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2007年3月29日 (木)

開催候補地も花盛り

 年度末の慌ただしさにすっかり振り回されていたら,いつの間にか桜の花が咲き始めていた。一時期は例年より1週間以上早く咲くと言われていたが,今月中旬の冷え込みにより,開花時期が遅くなっていたようだ。桜が一輪また一輪と咲くように,ここ数日F1開催候補地の話があちらこちらから聞こえてくる。新開催国といえば,2月にアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで,2009年からのF1開催が正式発表された。しかしこれ以外にも,F1開催を目論む国や地域は数限りない。その中で今回噂に上がったのは,どれも今までにない特徴を持った開催候補地である。

 まず,以前より何度も噂に上っているシンガポールGPだが,地元では「早ければ今週30日金曜日にも正式発表」との報道もあるようだ。この場合,常設サーキットを建設するのではなく,市街地コースでの開催が有力とされている。実際にこの想定コースを,レッドブルのマーク・ウェバーが「試走」したことも,シンガポールGP開催の信憑性を高めている。また,実現すれば初めての試みとなる「公道ナイトレース」が検討されているなど,シンガポールGPに関する話題は豊富である。仮に実現した場合,チケット販売の低迷するマレーシアGPは,カレンダーから落選する可能性が高いだろう。

 もう一つ公道コース開催の話が持ち上がっているのが,フェルナンド・アロンソの活躍でF1人気に火がついたスペインである。スペインでは既にバルセロナでの開催が確定しているのだが,更にバレンシアでも「地中海GP」の名称で開催を目指しているという。バレンシア市のウォーターフロントを開発し,モナコGPをイメージとした公道コースを準備するというもので,これが実現すれば,「クルーザーからのF1観戦」というモナコGPのような風景が見られることになるだろう。こちらは既に「バーニー・エクレストンFOM会長と契約済み」という話まで出ているが,1カ国1GPという流れができつつある中で,本当に第2のスペインGPが実現するかは,甚だ疑問である。

 最後は,現在マニクールで行われているフランスGPを,首都パリで開催しようというものである。しかもこれを言い出したのが,エクレストン氏本人と言うから面白い。エクレストン氏曰く「みんなうんざりしている」マニクールは,パリから200kmも離れた片田舎であり,関係者の評判も芳しくない。そこで,パリ市内から電車で30分に位置する,「ディズニーランド・パリ」の敷地内にサーキット建設し,GPを開催しようと言うのである。すでにディズニー本社とも協議済みで,基本的な合意に達しているとか。一見最も現実離れしているように思えるのだが,意外や意外,最も現実的なのかもしれない。あちこちで噂が花盛りの開催候補地だが,全部やったら一体年間何戦になるの?

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2007年3月26日 (月)

調停という新たな局面

 統一した基準を設けていても,それに関わる者が独自の解釈をし続ければ,結果としてその基準はねじ曲がってしまう。このところ疑惑の目が向けられている,フェラーリやBMWザウバーの「稼働フロア」も,こんな拡大解釈のひとつであろう。レギュレーションという統一ルールに縛られている現代F1においては,ライバルに対してほんのわずかのアドバンテージを得るため,重箱の隅をつつくような開発が日夜行われている。しかしこれは何も,レギュレーションだけに限ったことではない。F1チームにとってはそれ以上の存在である,コンコルド協定に関わる争いが,新たな局面を迎えている。

 先日スパイカーのコリン・コレス代表は,予てから懸案となっていたシャシー問題に決着をつけるべく,スイス・ローザンヌのスポーツ調停裁判所に調停を申し出ている。今回のスパイカーの主張は,「SAF1とトロ・ロッソは独自のマシンを開発していないため,コンコルド協定で定められているところのコンストラクターではなく,コンストラクターズ・ポイントを獲得できない」というものであるとされている。スパイカーは,コンストラクターに与えられるTV放映権料など巨額の分配金を,SAF1とトロ・ロッソに与えないことにより,特に資金面で自チームが有利になることを狙いとしている。

