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2007年1月31日 (水)

SAF1に残された時間

 「寝耳に水」ということわざの字が示す通り,思いがけない知らせは寝ている時にやってくるのだろうか。今朝,寝耳ならぬ寝ぼけ眼に飛び込んできたのは,SAF1が3月12日(月)に東京で,新型車SA07の発表会を行うという知らせであった。一瞬疑問に思ったのは,やけに遅いその期日だったが,これはすぐに解決した。今回は発表会の期日が示されただけであって,シェイクダウンをするという意味ではない。従ってSA07はヨーロッパでテストを行った上で日本に運ばれ,発表後に開幕戦の地オーストラリアに搬送されるものと思われる。外電は,「クラッシュテスト不合格なったことが関係している」と伝えているが,それもさして大きな影響はなかったのだろう。

 それ以上に驚いたのは,発表会が東京で行われるという事実である。新車発表会というと,チームの母国やメインスポンサーの国で行うのが一般的だが,最近はサーキットで行い,そのままテストに突入するチームも現れている。それを考えれば,SAF1の東京発表会は,至極当然のこととして捉えられる。しかし,日本のチームがF1と参戦を始めてから実に40年以上の月日が流れる中で,初めて日本で正式な新型車発表会が行われることは,トヨタでもホンダでもなく,SAF1こそが真の日本チームであることを象徴している。Born in Japanを掲げる,SAF1の面目躍如といったところだろう。

 さて,ここで疑問が湧いてくる。SAF1のメインスポンサーは,果たしてどの国の企業なのかと言うことである。12月中,或いは年明け早々と思われていたメインスポンサーの発表は,1月が終わろうとしている今になってもその気配がない。その代わりに明らかされた,新型車の日本発表・・・。一時はリザーブドライバーのギド・ヴァン・デル・ガルデの起用などから,「メインスポンサーはオランダ企業か?」とも噂されたが,やはり日本の企業なのだろうか。さらに鈴木亜久里代表が「決まったらきっと驚くと思うよ」と,しきりに発言していた事も気になる。単なるスポンサーにとどまらない,SAF1の根本をひっくり返すようなパートナーなのか。勝手な妄想はとどまることを知らない。

 シャシー問題も含め,開幕に向け相変わらず不確定要素の多いSAF1であるが,昨年と大きく異なっているのは,オフシーズンのテストが順調に進んでいることだろう。昨日からスペイン・バレンシアで行われている合同テストでは,エースの佐藤琢磨がインテリムカーでの走行を続けている。新型車でテストする姿を早く見たいものだが,それは2月下旬から行われるバーレーン合同テスト,間に合わない場合はその後に予定されるプライベートテストまで待たなければならないだろう。1月も終わりを告げ,開幕戦オーストラリアGP決勝まで残り46日。SAF1にとって,残された時間はそう多くない。

参照リンク:@nifty F1通信

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2007年1月30日 (火)

頑固者の誇りにかけて

 世の中には,いかなる困難な状況であっても自分のポリシーを曲げず,確固たる信念を持った「頑固者」と,時代の流れに合わせて,最も効果的・効率的な行動をとる「現実主義者」がいる。もちろん人の生き方は千差万別,十人十色であり,どちらの生き方が正しいと言うことはない。人により様々な考え方,生き方があるからこそ,この世界は面白いのである。さて,「頑固者」と「現実主義者」をF1オーナーに例えるなら,前者はウィリアムズのフランク・ウィリアムズ代表であり,後者はトロ・ロッソのゲルハルト・ベルガー/共同オーナーということになるだろう。そしてこの二人は,このオフシーズン最大の懸案事項であるシャシー問題で,激しい火花を散らしている。

 シャシー共有に断固反対の姿勢を示すウィリアムズ代表は,トロ・ロッソとSAF1の新型車について,法的措置に持ち込む用意があることを明らかにしている。それに対しベルガー共同オーナーは「最終的な判断を下すのはFIAであり,ウィリアムズに言われる筋合いはない」と,強烈な反論をしている。ウィリアムズ代表の行動は,昨年からシャシー問題に強硬な姿勢を示してきた,スパイカーのコリン・コレス代表と同じである。しかし,この二人には明らかな信念の違いがある。それはコレス代表が,自チームのポジションを守ろうとしているだけなのに対し,ウィリアムズ代表はコンストラクターとしての意義,そしてF1の伝統を守るために行動を起こしているという点である。

 「車いすの闘将」と称されるウィリアムズ代表は,下半身不随のハンディをモノともせず,長年にわたりF1を戦ってきた生粋のレース人間である。それだけに彼の発言には非常に重みがある。今や完全な商業レースとなってしまったF1に於いて,ウィリアムズ代表は最後のプライベーターとして孤軍奮闘してきた。どんな苦境に陥っても決して大企業の軍門に下ることなく,ウィリアムズは今もレーシング・コンストラクターとしてのプライドを保っている。それは彼の「我々はいわゆる伝統を重んじるチームであり,2つのワールドチャンピオンシップの為に戦っている」という言葉にも表れている。

 そんなウィリアムズ代表にしてみれば,コンストラクターとしての誇りを捨て,安易にカスタマー・シャシー(に近いマシン)を使うことなど,断じて許せないのだろう。誇り高き英国人オーナーの姿勢に,多くのF1関係者は尊敬の念を持っていることも事実である。かつてバーニー・エクレストンFOM会長は,「F1にある4つの宝」を挙げている。それはモナコGPにフェラーリ,そしてマクラーレンとウィリアムズであったという。頑固者の誇りにかけ,大企業の工場進出にたったひとりで立ち向かう町工場の老社長・・・。なんだかしんみりしてきたなぁ。

参照リンク:@nifty F1通信

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2007年1月29日 (月)

