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2006年12月 8日 (金)

続・混迷のシャシー問題

 「口は災いの元」と言われる。人間は誰しも完璧ではなく,「ついうっかり」「口が滑って」しまうことも間々あることだ。しかし,たった一言が取り返しの付かない事態を生み出すこともある。それ故,注目される人物であればあるほど,発言には慎重にならなければならない。さて,昨日発売されたAUTO SPORT誌に,SAF1鈴木亜久里代表の興味深いインタビュー記事が掲載された。そこには,バルセロナから投入された暫定マシン「SA06改」の製作過程が語られていた。詳細は省略するが,要はバルセロナでチーム側が発表した「PWC(ポール・ホワイト・コンサルタシー)がデザイン,ホンダ技研栃木研究所で製作された」という主張を繰り返すものとなっている。

 それだけであれば目新しものはないのだが,気になる表現が一つある。それは,亜久里代表が以前「ホンダのクルマを借りる」と語っていたことを,「ホンダのクルマを使う」と微妙に言い回しを変えていたことだ。そして,このホンダとは「ホンダレーシング」ではなく,「ホンダ技研栃木研究所」を指す言葉だったとしている。つまり,以前亜久里代表の発言は言葉が足りなかっただけであり,SA06改はRA106ではないとしているのだ。果たしてこれは本当なのだろうか。「借りる」と「使う」では,全く意味が違ってくる。事実を霧の中に隠す言い訳に聞こえてしまうのは,私だけではないはずだ。

 シーズンオフになって突然登場した,PWCの存在も奇妙である。チームの説明によるとPWCは,「今シーズン始めからSAF1と栃木研究所の間に入って研究開発を進めていた」らしいが,それならばなぜこの組織は,今まで秘密にされていたのだろうか。そもそもポール・ホワイト氏率いるPWCは,わずか数週間前に正式に設立されたとも言われている。もしそれが事実であるならば,SA06改がPWCデザインのマシンであるはずがない。今まで誰もその存在を知らなかったマシンが,現在もへレスで順調な周回を重ねているのだ。デビューしたてのマシンがトラブルフリーで走行することなど,滅多にあることではない。チームや亜久里代表がいかに否定しようとも,SA06改がRA106ベースであることは間違いないのだ。

 では,なぜそのような苦しい言い訳をしてまで,SA06改をSAF1オリジナルのマシンと言う必要があるのだろうか。考えられる理由はただ一つ。他チームにSA07を「RA106をベースにしたマシン」と言わせないためである。RA106を「借りて」テストをしてしまえば,あからさまに「SA07はRA106改である」と言っているようなものである。それをライバル達が黙って見過ごすわけがない。しかし,SA06改がPWCデザインのオリジナルマシンであると主張しておけば,SA07は「SA06改をベースにしたマシン」として堂々と投入できると踏んでいる・・・。まだまだ混迷は続きそうだ。

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