 スパイカーの主張は,以前と少々異なってきている。以前は,両チームの「カスタマー・マシン」は違法であるとし,GPへの参加そのものを拒絶していたのだが,今回はコンストラクターの定義から,分配金に狙いを定めている。そしてこれは,バーニー・エクレストンFOM代表が,SAF1とトロ・ロッソ出した妥協案とほぼ同じ内容である。これにより,今後両チームがグランプリへの出走が認められないようなことはなく,少なくともドライバーズ・ポイントは有効になるのではないかと考えられる。1990年にSAF1の鈴木亜久里代表が在籍したラルースで,登録上の不備からコンストラクターズ・ポイントを剥奪されたことがあったが,その時もドライバーズ・ポイントは有効とされた。

 さて,今後裁判の争点となってくるのが,「コンストラクターの定義」であろう。外注パーツも多いF1マシンだが,その骨格となるシャシーは,自チームでの製造が求められている。そうでなければ,コンコルド協定で定められている,コンストラクターにはならないのである。ここで問題なのは,SA07のシャシーはSAF1が独自に製造したものではなく,本田技研栃木研究所が製造したことである。これは以前,亜久里代表自身が明言しており,今更「自分たちで作りました」と言うわけにもいかない。シャシーを製造した栃木研究所が,SAF1の一部であれば問題ないのだろうが,彼らが第3者であることも明らかである。亜久里代表,これからは余計なこと言わない方が良さそうだぞ。

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2007年3月23日 (金)

出すぎた杭は打たれない

 「出る杭は打たれる」のは,どの世界にも共通するのだろう。勝者と敗者がはっきりするスポーツの世界では,全員が主役になることはない。だからと言って,特定の組織や人間が飛び抜けて目立っていても,その他大勢は面白くない。そうなった場合,敗れた者は勝った者のあら探しを始めることとなる。先日,圧倒的な速さで開幕戦を征したフェラーリに「可動フロア疑惑」がかけられたが,今度はそれがBMWザウバーにも飛び火している。フェラーリに疑いの目が向けられることは,さして珍しいことではない。昨年も「フレキシブル・ウイング」が話題になったことは記憶に新しい。

 しかし今回,疑惑がBMWザウバーにまで飛び火したのには,彼らが今季台風の目になる可能性があるからに他ならない。依然として信頼性に難があるものの,ここ一発の速さには定評がある。そして,これに警戒感を抱いているのが,マクラーレンであるという。開幕戦で見せたBMWザウバーの空タンクアタックに対し,ロン・デニス代表が「見せびらかしのような作戦」と発言したことからも,マクラーレンに危機感が生まれていることは明らかである。開幕戦で2-3フィニッシュを果たしたマクラーレンではあるが,フェルナンド・アロンソも認めるように,タイム以上に実力の開きがあることは,チーム内の人間であれば,誰もが肌で感じ取っていることだろう。

 そのマクラーレンで明るい話題と言えば,デビュー戦で3位表彰台を獲得したルイス・ハミルトンの存在だろう。「F1初の黒人ドライバー」という,速さとは何の関連もない形容詞付きで語られることの多いハミルトンであるが,その才能を今更疑う者などいないだ。かつてイギリス国民の熱狂的な支持を得ていたバトンも,今季は思うように走らないマシンに早くも白旗状態。そこに,新星ハミルトンの登場である。以前は売れ行きが伸び悩んでいたイギリスGPのチケット売り上げが,ここに来て倍増していると言うのだから,ニューヒーローの誕生に,イギリス人F1ファンが喜ぶのも無理はない。

 一方,表彰台で久しぶりに母国の国歌を聴いたのが,フェラーリ移籍1戦目にして完璧な勝利を挙げたキミ・ライコネンである。普段は感情を表に出すことの少ないライコネンだが,移籍初戦の勝利は格別だった上に,「これで繰り返される『新しいチームでいつ勝つ?』という質問を封じることができる」と,メディアへの皮肉を込めて語っている。開幕戦の金曜会見で,ホンダのアースカラーに関連した環境に対する質疑応答の際も,他のドライバーがそれぞれ環境保護に関する独自の見解を述べたのに対し,ライコネンはたった一言,「ない」というマイペースさ・・・。彼にはこれからも変に小さくまとまらず,トコトン自分を貫き通してほしい。「出すぎた杭は打たれない」のだから。