RB3にかかる将来

 同じものを作るにしても,作者が違えばその形も異なるものである。しかし,作者が同じであった場合は,違う物を作っても,過去の作品と似通ってしまうのは仕方のないことだろう。そしてそれが,「誰某らしさ」というような,作者個人の持つアイデンティティーとなる。従って,先日発表されたレッドブルの新型車RB3が,過去数年間のマクラーレンと似ていても何ら驚くことはない。どちらも稀代の天才デザイナーである,エイドリアン・ニューウェイ/チーフ・テクニカル・オフィサーのデザインであるからだ。ニューウェイ氏自身も,「RB3がいくらか”マクラーレンっぽい”ことは疑いようのない事実だ」と,過去に自らがデザインしたマクラーレンとの関連性を認めている。

 レッドブルRB3を見ると「青いマクラーレン」と表現される部分は多く見つかる。平たく低い位置に垂れ下がったフロントノーズ,ゼロキールとなったサスペンションの取り付け,下部が大きくえぐれたエントリーダクトと,それに続く曲線的なサイドポッド・・・。しかしRB3には,それらニューウェイの経験が生かされたものだけでなく,レッドブルの経験から生まれたもの,そして全く新しいアイディアも含まれているという。また,搭載エンジンの決定が遅れたことについては,「設計の段階においてはそう大きな影響を与えなかった」と,ルノーであれフェラーリであれV8エンジンである以上,大幅な変更を強いられたわけではないことを強調している。

 さて,レッドブル期待の新車RB3をドライブするのは,チーム3年目となる大ベテランのデイビッド・クルサードと,ウィリアムズで本人曰く「不遇の2年間」を過ごした,マーク・ウェバーである。特にクルサードは,このRB3を待ち望んでいたことだろう。クルサードとニューウェイというコンビは,ウィリアムズ,マクラーレンに続き3チーム目となる。数々のチャンピオン・マシンを世に送り出してきたニューウェイの最新作に,クルサードが期待をするのも無理はない。一方のウェバーも,自らの存在感をもう一度示すためにも,クルサードを引退に追いやるような速さを見せつける必要がある。

 様々なアイディアを詰め込んだニューウェイの最新作に,チャンピオンエンジンのルノーが搭載される。これだけを考えても,RB3にかかる期待は否応にも大きなものになる。しかし,それだけでトップチーム並みの速さが発揮できるかというと,F1はそう簡単なものではない。ニューウェイ自身も,「最初はエアロダイナミクスの面で,トラックでは遅いかもしれない」と,周囲の過度な期待を牽制している。2008年以降,レッドブルがコンストラクターとして参戦するのか,それともカスタマーシャシーを購入することになるのか。チームの将来は,新型車RB3にかかっている。

参照リンク:@nifty F1通信

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2007年1月26日 (金)

発進!真のオールホンダ

 欧米人から見ると,独特の文化を持つ日本人の考え方は,なかなか理解できないものらしい。国際的なスポーツであるF1にも,今でこそ多くの日本人が関わっているが,40年以上も前,ヨーロッパ主体で行われているこのスポーツに,日本人が挑むことは並大抵のことではなかっただろう。ホンダの第1期F1参戦は,技術的な部分だけではなく,精神的な部分での苦労も耐えなかったと言われている。自動車後進国の日本生まれのF1マシンなどとうてい勝てる代物ではないと,最初は誰もが鼻で笑っていたのだろう。それ故ホンダのメキシコGP初優勝は,驚きを持って世界に伝えられた。そして昨日,RA301以来実に39年ぶりのオールホンダマシンとなる,RA107が誕生した。

 かねてからの情報通り,今回の発表は技術的な部分だけであり,発表はスペイン・バルセロナでの記者会見のみと,非常にシンプルなものとなった。マクラーレンが総額15億円とも言われる大発表会を行ったのとは対照的である。もっともカラーリングを含めた正式発表は2月中旬に予定されているので,そちらは大々的なものになるかもしれないが。さて,記者会見と前後して,チームは同サーキットで新型車を走行させている。オフシーズン定番のブラック・カラーのままのRA107は,ルーベンス・バリチェロの手により約40周を走行。その後ジェンソン・バトンの手に託されたものの,ギア・ボックスのセンサートラブルに見舞われ,この走行は1周もできずに終了している。

 さて,RA107は漆黒のカラーリングのため,マシン各部の詳細は不明だが,フロントノーズが細くなり,サイドポットも低く細く絞り込まれたことで,RA106より全体的にシャープになった印象を受ける。そのRA106でホンダが火をつけ,他チームがこぞって導入したカーリーフィンはさらに大型化され,ホンダのオリジナリティを保っている。昨年既に19000回転を突破し,2万回転に迫る勢いだったエンジンは,ホンダご自慢のシームレスシフトと合わせ抜群の性能を誇っている。唯一の不安はタイヤとのマッチングたが,これもSAF1とのデータ共有を進めており,大きな問題はないだろう。

 ニック・フライ代表は「英国と日本にあるホンダ施設間の素晴らしい協力の成果を発表できて誇りに思う」とコメント。同時に「RA107は二国のチーム,世界をまたにかけた絶え間ないコミュニケーション,強力なチームワーク,素晴らしいチーム・スピリットの賜物である」と語り,日英の協力体制の結晶が新型車であることをアピールした。また,体制変更がほとんどない点にもふれ,チームの安定性が成績向上につながることを主張している。チームワークと勤勉さを兼ね備えたチームが,どれほどの成績を残せるのか。真のオールホンダがいよいよ発進した。

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2007年1月25日 (木)

R27は南仏の香り

 新しいデザインを見るのは楽しい。使用目的が同じであっても,作る者の考え方の違いにより,その姿形は大きく異なってくる。レギュレーションというとりわけ厳しい枠=Formulaの中で製造されているF1マシンも,デザイナーを中心とするチームの考え方によって,実に様々なマシンが生み出される。トヨタTF107,フェラーリF2007,BMWザウバーF1.07,マクラーレンMP4-22と,先週から2007年型の新型車が続々と発表されているが,どれ一つとして同じ姿形をしたマシンはない。これがF1の大きな魅力であり,他のワンメイクカテゴリーでは決して見られないものである。

