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2006年11月 9日 (木)

20年の時を経て・・・

 チャンスはどこに落ちているかわからない。チャンスをつかむためには,「適切な時期に,適切なポジションにいることが求められる」と昨日記したばかりだが,それを掴んだ若手がまた一人誕生した。ウィリアムズが来シーズン,中嶋一貴とテストドライバー契約を結んだことを正式発表したのだ。来シーズンのウィリアムズにはトヨタ・エンジンが搭載されるため,トヨタがドライバー人事にも口を出してくることは十分考えられていた。従ってTDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)の一員であり,GP2のテストに参加していた中嶋か平手晃平のどちらかがテストドライバーに起用されるという話は,以前から囁かれていたことだった。

 では,なぜ平手ではなく中嶋が起用されたのだろうか。今シーズン激戦のユーロF3にマノーから参戦していた二人は,共に1勝をあげ平手がシリーズ3位,中嶋がシリーズ7位の成績を収めた。これだけだと平手の方が上位ということになる。しかし,平手がユーロ2年目なのに対し,中嶋はF3経験が豊富なものの今年がユーロF3初参戦。その中で光る走りをしたことが,トヨタ本社サイドの高い評価に繋がったと言われている。中嶋はGP2初テストでもルーキー最上位のタイムを記録し,チーム関係者に好印象を与えた。彼の適応力の高さは,F1をドライブする際も大きな武器となるだろう。

 さて,そのウィリアムズを離脱する,マーク・ウェバーは「ウィリアムズはドライバーの意見を聞く耳を持っていない」と,捨て台詞を残している。自らの技術力に絶対の自信を持っているウィリアムズにおいて,ドライバーはチームの一部分でしかなく,彼らの意見に耳を傾けなかったとしても不思議ではない。確かに1990年代のウィリアムズは「リアクティブ・サスペンション」を搭載したFW14Bなど,革新的なマシンを次々と世に送り出し,ルノーと共にチャンピオンチームとしてF1界に君臨していた。しかし,その自信が自らの過ちを正すことなく突き進む結果となり,BMWやコスワースとの「喧嘩別れ」に繋がってしまった。トヨタの加入でどこまでこの体質が改善されるか・・・。

 ウィリアムズ入りする中嶋は,早ければ今月末のテストからステアリングを握ることになるだろう。チームにはもう一人のテストドライバーであるナレイン・カーティケヤンがいるが,彼の契約にリザーブドライバーは含まれていない。今回の中嶋の契約がリザーブドライバーを含むものであるかは不明だが,もしテストでカーティケヤンを凌ぐタイムを出そうものなら,来シーズンの金曜日には,サーキットを走る中嶋の姿が見られるかもしれない。日本人F1ドライバーのパイオニア,中嶋悟がF1デビューを果たしてからちょうど20年。そのDNAを引き継ぐ息子が,20年の時を経て再びF1に帰ってくる。 

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コメント

 中嶋悟氏は、かつての日本レース界ではホンダの強力なバックアップもあり、ほぼ無敵ともいえる成績を残しました。しかし、当時の状況では日本とF1は遥かに遠く、実際の参戦時には、34歳と現在の基準ではかなり高齢でのデビューとなりました。
 それに比べれば、中嶋一貴は年齢や状況的には恵まれている方ですね。
ただ、彼は父に比べ、少なくとも日本を席巻した成績を残したわけではなく、あいさんがお書きになった様に、海外で抜群の成績を残したり、チャンピオンを獲ったわけでもありません。
 やはりトヨタの後押しと、(これは想像に過ぎませんが)悟氏絡みのスポンサーの目論見があると思います。
もっともそれは、殆どの新人の昇格の仕方と同じなのですから、全ては中嶋一貴自身の今後の成績如何にかかっています。出来れば単なるテストドライバーで終わらない事を願っています。

投稿: aqua1931 | 2006年11月 9日 (木) 18時02分

 早速のコメントありがとうございます。中嶋一貴のステップアップは予想されていましたが、ご指摘の通り圧倒的な速さを示したわけではありません。これから生き残れるかどうかは、今後のテストでどのような走りをするかにかかっているのでしょうね。
 幸いGP2テストは順調のようですので、「親の七光り」があったとしても、つかんだチャンスは確実に生かしてほしいと思います。ではでは!

投稿: KAZ | 2006年11月 9日 (木) 18時53分

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