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2006年12月 6日 (水)

レッドタイヤ・ルールの課題

 スポーツとエンターテイメントの両立は難しい。真剣勝負のプロの世界に,エンターテイメント性を持たせようとすれば,どうしても意図的な介入が必要になる。ルールを変更することは幾らでもできるが,それが八百長まがいのことになってしまっては元も子もない。モータースポーツの世界にも,レースを面白くするために,様々なルールが存在する,GP2やF3などで行われている「リバースグリッド」や,スーパーGTなどで実施されている「ウェイトハンデ」,さらにNASCARでは,シリーズ上位者のポイントをリセットする「チェイス」などが導入されている。これらのルールには多少問題があるものの,意図的に差をなくすことで接戦を演出している。

 さて,来シーズンF1でも,エンターテイメント性を重視した新たなルールが誕生するかもしれない。既にチャンプカーで導入されている「レッドタイヤ・ルール」と呼ばれるものである。通常レースに使用するタイヤは,ソフトとハード2つのコンパウンドを持っており,各チームはマシンと路面状況に合ったタイヤを事前に選択し,レースを行っている。しかし,レッドタイヤ・ルールは,レース中にソフトとハード両方のタイヤを強制的に使用させ,意図的な接戦を演出しようというものである。チャンプカーでは,ソフトタイヤの側面を赤くペイントしていることから,この呼び名が付けられている。

 しかし,この「レッドタイヤ・ルール」には,幾つかの課題がある。まず「観客はどちらのタイヤが有利であるかわからない」ということである。最適なパフォーマンスを発揮するタイヤが,必ずしもレッドタイヤ(ソフトコンパウンド)であるとは限らない。見た目上ソフトとハードの区別はつくが,それが有利か不利かはマシンにより異なる。もうひとつは「レッドタイヤの投入に選択の余地がない」ということである。あるチームのエンジニアによれば,そのルールが導入されても「路面状況にあったタイヤで2スティントを走り,最後の1スティントは路面状況に合わないタイヤで逃げ切る」という作戦しか採りようがないというのだ。これでは意図的な接戦を演出することはできない。

 このルールを導入するどうかについては,今後FIAとブリヂストン,そして各チームとの間で話し合いが持たれることとなる。しかしブリヂストンの菅沼寿夫/テクニカル・マネージャーは,「FIAが違う色で印を付けるの決めるのであれば,我々は喜んで協力する」としている。菅沼氏自身「個人的にF1がもっと面白くなることは重要」とも話しており,「レッドタイヤ・ルール」が導入される可能性は高い。エンジン開発凍結や統一ECUの導入など,今後FIAによる規制は更に強まることが予想される。参戦費用削減の為とはいえ,モータースポーツの最高峰たるF1がワンメイクばかりでは・・・。

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