 そんな中,昨日正式発表されたのが,ルノーの新型車R27である。このマシンは既に先週からスペイン・へレスでテストを行っており,姿形は広く知られている。デザインも昨年型R26からの正常進化型であり,取り立てて大きな変更点はない。唯一目立つのは,サイドミラーを融合したカーリーフィンくらいのものだろう。フェラーリも昨年型の248F1から,ミラーをサイドポッドの前端に設置している。近年のF1マシンは,様々な空力付加物により後方視界の確保が難しくなってきており,A23ベースのSA05がデビューした際には後方が全く見えず,急遽ミラーのステーを延長する対策が採られたほどである。今後,同様の位置にミラーを設置するマシンが出るかもしれない。

 今回の発表で最も注目されたのは,メインスポンサー変更に伴うマシンのカラーリング変更である。1994年から実に13年間,ベネトン~ルノーのメインスポンサーを務めてきたマイルドセブン(JT)が撤退したことにより,慣れ親しんだライトブルーはマシンから姿を消している。替わって新たなメインスポンサーINGのコーポレートカラーである,オレンジ・ホワイト・ブルーが,ルノーのイエローとともに配色された。ルノーがINGのお膝元,オランダ・アムステルダムで新車発表を行ったことから考えても,今回のメインスポンサー契約が長期かつ巨額であることを裏付けている。マイルドセブン時代には,一度も日本で新車発表をしなかったが。コストが高いからだろうけど。

 昨年までのライトブルーとイエローは,フェルナンド・アロンソの出身地オビエドのあるアストゥリアス州の旗と同じ組み合わせであり,毎年スペインGPは青一色に埋め尽くされていた。そのアロンソがマクラーレン移籍したことは,ルノーの一時代が終わったことを意味している。暖色系の色に染められた新生ルノーが,今季どれほどの戦闘力を発揮できるかは,背水の陣の新エース,ジャンカルロ・フィジケラにかかっている。ヘイキ・コバライネンも注目の新人だが,いきなり速さを見せるのは難しいだろう。それにしても何度も見てもこのカラーリング,南仏の香りがするんだよなぁ・・・。

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2007年1月24日 (水)

シャシー問題の着地点

 「2度あることは3度ある」という言葉が示すように,どういうわけか悪いニュースは続いてしまうことが多い。昨日の「SA07クラッシュテスト不合格」に続いて,またもSAF1にとって悪いニュースが飛び込んできた。以前から懸案となっていたSAF1とトロ・ロッソのシャシー問題が,再び暗礁に乗り上げてしまったのだ。両チームの手法に対し,強く反対姿勢を示しているスパイカーのコリン・コレス代表は,「問題が解決されなければ調停も辞さず」という立場を崩していない。先週16日に行われた代表者会議では,この問題に対する解決策を模索するため,FOMのバーニー・エクレストン会長が妥協案を提示したが,これも全チームの同意が得られなかったと伝えられている。

 シャシー問題に関しては,もうずいぶん長い時間議論が続いているのだが,未だに有効な解決策が見いだされていない。以前「シャシー問題へのアプローチ」でも述べたように,新型車に対するSAF1とトロ・ロッソの手法には明らかな違いがあるものの,両チームともマシンの知的所有権が第3者にあることを主張している点では一致している。しかし,スパイカーをはじめとする反対チームが問題にしているのは,そんなに複雑なことではない。要するに両チームの新型車が,ホンダRA106とレッドブルRB2をベースとしていることが気に入らないのである。そして,いくら両チームがあの手この手の「裏技」を使おうとも,これだけは変えようのない事実なのである。

 開幕戦まで2ヶ月を切り,シャシー製作が進んでいる今となっては,SAF1とトロ・ロッソは自分たちの正当性を訴えるしか術がない。両チームの戦闘力が上がることで,最も影響を受けるスパイカーとしても,自チームのポジションは是が非でも守りたい。彼らが今後も強硬な反対姿勢を示すことは目に見えている。そうなってくると全会一致が大原則である代表者会議では,これ以上議論を重ねても解決する可能性は低く,今後シャシー問題が議論されることはないだろう。現時点に於いて最も可能性が高いのは,このまま解決策が見つからないまま,開幕戦を向かえることである。

 混迷を極めるシャシー問題が行き着く先は,一体処なのだろうか。開幕戦前にFIAが何らかのアクションを起こさないければ,SA07とSTR2は開幕戦オーストラリアGPに運ばれることになる。そこでの車検で違法と言われれば,両チームは開幕戦に出走することはできない。そんなことになれば,両チームがダメージを受けることはもちろんのこと,F1自体のイメージダウンも避けられない。解決のためにエクレストン会長が乗り出していることから見ても,FIA&FOMとしてもこの問題の着地点を探しているのは間違いない。2度あることは3度ある・・・。明日は悪いニュースがないことを祈ろう。

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2007年1月23日 (火)

SA07に押された烙印

 我々の人生には,数々のテストが待ちかまえている。中には合格するかしないかで,後の人生が大きく変わってしまうものもある。折しも日本では大学入試センター試験が終わったばかりであるが,ここでの結果は55万人もの受験生の今後に大きな影響を及ぼすこととなる。苦労の末合格すれば,その先の計画を進めることができるが,不合格であれば問題点を改善し再チャレンジしなければならない。2年目のシーズンに向け新車SA07を開発中のSAF1が,思わぬ再チャレンジを強いられることとなった。FIAによるクラッシュテストで,SA07が不合格となってしまったのだ。

 GPを走るF1マシンは,FIAによるクラッシュテストに合格していなければならない。クラッシュテストはモノコック等に機械的な力を加え,FIAの定めるの強度基準を満たしているかを調査するものである。あらゆる方向からマシンの強度を調査するこのテストは,F1マシンの安全性を高めるために必要不可欠なものであり,それ故非常に厳しいテストであると言われている。クラッシュテストに一発合格することは,チームの技術力の高さを証明することになる。しかし,数年前にマクラーレンのモノコックが不合格になったこともあり,常にギリギリを狙うF1チームにとって苦労の多いテストなのである。

