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2006年11月12日 (日)

「参加」から「勝利」へ

 オリンピックには「参加することに意義がある」という人もいる。世界最大規模の大会に参加するためには厳しい標準記録をクリアする必要があり,それを突破するだけでも容易なことでない。いかにアスリートといえど「参加できただけで満足」という考え方があっても無理はない。サッカー・ワールドカップにも,似たような見方があった。しかし,日本が3大会連続出場を果たした現在は,もはや参加するだけでは満足していてはいけないという考え方が主流である。世界3大スポーツのF1も同様である。1987年に中嶋悟がフルタイム参戦を果たしたとき,「日本人が参戦できただけで満足」という見方がもっぱらだった。時は流れ,あれから20年。今はそんな甘い時代ではない。

 先日TDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)の活動報告会が行われ,中嶋一貴のウィリアムズ加入に続き,平手晃平,小林可夢偉にもトヨタF1でのテストドライブの機会が与えられることが明らかになった.。もっともこれは,ある程度予想されていたことである。3人の契約主はトヨタ自動車であり,ウィリアムズやTMGへはレンタルされる形になると伝えられている。ゆくゆくはこの若き才能をトヨタF1のシートに座らせることが,トヨタ本社の目標だろう。日本チームに日本人ドライバーが乗ることがどれだけの効果をもたらすかは,今年のSAF1の注目度が物語っている。

 一貴&晃平の二人は,来季GP2へのステップアップが確認された。一貴はDAMSから,晃平はトライデントからのエントリーとなる。GP2はF1のサポートレースであると同時に,最大級の次期F1ドライバーマーケットでもある。ユーロF3のような走りを1年目から見せることができれば,2008年のシート獲得も決して夢ではない。一方の可夢偉は,もう1年ユーロF3に残り,2年目でのチャンピオン獲得を狙うこととなる。昨シーズン可夢偉と共にフォーミュラ・ルノーを戦ったミハエル・アメルミューラーは,今シーズンGP2に飛び級。さらにレッドブルのサードドライバーを務めるなど,注目を集めている。可夢偉もそれを意識しているだけに,来季に期待がかかる。

 さて,トヨタ三銃士の中で,もっとも可能性を秘めているのは誰だろうか。人により見方考え方も様々だろうが,個人的には可夢偉を見つめていきたい。筆者と誕生日が同じ,というどうでもいい理由はさておき,速さだけでなくその図太い性格が魅力である。SAF1の鈴木亜久里代表も「可夢偉はいいものをもっているよね」と,その才能を評価している。来季もAMSからエントリーする可夢偉には,チャンピオン獲得が命題となる。もはや日本人ドライバーにとってF1は,「参加することが意義がある」カテゴリーではなくなった。次に求められているのは,「勝利すること」である。

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コメント

KAZさん、こんにちは。

 先にお書きになった「適切な時期に,適切なポジションにいる事」という言葉は至言ですね。
個人的にはFポン等で上位にいる日本人ドライバーで、海外での柔軟性がある者なら、F1で(戦闘力のある車に乗せればという条件付きで)ポイント獲得は出来ると思います。
ラルフ・シューマッハやエディー・アーバイン、ペドロ・デ・ラ・ロサなどを考えてみればお判りになると思います。
無論チャンピオンを獲れるかどうかは全くの別問題なのですが。

 中嶋悟は、残念ながら出場時期が遅れ、長谷見昌弘、星野一義、高橋国光は当時の状況がレギュラー出場を許しませんでした。それ以前にも高原敬武、生沢徹、風戸裕、桑島正美等、海外挑戦組は資金等の問題で一部参戦が実現したのみでした。
 戦後すでに2輪GPでは世界を獲っていた日本人が、4輪で不可能という事はありません。上記の彼らは誰しも条件が合えば勝てるドライバーです。
適切な時期に,適切なポジションにいる日本人ドライバーは、琢磨の様に必ず現れます。
今は楽しみに待ちましょう。

投稿: aqua1931 | 2006年11月13日 (月) 11時02分

 aqua1931さん,こんにちは。
 コメント表示の件,申し訳ありませんでした。最近悪質なTB等が多くなってきていまして,表示を保留状態にしています。昨日は私が管理をすっぽかしておりご迷惑をおかけしました。これに懲りず,またコメントお願います(^^;)
 さて,最近ではヨーロッパのカテゴリーからステップアップするドライバーが多くなりましたが,フォーミュラ・ニッポンもレベルの高いカテゴリーですよね。歴代王者の名を見ても,F1で十分通用することがわかります。後はおっしゃるとおり「海外での柔軟性」がポイントでしょうか?日本から羽ばたく若手の出現を期待して待ちたいと思います。ではでは!
 

投稿: KAZ | 2006年11月14日 (火) 10時33分

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