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2006年11月 6日 (月)

プライベーターの台所事情

 何か新しい物事を始めるためには,必然的にお金が必要になってくる。某生命保険会社に言われるまでもなく,お金は大事なものであり,その使い道はよく考えなければならない。収入と支出のバランスを考えながら物事を行うのは,個人であろうが企業であろうがその規模が違うだけで,考え方まで変わるわけではない。F1チームも企業である以上,当然収支バランスのとれた経営が必要になってくる。しかも彼らは活動予算のほぼ全てを,スポンサーからの資金に頼っている。従って予算は無尽蔵にあるわけでなはなく,費用対効果が確実に現れるような投資をしなければらならない。

 このほどF1チームの利益と損失がニュースとなった。ワークスチームは年間数百億円の資金をつぎ込んでいると言われるが,今回具体的な数値が示されたのは主にプライベーターの予算である。それによると,今シーズン新規参入を果たしたSAF1が9,500万ドル(約112億円),ミッドランドを買収したスパイカーが7,600万ドル(約90億円),レッドブルの兄弟チームであるトロ・ロッソが6,600万ドル(約78億円)・・・といった具合である。もちろんF1チームの収支決算は決して明らかにされることはなく,発表されたこれらの金額も全て憶測の域を出ないが,大きなズレはないものと思われる。

 これと合わせて明らかになったのが,ウィリアムズの収支決算である。2005年末での決算と思われるが,契約を残していたBMWとのエンジン供給の解除,及びジェンソン・バトンを手放したことによる違約金により,6,000万ドル(約71億円)の利益を上げたとされている。昔からウィリアムズは,「マシンには金をかけるが,ドライバーには金をかけない」ことで有名である。契約金の高騰を嫌い,デイモン・ヒルやジャック・ビルニューブなど,チャンピオンを獲得した翌年にチームを追われた者も多い。技術力に絶対の自信があるからこそ,「ドライバーの腕は関係ない」という強気のチーム運営ができたのであろう。近年はその技術力も,めっきり影を潜めてしまっているが。

 それにしてもF1チームの参戦費用には,あきれるばかりである,来シーズン新型シャシーを導入するチャンプカーシリーズは,新規参戦を増やすため新チーム向けの格安参戦パッケージを設定した。それを元にした標準的な参戦費用は,1台体制で年間約4億円。2台体制を組んでも約7.5億円と,F1チームの10分の1以下という金額である。もちろんシャシーがワンメイクであることを始めとして,F1とチャンプカーを直截比較することはできない。それでもF1は,プライベーターにとって敷居の高いカテゴリーであることには変わりない。一つ間違えば身ぐるみ剥がされてしまう魑魅魍魎の世界に,よくもまぁSAF1は参戦したものである。その情熱と行動力に,ただただ脱帽・・・。

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コメント

 SAF1の参戦に対し、かの林みのる氏は、童夢HPでのコラムで忌憚の無い意見を述べていらっしゃいますね。
http://www.dome.co.jp/column/dt_53c.html
 まさに真剣に参戦を企画し、一敗地にまみれた林氏ならではの、厳しい中にも愛情あふれる記事でした。

 ロータスのウイング・カーが戦闘力を発揮し、バーニーが主権を握って以降、非常にステータスが向上したF1ですが、それに乗じた形で参戦費用が向上し、ホンダのテレメーターの導入はそれに拍車をかけ、ついには今日の事態となりました。

 F1はレースの最高峰であるが故に、敷居の高い格式であるのは理解できますが、今や常に1/1サイズの風洞を常時稼動させなければ、優勝を争えないほど異常に肥大してしまったその姿に慄然とします。

 ワークスでしか勝てない今の姿は、決して健康体であるとは言えない状態です。
「すべてのスポーツは体に悪い」
タモリの言葉はある種至言と言えますね。

投稿: aqua1931 | 2006年11月 7日 (火) 00時42分

 aqua1931さん,童夢の情報ありがとうございました。私も早速見てみましたが,ご自身がF1参戦を模索していたこともあり,誰よりも重みのある記事ですね。
 「友達の息子だから協力してやらなくちゃというスタンスもあるなと思えるようになってきた」という林氏の言葉が何を意味するか不明ですが,童夢が「レーシング・コンストラクター」から,「レーシング・チーム」として体制強化を図っていることと何か関連があるのでしょうか?
 怒濤の1年を終えたSAF1ですが,オフシーズンの動きにも注目していこうと思います。ではでは。

投稿: KAZ | 2006年11月 7日 (火) 18時00分

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