 そのクラッシュテストで,SA07は不合格の烙印を押されたのであるが,ここで一つの疑問が生まれる。栃木研究所が製造したと思われるインテリムカーが登場した際に,SAF1の鈴木亜久里代表は「2007年のクラッシュテストにも合格するように作られている」と話していた。それならばなぜインテリムカーがベースであるはずのSA07は,クラッシュテストで不合格になってしまったのだろうか。もちろんインテリムカーとSA07は「別のマシン」であるため,その製造過程が異なるものであることは推測される。しかし,その原因が設計段階での根本的な強度計算ミスであるとは考えにくい。製造段階での品質的な強度不足であったならば,若干の補強をすることで対処ができる。

 紛れもない事実は,SAF1は再度対策をし直し,クラッシュテストに合格する必要があるということである。2月上旬に予定されていたSA07の発表は,少なくとも月下旬まで延期される見通しであると伝えられている。日進月歩のF1界に於いて足踏みをすることは,即後退を意味する。更にクラッシュテスト合格が遅くなれば,最悪開幕戦に旧型車を投入せざるを得ない状況になり,今季の計画は大きく崩れてしまうことになる。そもそもSA07自体がレギュレーション違反の疑惑をかけられている中で,FIAが意図的にクラッシュテストを不合格にしたわけでもあるまいが,SAF1がクリアしなければならない課題は多い。2年目も受難のシーズンになるのかなぁ・・・。

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2007年1月22日 (月)

脱欧州化は加速する

 国際人・地球人がもてはやされている昨今だが,いざ海外に出ると自分が日本人であることを痛感する。いかに国際人を気取ろうと,海外の人々から見れば我々は純然たる日本人である。ならば,日本人である自分のアイデンティティーを示すことが,最も自分をアピールできる方法なのかもしれない。さて,F1ドライバーたちも,母国でのGPには特別な想いを持っている。もっとも全てのF1ドライバーに,母国GPがあるわけではない。昨年F1に参戦したドライバーのうち5人は,母国でのF1開催がなかった。逆に母国人ドライバーが参戦していないもののF1が開催されてた国は,バーレーン・マレーシア・トルコ・ハンガリー・中国と,最近はF1開催地が広域化する傾向にある。

 元来F1は,欧州貴族たちのお遊として始まったのだが,今やオリンピック・サッカーワールドカップと並び,ビッグビジネスを生み出す国際的なスポーツである。F1の興行を取り仕切るFOMのバーニー・エクレストン会長は,新たなビジネスチャンスを求めて,世界各国のサーキットと交渉を続けている。すでに2008年から韓国でのGP開催が約束されており,インド・シンガポールなども2009年からの開催を目指している。マレーシアは採算がとれないとして,2010年からのGP開催が微妙な情勢になっているものの,成長著しいアジア各国でのF1開催は,今後確実に増えると予想される。

 そんな中で最近注目されているのが,アラブ首長国連邦など,中東の国々である。豊富なオイルマネーを武器に高い経済力を持つ中東の国々は,近年F1への関わりを深めてきている。昨年はエミレーツ航空がマクラーレンに,今季はムバダラ開発がフェラーリのスポンサーとして名乗りを上げた。マクラーレンに至っては,株式の30%をバーレーンの持ち株会社が獲得するなど,今やオイルマネーはタバコマネーに変わりF1の台所を支えようとしてきている。アラブ首長国連邦の首都アブダビでは,2月3日に「F1ストリート・フェスティバル」を開催される。各チームにはエクレストン会長から強い参加要請があったと言われており,いかに中東を重要視しているかがが伺える。

 ヨーロッパでも新たな開催地が噂に挙がっている。先日マクラーレンがド派手な新車発表会を行ったバレンシアは,ストリートコースとして新たなスペインGPの候補地として考えられている。また,ギリシャでもF1開催を視野に入れた新サーキット建設の動きが高まってきており,今後F1の開催地はより広域化することが考えられる。開催地が増えるたびに,エクレストン会長の懐には莫大な収益が転がり込む。とは言え世界各国を転戦するF1は年間最大20戦が限度だろうから,伝統ある欧州のサーキットも安穏としてはいられない。それでもF1の脱欧州化は,間違いなく加速するだろうが・・・。

参照リンク:@nifty F1通信

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2007年1月19日 (金)

左近の適切な環境

 人が成長するために最も重要な要素が,その人を取り巻く生活環境である。幾ら才能あふれる人物であっても,それに見合った環境にいなければ,才能を開花させることは難しくなる。逆に,適切な環境を手に入れれば,自身の能力を大幅に向上させることもできる。F1に辿り着くためにも,適切な環境を手に入れる必要がある。以前「チャンスを生かす能力」でも述べたことだが,F1ドライバーになるためには、適切な時期に,適切なポジションにいることが重要なのである。今季SAF1のセカンドテストドライバーとしてチームに残る一方,自身の能力をアピールすることの出来る場所を探していた,山本左近の参戦カテゴリーが決定した。

 左近の選択したカテゴリーは,今や「F1予備校」として多くの若手がしのぎを削るGP2シリーズ。注目の所属チームは,過去2年間日本人として唯一参戦していた吉本大樹が所属していたBCNコンペティションに決定した。BCNは決してトップチームとは言えないものの,F1関係者の目にとまることの多いGP2に参戦できたことは大きい。ARTAが参戦しているフォーミュラ・ニッポンに戻ることも考えられただろうが,ヨーロッパから離れてしまっては,F1との距離が開いてしまうことになる。2008年からのレギュラー再昇格を目指す左近にとって,GP2は最も適切な環境であると言えるだろう。

