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2006年11月17日 (金)

The Power and Mileage

 「The Power of Dreams」CMでもよく目にする,ホンダのキャッチコピーである。最近でこそ環境問題に積極的に取り組むことは,自動車メーカーの生き残る道とされている。しかし,つい20年前までは「The Dream of Powers」の時代であった。日本の自動車メーカーの中でいち早く環境技術に着目していたホンダも同じである。当時のF1はターボ全盛時代。1000馬力を超える獰猛なエンジンを搭載したマシンが,サーキットを駆けめぐっていた。その終焉の年となった1988年にはマクラーレン・ホンダが,16戦15勝という前人未踏の記録を打ち立てている。しかし,そのあまりの速さからターボエンジンは消滅し,自然吸気エンジンの時代となった。

 ところがマックス・モズレーFIA会長は,自然吸気エンジンはいずれ終焉を迎え,ターボエンジンの時代が来るという。これは一体どういうことだろうか。現行のエンジンは来シーズンから3年間,基本的な開発が凍結される。それ以降のエンジン・レギュレーションについては,各メーカーとの話し合いが進められているが,中でも争点になっているのは「環境性能」である。環境問題が深刻化するにつれ,ガソリンを大量消費するイメージの強いモータースポーツは風当たりが強くなる。その頂点に位置するF1が環境問題を意識することは,時代の流れから見れば当然のことである。

 新世代F1エンジンの基礎となるレギュレーションは,果たしてどのようなものになるのだろう。モズレー会長は以前にも,「使用できる燃料の量を制限する代わりに,排気量を指定しないことを考慮している」と語っている。燃料が制限されるということは,パワーと燃費が両立されたエンジンを開発する必要がある。現行エンジンは開発の余地が極めて少なく,出力を1%上げるために莫大な資金が投じられている。重箱の隅を顕微鏡でつつくような開発を続けるよりも,生産者にフィードバックできる環境技術を駆使してエンジン開発をする方が,自動車メーカーにとってもメリットが大きいだろう。

 モズレー会長によれば,ターボエンジン復活の目的は,効率的な燃料消費を目指すためだという。しかし,これは各メーカーの考え方次第だろう。一般的にターボエンジンはパワーは出るものの燃費が悪く,パーツ数も増えるため当然重量も重くなる。それでもターボエンジンを復活させるというのであれば,そのデメリットを補う技術を競うこととなる。いずれにせよ新世代エンジンは,燃費がキーワードとなることは間違いない。新しい技術に挑戦することほど,エンジニアの心をくすぐるものはない。「燃費性能こそ環境性能」と謳うホンダなど,喜々として開発に取り組むだろう。3年間のエンジン凍結が終わった時,あっと驚くようなエンジンが登場するかもしれない。

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コメント

 石油は近い将来枯渇する、と言われてはや数十年、いまだに新たな有力油田が発見されたりしていますが、資源は有効に使うにこした事はありません。省資源化はいつの時代も重要なテーマとなります。
 それは勿論、放っておけば無限に金を使ってしまうF1も同様で、色々と規制の網はかけられ続けてきました。あまりに細かな規制は、同じようなシャシー、エンジンを生む元となり、いつしか袋小路へと入り込んでしまいます。
 今回のモズレーの発言は、珍しく有意義な発言となるかもしれません。エンジンの規制が緩くなると、ターボは元よりディーゼルや次世代のハイブリッド、燃料電池エンジン(モーター?)にまで夢は広がります。
 近々の次世代エンジンとしてターボが再登場するなら、噂の日産参戦も有りえるかもしれませんね。

投稿: aqua1931 | 2006年11月17日 (金) 23時57分

 aqua1931さん,こんばんは。
 モズレー会長のエンジン規制緩和案は,私も有意義なものだと思います。確かに新規開発のコストはかかるでしょうが,新しい技術開発の場がなければ,メーカーの参戦する意味は半減してしまいます。FIAとGPMAも和解したようですし,これからは中長期的はエンジン開発に取り組んでいくことになるのでしょう。ハイブリッドF1が走る姿も見てみたいですね。ではでは!

投稿: KAZ | 2006年11月18日 (土) 17時33分

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» F1:2011年にターボエンジン復活!? [Escape Zone]
こないだGPMAと和解したFIAのモズレー会長が、エンジンレギュレーションについて上記のような発言をしたのだ。 もちろん昔々のような激烈なパワー競争目的ではなく、環境問題への配慮ということらしい。そのため、1989年以来続いていたNAエンジン(自然吸気エンジン)が廃...... [続きを読む]

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