気分が悪い。こうなるとアロンソは,自分の周囲全ての者が敵に見えてくるだろう。信じられるのは,己の力のみ。誰の手も借りず,タイトルは自分自身の手でつかみ取る。それがフェラーリへの過剰な闘争本能を揺り動かし,「ウェットでもドライでも勝てる」などという,強がりともとれる発言につながっているのではないだろうか。

 そもそも,シーズン前にマクラーレン移籍を発表した時点から,こうなることは予想できていた。シーズン序盤戦は,昨シーズンの勢いをそのままに,フェラーリを圧倒する走りを見せていたが,アメリカGP以降その勢いがピタリと止まってしまった。もちろんFIAの疑惑ともとれる判定で,シーズンの流れがフェラーリに傾いてしまったことは否めない。それでも,チャンピオンシップを終始リードしていたのはアロンソなのである。しかし,前戦でのシューマッハ大逆転勝利が,完全にアロンソから勢いを奪い取ってしまった。同ポイントまで迫ってきた皇帝に,アロンソが脅えているのは明らかである。

 もし日本GPでシューマッハ優勝,アロンソがリタイアとなれば,最終戦ブラジルGPを待たずして,シューマッハの前人未踏8度目のドライバーズ・タイトルが確定する。その可能性は低いと見られているが,アロンソの疑心暗鬼ぶりを見ると,もしかするとサプライズが起こるかもしれない。すなわち,天王山となった鈴鹿で,シューマッハが一気にチャンピオンを決めてしまう予感もするのである。F1はひとりのドライバーの力で何とかなるほど,甘いものではないだろう。そんなことなどアロンソは百も承知だろうが,果たして今の心理状態で冷静な判断ができるだろうか?最近妙に饒舌なアロンソが,老いて尚獲物を求める虎に睨まれ,脅え震える兎に見えた。

|

« 超攻撃的タッグ復活!? | トップページ | シューミ最後の聖戦へ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アロンソは脅える兎:

« 超攻撃的タッグ復活!? | トップページ | シューミ最後の聖戦へ »