 既に今季のGP2には,DAMSから中嶋一貴が,トライデントから平手晃平が,それぞれ参戦することが決定しており,これで3人のドライバーがF1予備校に入学したわけである。国際F3000時代を通じて,3人もの日本人ドライバーがF1直下のカテゴリーに参戦したことはない。ただ海外に行けばいいというわけでもないが,これが日本でレースをする若手にも大きな刺激になることは間違いない。過去2シーズン,GP2で上位の成績を収めた者は,確実にF1のシートを手に入れている。裏を返せば,GP2で速さを見せられない者に,F1のシートが与えられることはないのだ。自身を最も厳しい環境で鍛え上げることができれば,左近の再昇格は現実のものになるだろう。

 一方で左近のGP2参戦は,実質的に彼の金曜フリー走行でのドライブがないことを意味する。尤もこれは,リザーブドライバーのギド・ヴァン・デル・ガルデが金曜走行を明言していたことから,ある程度予想されたことではある。昨日に引き続きへレスでテストを続けているSAF1は,アンソニー・デビッドソンがチーム初となるトップタイムをマークするなど,好調さを内外にアピールしているが,プライベートテストが制限させる中では,左近がSAF1のテストを行うチャンスは極めて少なくなるだろう。そのためにも左近はGP2で結果を残すしかない。「ポスト琢磨」は果たして誰になるのか?今季は左近を含めた「GP2トリオ」も要チェックである。

参照リンク:@nifty F1通信

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2007年1月18日 (木)

化けるのはどこだ!

 今までノーマークだった人間が急に力を付けてくることを,俗に「化ける」と言う。人間には人生の中で急激に成長する時期があり,それが顕著な場合が「化けた」状態である。F1ドライバーやチームでも,時々こういったケースを目にすることがある。2004年のB.A.Rホンダなどは化けたチームであっただろうし,昨年フェラーリという勝てるマシンを手に入れ,2勝を挙げたフェリペ・マッサも,ある意味化けたドライバーであっただろう。オフシーズンテストが再開したスペイン・へレスでも,あるチームが昨年とは打って変わった化けた走りを披露している。2年目の飛躍が期待されるSAF1である。

 昨日のへレスでは,新型車R27をデビューさせたルノーのジャンカルロ・フィジケラとヘイキ・コバライネン,昨年型のFW28Bを駆るウィリアムズの中嶋一貴,そしてSAF1のアンソニー・デビッドソンがテストを行った。4人のタイムは0.5秒以内と接近しており,今季がより接戦となることを予感させている。初日から113周を順調にこなしたデビッドソンの1'20"266というタイムは,トップのフィジケラからコンマ1秒と遅れていない。デビューしたてでイニシャルセットもできていないR27と,実質RA106であるインテリムカーを直接比較することは意味をなさないかもしれないが,今季のSAF1が昨年よりも速さを増すことは紛れもない事実だろう。

 もう一つ注目すべきは,一貴のタイムが安定してきていることである。昨年末に行われたウィリアムズでの初テストは,エンジントラブルにより僅か16周で打ち切られてしまい,満足なパフォーマンスを示すことはできなかった。しかし,それ以降のテストでは,各チームのレギュラードライバーと比較しても,遜色のないタイムを残している。ロングランでのラップタイムも安定しているという一貴は,TDP三銃士の長兄として,今季中のグランプリ・デビューも視野に入れているはずである。その為にはまず,同じテストドライバーであるナレイン・カーティケヤンを上回る必要があるだろう。

 さて,一方のバレンシアでは,マクラーレンのフェルナンド・アロンソが,注目の新型車MP4-22を初ドライブしている。マイナートラブルによりテストは途中で打ち切られたものの,いきなりのトップタイムはさすが王者アロンソである。アロンソは昨年12月に一度MP4-21をテストしており,正常進化型のMP4-22に戸惑うこともなかったようである。同じくバレンシアで新型車F1.07のテストを続けているBMWザウバーも,順調にテストプログラムを消化している。「何も不具合がないのでかえって妙な感じがする」と言うニック・ハイドフェルドも,新型車への手応えを感じているようだ。来週も新型車の発表ラッシュ。果たしてどのチームが化けてくるのか?オフテストから目が離せない。

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2007年1月17日 (水)

気になる新車の第一印象

 第一印象はとても大切なものである。初めて出会った時に好印象を残すことができれば,その後の人間関係も良い方向に進展することが多い。もっとも人間の魅力は表面的な部分だけで決まることはないのだから,第一印象が全てではない。さて,F1ドライバーにとってニューマシンの第一印象は,今後を占う上で大いに気になることだろう。根本的に問題を抱えるマシンを,シーズン中に大きく性能向上させることは極めて難しい。そのため,マシンの基本性能がおよそどのくらいあるかは,開幕までのテストで明らかにし,問題があれば対策をとる必要がある。新車発表が相次ぐ中,いよいよ開幕に向けたテストが各地で始まった。

 昨年のコンストラクターズ王者であるルノーは,スペイン・へレスでR27をテストしている。ステアリグを握ったのは,チームのエースとして大きな期待のかかるジャンカルロ・フィジケラ。最終的にはエンジントラブルでテストは途中終了だったようだが,フィジケラはニューマシンの第一印象を「マシンはとてもいいフィーリング」と語っており,とりあえず好印象を持ったようだ。R27は昨年のR26からの正常進化型であるが,その空力性能は更に研ぎ澄まされた印象を受ける。カラーリングもメインスポンサーの変更により,大幅に変更される事が予想される。しかし,チームタイトルを防衛するためにはややドライバーラインナップが貧弱なことが,共通した見方なのだろう。

 一方でワークス2年目となるBMWザウバーも,ニューマシンF1.07をバレンシアでシェイクダウンしている。もはやベテランの風格漂うニック・ハイドフェルドは,顎髭をたくわえイメージを一新。成長著しいロバート・クビサと共に,2年目で表彰台の常連となりたいチームを牽引することとなる。F1.07はカラーリングの変更も殆どなく,全体的に受ける印象は昨年のF1.06とさほど変わらない。しかしBMWザウバーは,最新の風洞設備と投入したばかりのスーパーコンピューターを駆使し,継続的な空力開発を進めている。堅実なチームなだけに,今季も表彰台争いに絡んでくることは間違いないだろう。
 