参照リンク:FMotersports.nifty  F1通信

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2007年3月20日 (火)

不得手なことへの挑戦

 人間には誰しも得手不得手がある。それがあるからこそ,自分なりの個性もまた生まれる。しかし人は時として,不得手なことにも挑戦しなければならない。実はここ数日,今までとは違った分野の仕事をしている。日頃デスクワークなどしたことのない人間が,1日中PCのディスプレイとにらめっこしているものだから,心身とも恐ろしく疲れる。仕事は捗らず時間ばかりが過ぎてゆく毎日を,今はただじっと耐えるしかない。そんな時,こうして好きなことを書き連ねていると,頭の中を整理することができる。正常な思考回路を取り戻せば,つらい仕事も何とか乗り越えられるだろう。

 今日のがエントリーが単なる愚痴で始まったのには,それなりの訳がある。先週末,どうしても愚痴らずにはいられない,ある意味で衝撃的なものを見てしまったからである。そう,あのフジテレビF1中継の,オープニング映像である。昨年まで長い間オープニング曲であった「TRUTH」に替わり,新たにQUEENの「FLASH」が採用された。それに合わせ,映画「フラッシュ・ゴードン」をモチーフに,F1パイロット操るが戦闘機のレースを採用したのだろうが,あまりにも安っぽすぎる。すでに様々なところで批判の嵐が起こっているが,私自身も楽しみにしていただけに,その反動も大きかった。

 音楽と映像のマッチングは,効果的な演出を狙う上で,とても重要な要素である。昨年までのTRUTHは,楽曲自体のスピード感もさることながら,精巧なCGによるF1マシンの映像と合わさることで,より高いレベルの演出効果を得ていた。事実,TRUTHとF1CGのオープニングは,国内だけではなく海外のF1メディアからも,非常に高い評価を得ていたと聞く。今回も中継の中で一瞬ではあるが,トヨタTF107とホンダRA107の精巧なCGが映し出されていた。であるならばなぜそれを効果的に使わず,あろう事かブライアン・メイが「F1のイメージににぴったり」と語っていた「FLASH」を,安っぽいアメリカン・コミックのような形でしか表現できなかったのだろうか。

 フジテレビは近年,地上波とCSの差をハッキリつけようとするあまり,F1中継の本質を見失いかけている。「地上波はファン層拡大,コアなファンはCSに」という基本路線は間違っていないだろうが,だからと言ってモデルやアニメを餌に視聴者を釣り上げたところで,F1の裾野は広がらない。本当に必要なことは,F1初心者の視聴者にも,F1を易しく,分かりやすく伝えることであり,その中でモータースポーツの魅力を感じさせることである。開幕戦ではなかったスタジオ中継も,タレントやモデルに頼らず改善していけば,初心者から上級者まで楽しめる内容も作れるはずである。今回,不得手なことに果敢に挑戦したことは評価するが,餅は餅屋とも言うしなぁ。

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2007年3月19日 (月)

開幕戦で見えたあれやこれ

 人間興奮しているときは,目の前で起きていることを冷静に分析することはできない。それでも時間の経過と共に冷静さを取り戻せば,今まで見えていなかったことを振り返る余裕が生まれる。熱狂の週末が終わり,思考回路がショート気味だった私自身も,あれこれ考えることができる余裕を取り戻してきた。まず,トップチームの勢力図だが,フェラーリ優位はしばらく続くことになるだろう。フェルナンド・アロンソ&ルイス・ハミルトンという,素晴らしいドライバーを擁するマクラーレンにも速さはあったが,それでもキミ・ライコネンの速さには追いつけなかった。フェリペ・マッサも予選のギアボックス・トラブルさえなければ,表彰台は間違いなく獲得していたはずである。