 近年大々的に新車発表を行うチームが少なくなっている中,総額1億円をかけたお披露目を行ったのがマクラーレンである。スペイン・バレンシア市内の施設には母国の英雄フェルナンド・アロンソを一目見ようと,約20万人ものファンが詰めかけたという。ボーダフォンがタイトルスポンサーとなり,二人のドライバーが変更になるなど大きな変革期を迎えたマクラーレン。昨年度1勝もできなかったチームが,いきなりタイトル争いに加わることは難しいとの見方が多いが,新車MP4-22は相変わらず攻めたデザインを保っている。このマシンがテストから速さを発揮するようなら,今季はより面白くなるだろう。明日はいよいよSAF1も始動する。冬のお楽しみは,まだまだ続く・・・。

参照リンク:@nifty F1通信

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2007年1月16日 (火)

嵐の前の平和な時間

 何事も体験してみなければ,物事の本質を知ることはできない。幾ら知識があろうとも,自分自身が体感しているとしていないとでは,物事に対する理解に大きな開きが生まれる。さして経験のないのに偉そうなことを言うものだから,ワイドショーのコメンテーターなどは煙たがられるのだろう。さて,各国のテレビ局で解説を務める元F1ドライバーは多いが,その多くは現代のF1マシンをドライブした経験が乏しい。彼らが最新のF1マシンを体感すれば,自身のコメントの幅も大きく広がることができる・・・。こんなユニークなイベントが,イギリス・シルバーストーンで行われた。今回挑戦したのは,元F1ドライバーのマーティン・ブランドル氏とクリスチャン・ダナー氏である。

 このイベントに協力したのが,SAF1の鈴木亜久里代表である。事の発端はダナー氏が亜久里代表に,「自分のマシンをドライブしたことがないのなら一緒に乗ってみよう」と持ち掛けたとのこと。亜久里代表は11月20日に行われた「SAF1☆ARTAフェスタ」で,SA06Bをドライブしいるので,この「約束」はそれ以前,おそらく昨シーズン中に交わされたものなのだろう。現在母国ドイツのRTLテレビでF1解説者を務めるダナー氏は,「自分が解説しているものを理解するために,ずっと最新のF1マシンをドライブしたいと思ってた」と語っており,今回長年の夢が叶ったことになったわけである。

 もうひとりこのイベントに参加したのが,現在母国イギリスのITVでF1解説者を務めるブランドル氏である。ブランドル氏と言えば,1995年にリジェ・無限で亜久里代表とシートを分け合った,いわば因縁のライバルである。そのライバル同士が,今回はお揃いのレーシングスーツを纏い,シルバーストーンを全開で駆け抜けたわけである。走行後ブランドル氏は,「SA06のマシンとパッケージには感動した」と語っており,最新F1マシンを十分に堪能したようだ。もちろん自身が解説を務めるITVの視聴者のために,ドライブ中のコックピットでも大声で「解説」をしていたようだが・・・。

 今回亜久里代表らがドライブしたマシンは,昨年の最終戦ブラジルGPでチームのエース佐藤琢磨が10位を獲得した,SA06Bそのものであるという。苦難の連続であった創立1年目のシーズンを戦ったマシンは,最後にチームオーナー手よってドライブされた。鈴鹿では最新F1マシンに手こずり,スタートすら満足にできなかった亜久里代表も,今回ばかりはシルバーストーンを,レーシングスピードで攻めていたという。少年のような笑顔を浮かべた3人からは,F1マシンをドライブする事への楽しさをうかがい知ることができる。しかし,新たなシーズンの幕開けは,刻一刻と迫っている。嵐の前の平和な時間は,間もなく終わりを告げるのだ。

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2007年1月15日 (月)

進化した跳ね馬

 新しい物が全ていいというわけではないが,誰しも新車を運転する時は喜々とした顔になるものだ。シートのビニールを剥がし,おろし立てのいい香りのする車内でしばらくくつろいだ後,キーを捻りエンジンをかける・・・。ドライブするのが待ち遠しいのは,市販車であってもF1マシンであっても同じ事である。昨日フェラーリの新車F2007が,チームの本拠地マラネロで公開された。今回発表されたのはファクトリー内の画像のみであり,正式な発表が行われるのは後日となるようだが,キミ・ライコネン&フェリペ・マッサの二人は,早くドライブしたくて仕方がないようだ。

 新型車F2007は,昨年の248F1という名称から,再び「F+西暦」という黄金時代を築いた時のシャシー名称に戻されている。丸みを帯びたフロントノーズは前年型からの正常進化だが,ギアボックスの小型化に伴い,リアのコークボトルの絞り込みは更に強まり,エンジンの排気方向もリアウイング中心部へと変更されている。注目されたサスペンションの取り付け方法は,248F1まで頑なに採用し続けてきたシングルキールを捨て,ライバル達と同じゼロキールを採用している。また,ホイールベースの延長により全長は長くなったものの,重量の増加は全体として10kgにとどまっている。

 シューマッハ時代が終わり,新体制でスタートしたフェラーリは,これと同時にチームのイメージ・ロゴも新しいものにしてきている。斜体となったマルボロのロゴの隣には,「SF」の文字,そして下部にこれまた斜体で「SCUDERIA FERRARI」というデザイン。若干安っぽさも残るこのデザインは賛否両論あるだろうが,そのうち見慣れてくるのだろう。ボーダフォンの抜けたスポンサーには,アブダビのムバダラ開発を獲得。マシンのカラーリングも大きく変更され,今までホワイトにペイントされていたフロント&リアウイングもマルボロ・レッドに統一。赤一色となったボディは多少の違和感が残るものの,マルボロのロゴが斜体になったことで,一通りの精悍さは保たれている。

 さて,引退しても尚,フェラーリにおけるミハエル・シューマッハのポジションは盤石のようだ。ジャン・トッド/CEO兼マネージング・ディレクターは,「シューマッハによるドライブを歓迎する」と語っており,王座奪回に向けて是が非でも皇帝の力を借りたいようである。ライコネンも常々「シューマッハのアドバイスは有用」と話していることからも,今後シューマッハの動向が一層注目されている。両ドライバーとも,「F2007はとても美しい」と表現しているが,美しいマシンが速く走れるわけではなく,速いマシンが美しいマシンと呼ばれるようになることの方が多い。新体制となったフェラーリが再び黄金時代を築けるのか。全ては進化した跳ね馬の出来にかかっている。

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2007年1月12日 (金)

シャシー問題へのアプローチ

 どんなに議論を重ねても,お互いの主張が食い違ったままでは,いつまでたっても問題が解決することはない。そのため多くの場合は,一方或いは両方が歩み寄り,妥協案を出すことで解決への道を模索するととになる。2007年シーズン開幕まで2ヶ月に迫った段階で,F1シーンにも未だに解決されていない問題がある。トロ・ロッソとSAF1のシャシー問題である。12月8日にモナコで行われた代表者会議では,最終的な結論が出ず,スパイカーを始めとする反対チームは,場合によっては調停持ち込む姿勢のままである。これに対するFIAからの公式な見解は,未だ示されていない。

 この問題に対する両チームのアプローチは,微妙に異なっている。まずSAF1は,本田技研が所有するRA106のデータを元に,栃木研究所が製造したと思われるインテリムカーを,昨年末からオフシーズンテストに投入している。しかし新車SA07は,デザインを「PeeJayUU」というポール・ホワイト氏が率いる企業に委託し,栃木研究所の協力を得た上で製作する手法をとっている。これは165人という少数で構成されるSAF1が,独立したデザインチームを持っていないことを考えれば妥当なことである。最大のポイントは,SA07がRA106ベースでないことを明らかにすることだが,我々がその詳細を知るには新車発表を待たなければならない。

 一方のトロ・ロッソは,もっと直接的なアプローチを採っている。天才デザイナー,エイドリアン・ニューウェイ氏の所属するレッドブル・テクノロジーズという独立企業により製作されたマシンを,兄弟チームのレッド・ブルと共に走らせようと目論んでいるのだ。チームの主張は,「レッドブル・テクノロジーズはコンコルド協定に含まれていない独立したコンストラクターであり,そこで製造されたマシンを複数のチームが使用することは,何ら問題がない」というものである。ゲルハルト・ベルガー/共同オーナーは,この計画がFIAにより承認されることに自信を持っているようだが,コンコルド協定の行間を読んだこの「裏技」を,FIAやライバルチームがそう簡単に承認するとは思えない。

 一部海外メディアは,「ホンダ陣営もレッドブル陣営と同じ手法を採っている」と報道している。しかし,レッドブル陣営のやり方をホンダに置き換えるのなら「本田技研の製造したシャシーを,ホンダとSAF1が使用する」と言うことになる。ホンダ陣営はここまで直接的な手法を採ってはいない。万が一に備え,「マーク・プレストン/テクニカル・ディレクターがSA06Bを改良している」という話もあるが,どこまで信用できる情報かは怪しい。トロ・ロッソのSTR2も製作が遅れているようだが,遅くとも2月上旬にはデビューすることになるだろう。今更ダメと言われても,どうしようもないだろうなぁ。

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2007年1月11日 (木)

「赤い彗星」を継ぐ者

 人は他者に対し,先入観から勝手なイメージを作り上げてしまうことが多い。しかし,努めて冷静に振る舞っている人間の内面に,隠された情熱があることもあれば,一見陽気で悩とは無縁と思っていた人間が,実はとても繊細であったりする。例えば冷静沈着なレース運びから「プロフェッサー」と呼ばれた元世界王者のアラン・プロストは,実のところそれとは正反対の感覚派のドライバーであったという。古巣マクラーレンのロン・デニス代表から「アイスマン」というニックネームをいただいたキミ・ライコネンも,その内面は酒好きでやんちゃな部分を多く持つ,実に感覚派のドライバーである。

 そのライコネンが,フェラーリ・ドライバーとして公式に姿を現した。ウェアの色が「アイスマン」のイメージを強調させたメルセデス・シルバーから,マルボロ・レッドになったことで,周囲に与える印象もだいぶ変わってくる。ライコネンは初めてマラネロを訪れた時の印象を「それまで予想していたよりもずっとチームの雰囲気がフレンドリーだった」と語っている。マクラーレンは伝統と規律を重んじるチームであるため,やんちゃなライコネンには少々窮屈な部分があったのかもしれない。しかしフェラーリを愛するが故に,勝てば英雄として賞賛し,負ければ罵倒するイタリアのメディアとティフォシがいる限り,ライコネンが本当にリラックスできる日は来ないだろう。

 さて,10年以上に渡りミハエル・シューマッハによる絶対帝政が敷かれてきたフェラーリは,今季久しぶりに二人のドライバーを同等に扱う事を明言している。しかし,チームが幾らそう宣言していても,シーズンを戦っていく中で成績に開きが出てくれば,当然チームは速いドライバーに傾いていくことになる。だからこそ今までもフェラーリは,結果として「チーム・シューマッハ」となっていたのだ。そのフェラーリに於いて,成長著しいフェリペ・マッサと争うことは容易なことではない。しかしライコネンは「自分のやり方をかえるつもりはない。このままで十分に通用する」と,強気な姿勢を示している。

 では今季,フェラーリはどの程度の速さを示すことができるのだろうか。一説によると,フェラーリのニューマシンは,昨年の248F1から大きく姿を変えることになると言う。2004年までの黄金期を引きずって開発されてきたフェラーリのマシンは,全チーム中唯一のシングルキールであるなどその設計思想が古くなっており,そろそろ大幅なモデルチェンジが必要と判断したのだろう。ブリヂストン・ワンメイクとなったタイヤはフェラーリ有利との見方が強いが,これとてマシンの出来に大きく左右される。マシンの決まっている時のマッサは手の付けられないような速さを示すが,純粋な速さではライコネンに分がある。さて,「赤い彗星」を継ぐのは,果たしてどちらになるのやら。