 3強の一角であるはずのルノーは,今回完全にスピードを欠いていた。今後,空力全般の開発を急ぐということだが,フラビオ・ブリアトーレ/マネージング・ディレクターも嘆くように,アロンソの抜けた穴は,想像以上に大きかったのかもしれない。そのルノーを脅かしそうなのが,急成長を続けるBMWザウバーである。しかし,ニック・ハイドフェルドが4位入賞を果たしたものの,その速さと同時に脆さも浮き彫りになった。ロバート・クビサはオフシーズンからトラブルが多発した,ギアボックスの信頼性に泣かされている。兎にも角にも信頼性の確保が,このチーム最大の課題であろう。

 前評判とは裏腹に,予選で2台ともトップ10に食い込んだトヨタだったが,決勝ではヤルノ・トゥルーリが渋滞を引き起こすなど,昨年と同様レースペースの遅さを露呈してしまった。それでも一発の速さを見せただけ,ホンダよりも救いがあるだろう。そのホンダは予選でもライバル勢の後塵を拝した上に,レースペースでもトヨタに及ばず,下位に沈んでしまった。唯一の救いは,改善すべき点が見えていることだろうが,それでも大幅なマシン変更をした影響が,序盤戦は残ってしまうだろう。ジェンソン・バトンのモチベーションが,下がる一方なのが気にかかる。

 最後に予選では驚愕のトップ10という,上々のスタートを切ったSAF1。しかし,佐藤琢磨はピットストップの度に順位を落とし,結果的に12位に終わっている。不運であった1回目のピットストップは,給油したときに給油リグが抜けずにタイムロス。また,2回目のピットストップでは,作業を終えて出ようとしたときに,続けてピットインしてくるマシンに阻まれ,順位を落としてしまったという。しかし,それ以上に問題なのは,決勝のレースペースが悪すぎることである。この点については,鈴木亜久里代表も今後の課題として挙げている。とは言っても,シーズンは始まったばかり。昨年とは違いレースをするSAF1が,今季は毎戦見られるだろう。それだけでも,幸せだが・・・。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月18日 (日)

メルボルンに咲いた夢

 「夢は願うものではなく実現させるもの」という言葉を,どこかで聞いたことがある。しかし,いざその夢が現実のものとなると,なかなか思うような言葉が出ない。F1オーストラリアGP公式予選,念願のQ2進出に加え,夢のQ3進出まで果たしたSAF1の佐藤琢磨は,予選終了後「何と言ったらいいか,言葉がないよ」と,望外の予選結果に驚きを隠せないでいでいた。開幕前,新規加入したアンソニー・デビッドソンは,開幕戦予選での目標を聞かれた際に「10番手」と答えていた。まさかそれが現実のものになろうとは,当時誰も考えていなかっただろう。だが,それは現実のものとなったのだ!

 さて,いよいよ始まった決勝レース。今年も地上派参戦組の私は,フジテレビにチャンネルを合わせる。21年目を迎えたフジテレビのF1中継は,今季からテーマ曲とオープニング映像をリニューアルした。楽曲につては先日「あえてこの日に閑話休題」で取り上げたが,オープニング映像は・・・。何というか,アメリカンな雰囲気のアニメである。注目の決勝は,スタートからPPのキミ・ライコネンが飛び出す。新人ルイス・ハミルトンも素晴らしいスタートを決め,フェルナンド・アロンソをかわし3位へ。琢磨も10番手をキープして周回を続ける。その一方で僚友のデビッドソンはスタートに失敗,大きくポジションを落としてしまう。やはりテストとレースは別物である。

 20周前後から各車続々とピットへ。ハミルトンはアロンソを押さえ,堂々2位を走行。この新人は期待以上のパフォーマンスを示している。琢磨も無事1回目のピットストップを終えるが,ピットアウトのタイミングが悪く12位に後退てしまう。残り22周,4位を走行していたBMWザウバーのロバート・クビサがスローダウン。速さは抜群のBMWザウバーだが,オフシーズンテストから言われ続けたように,やはりギアボックスの信頼性に難ありである。残り20周となったところで,各車2回目のピットストップへ。トップのライコネンは,盤石の走りで2位以下を大きく引き離し快走している。

 残り15周で,琢磨が2度目のピットストップ。無事コースへ復帰するも,ホンダのルーベンス・バリチェロにかわされてしまう。一方3位に甘んじていたアロンソは,ピットストップでハミルトンを逆転,2位に浮上する。このあたりの組み立て方は,さすが王者である。結局優勝はライコネン,2位アロンソ,3位ハミルトンというトップ3。SAF1は琢磨12位,デビッドソン16位で両者完走を果たしたもの,ピットストップのタイミングや,思うように上がらなかったレースペースについては,今後改善の余地があるだろう。それでも予選トップ10&決勝ダブル完走は,ただ参加していた昨年とは違い,レースをした結果である。次なる夢を咲かせるため,SAF1の挑戦は続く。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月17日 (土)

開幕戦予選速報!!

 普段私は,週末PCの前にいないことが多い。そのためブログへのエントリーも,ウィークデーに限定されることがほとんどである。ウィークデーであれば,ある程度自分の時間を持つことができるのだが,週末ともなれば多少の家族サービスもせねばなるまい。これを怠ると,後でどんな仕打ちが待っているかわからないのだ。だが,このだけ週末はそんなことを言っている場合ではない。家族に何を言われようとも,頑としてPCの前から離れるずにいる。幸いにも開幕戦の地オーストラリアは,日本との時差も2時間と少なく,夜中に眠い目をこすりながら情報を得る必要もない。今日は普段あまりする事のない,リアルタイムでの予選速報をエントリーしてみたいと思う。

 その前に,午前中に行われたフリー走行2日目の結果である。トップはフェラーリのキミライコネン,次いでルノーのジャンカルロ・フィジケラ,僅差の3位に超新星マクラーレンのルイス・ハミルトンと,この3強が上位を占めることは,開幕前からある程度予想できたことである。しかし,それ次ぐ4位に,まさかSAF1のアンソニー・デビッドソンが飛び込んでくるとは,誰も予想できなかったであろう。予選を想定した空タンクでのアタックであろうが,それにしても並み居る強豪を抑えての4位は大健闘である。佐藤琢磨も9位とまずまずの位置に付けており,初の予選Q2進出が現実味を帯びてきた。

 さて,いよいよ大注目の予選が始まった。まずはQ1,最初のアタックで共に1分29秒台のSAF1,しかしすぐにレッドブル勢が上回る。上位陣のタイムアップも激しい。マクラーレン,フェラーリが共に1分26秒台を記録,BMWザウバーも同じく26秒台へ。ここでアンソニーも26秒台に突入!現在7番手のタイムだ!琢磨はまだ18番手,もう一度アタックをかける。下位に沈んでいたホンダは,バトンが何とか13番手バリチェロが15番手に。よし!琢磨1'27"365で10番手に浮上!最終的に二人は9-13番手まで下がるが,これでSAF1は2台そろってQ2進出だ!一方ホンダはバリチェロが18番手でノックアウト,バトンはギリギリの16番手通過・・・。

 Q2開始!まずはアンソニーが1'27"282を記録。ウィリアムズ勢がこれに続く。しかし,路面状況ははどんどん良くなる。タイミングよくアタックを仕掛けなければ,上位のタイムを出すことは難しい。よーし!琢磨1回目のアタックで1'26"887!現在3番手!ここでマクラーレン勢が25秒台中盤を記録!タイムは何処まで伸びるんだ?更にBMWザウバー勢,次いでライコネンも25秒台へ。バトンは27秒台と苦しい。アンソニーが2度目のアタックで琢磨を0.1秒上回り,現在8番手。ここで各車アタックラッシュ!琢磨は1'26"758を記録,現在10番手!だが,まだマッサがいる。いや,マッサがスローダウン!やった!!琢磨10番手のまま何とQ3進出だ!!!アンソニーは惜しくも11位でQ2ノックアウト。それでもよくやった!