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2007年1月10日 (水)

2年目の飛躍に必要な条件

 ルーキーイヤーに活躍した選手が,翌年その活躍が嘘だったかのような不振に陥った場合,よく「2年目のジンクス」と言われるが,これは至極当然の事である。人間誰しもその平均値は大方決まっており,1年目にそれを大きく上回る活躍をした者が,2年目に同じような成績を残す方が難しい。不振と思われるのは自身の平均値に近づいただけであって,むしろ当然の結果なのである。しかし,昨年デビューしたSAF1に,このジンクスが当てはまることはない。なぜならば彼らはどん底から這い上がっている最中であり,2年目は成績が上がることはあっても,これ以上下がることはないからである。そして今のSAF1は「2年目の飛躍」に必要な条件が整いつつあるのだ。

 まずはなんと言っても,ホンダとの協力体制がより強化された事が好材料である。昨年は,ホンダ自体がワークスへの移行期だったこともあり,十分なサポートが受けられない状況であった。しかし今季は,本田技研栃木研究所の協力の下,周到な準備をした上で,新車SA07の製作が進められており,4年落ちのSA05-06で苦戦を強いられた昨年とは雲泥の差がある。最大の問題点は,SA07がオリジナルマシンとして認められるか否かであるが,「レッドブルと共通のシャシーを使用しようと目論んでいるトロ・ロッソよりも楽観的」という見方をする者が多い。

 もう一つの好条件は,ドライバーを含めたチーム体制の強化が図られたことである。チームは既にレギュラーライバーに佐藤琢磨&アンソニー・デビッドソン,テストドライバーにギド・ヴァン・デル・ガルデ&山本左近というラインナップを発表している。特に長年ホンダの開発ドライバーを務めてきたデビッドソンの加入は,ドライバーラインナップがより一層強化された事を意味する。さらに,合同テストへの参加を積極的に進めていることも注目される。来週から始まるスペインでのテストはもちろんのこと,2月下旬の行われるバーレーン合同テストにも参加すると言うのだから驚きである。

 残された最大の課題は,チームの屋台骨を支える資金が調達できるかである。もちろんホンダからの支援増強は,資金面も含まれたものだろうが,そればかりに頼っているわけにもいくまい。ギド・ヴァン・デル・ガルデの起用にも表れているように,SAF1は日本だけでなくより国際的にスポンサーを確保する方向性を打ち出している。鈴木亜久里代表が「決まったらあっと驚くと思うよ」という,タイトルスポンサーとの交渉の行方も気になる。これが決定となれば,「戦闘力のあるマシン」「速いドライバー」「豊富な資金」という,2年目の飛躍に必要な条件がそろい,スパイカー&トロ・ロッソを上回る速さを手に入れることができるだろう。SAF1の第2章が,間もなく始まる。

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2007年1月 9日 (火)

変革期の2007年を占う

 時間に追われる生活をしていると,時間にとらわれないゆったりとした生活がしたいと思うものである。しかし,いざそうした日々が続くと,時間の使い方が分からず無駄に過ごしてしまう・・・。ゆっくりと時間の流れていた年末年始,そしてそれに続いた3連休も終わり,再び慌ただしい日常が戻ってきた。F1シーンもクリスマス休暇を終え,いよいよ新しいシーズンに向け動き出そうとしている。今週末からはトヨタを皮切りに各チームが続々と新車を発表。同時にスペインを中心に,テストスケジュールがぎっしりと組まれている。大きな変革期に突入する2007年は,昨年以上に混沌とした情勢が見て取れる。

 まず今季の大きな特徴は,ドライバーの顔ぶれが変わったチームが非常に多いことである。全11チーム中ドライバー・ラインナップの変わらないチームは,BMWザウバー・ホンダ・トヨタの3チームのみである。その中でも期待の新人として世界中から注目されるているのが,マクラーレンから満を持してデビューするルイス・ハミルトンと,チャンピオンチームであるルノーの新星ヘイキ・コバライネンである。いきなり上位の成績を収めることは難しいだろうが,プレッシャーに押しつぶされることなく伸び伸びとした走りを披露することができれば,結果は自ずとついてくる。むしろプレッシャーに押しつぶされそうになっているのは,もう後がないジャンカルロ・フィジケラの方だろう。

 もう一つ大きな関心事は,ブリヂストンによるタイヤワンメイク供給である。1レースあたり約2500本とも言われる大量のタイヤ供給は,ブリヂストンにとっても新たなるチャレンジとなる。そしてそれ以上に重要なことは,レースをコントロールするタイヤ作りを行うことにある。ブリヂストンはFIAから,2秒のラップタイムダウンを言い渡されたという。しかし,19000回転に制限されたエンジンと,意図的にグリップダウンされたタイヤを使用していても,各チームはあっという間にそのタイムを削ってくるだろう。ワンメイクタイヤは,クルマの善し悪しを如実に表すことになる。下馬評ではフェラーリ有利との見方が強いが,全ては新車の出来にかかっていると見ていいだろう。

 最後に注目の日本勢。昨年念願のワークス体制となり,久しぶりの優勝を飾ったホンダは,今季は更に攻撃的な姿勢を見せることになる。これは高い次元で開発のバランスをとりつつも,得意分野をはっきりとさせることで,勝ちに行くレースをしようというものであるという。一方のトヨタは正念場である。全チーム中最も変更が少ない体制を,プラスに働かせスタートダッシュを決めることができるかがカギとなる。逆に序盤戦から速さを発揮できないようだと,昨年の二の舞になる可能性が高くなる。そして飛躍の2年目としたいSAF1は・・・。また明日ゆっくりと書くことにしよう。

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