 さて,夢のQ3開始。Q3は決勝を想定して,ある程度燃料を搭載している。そのためQ2よりタイムが落ちるのは当然。勿論SAF1にとっては,初めての経験である。各車しばらくは燃料を減らすため,積極的に周回を重ねる。琢磨は1'31"712で現在6番手。いよいよ,各車ラストアタック開始。まずフィジケラが27秒台でトップへ。すぐさまライコネンが26秒台を記録,次いでハイドフェルド,ハミルトン,クビサと続く。更にアロンソも26秒台で,2番手に浮上。次いでハイドフェルドが3番手に。琢磨は最後のアタックで1'28"871を記録するも,PPのライコネンとは約2.8秒差の10番手。ある程度燃料を搭載しているのかもしれない。それでもまさか,ここまで来るとは思わなかった・・・。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月16日 (金)

火に油を注ぐ記録

 記録的な暖冬となったこの冬だったが,東京では今日になってようやく初雪が観測された。これは昨年より95日,平年より73日遅く,1876年(明治9年)の観測開始以降,最も遅い初雪であるとう。一方東京から約8000km離れたメルボルンでも,記録的な出来事が起きている。いよいよ始まった2007年F1の開幕戦で,SAF1が記録的な走りを見せているのだ。何が記録的かといえばそのタイム。フリー走行2回目で13位につけた佐藤琢磨のタイムは,昨年自身が記録したものより,何と約3秒も速いものであるという。チームメイトのアンソニー・デビッドソンも琢磨を約0.3秒上回る11位と,これまた長年のテストドライバー生活の鬱憤を晴らすような快走見せてくれた。

 14日に正式発表されたばかりのSA07であったが,初日は大きなトラブルもなく順調な周回を重ねてることができた。琢磨が旧型のフロントウイングを装着して走行するなど,空力的には今後さらに詰めていく必要があるのだろうが,ぶっつけ本番の初日としては,上々の滑り出しと言えるだろう。フリー走行とは言え,本家ホンダの2台を喰うことなど,昨年は考えられなかったことである。以前ホンダの中本修平/シニア・テクニカルディレクターが「SAF1に負けないようにしなくちゃ」と笑いながら言っていたことが,まさに現実のものとなってしまったのである。無論まだフリー走行と,予選・決勝は別物だが,とりあえずテールエンダー争いからは脱出できそうな気配である。

 しかしこの状況を,シャシー問題反対派のチームが黙って見過ごすわけがない。その中心となるのがスパイカーとウィリアムズだが,待望のF1デビューを果たした中島一貴を含め,ウィリアムズ勢がまずまずの速さを見せているのに対し,スパイカーは「ライバル」トロ・ロッソと共に下位に沈んでいる。SAF1のグラハム・テイラー/スポーティング・ディレクターは「両マシンとも,非常に競争力のあるタイムを出すことができたが,これはグリーンのトラックに対応するよう決めたからで,実際よりは上位にランクされていると思う」と,現状を厳しく分析するが,昨年とは明らかにレベルの違うSAF1の速さを目の当たりにしたスパイカーが,新たな動きを見せる可能性もある。

 スパイカーのコリン・コレス代表は,「この状況に関しては自分の意見がある。でも土曜日まで待って欲しい」と語っており,予選後に何らかの動きを見せることも考えられる。これに対し,SAF1のダニエレ・オーデット/マネージング・ディレクターは,「不満があるのなら異議申し立てをすればいい」と,真っ向勝負の姿勢を見せている。一方でこの件については,事態が混乱することを避けるため,バーニー・エクレストンFOM代表が,再度解決に乗り出すという話もあり,今後の動向に注目が集まる。それにしても今日のSAF1の走りは,くすぶっていた火に油を注ぐ見事な走りであった。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月15日 (木)

SA07あれこれ

 見返りを求めるわけではないが,何かのお礼として心遣いがあれば,誰しも悪い気はしない。ホワイトデーでもあった昨日は,私の周囲でもバレンタインのお返しとばかり,多くのギフトが飛び交っていた。しかし,それよりも気になって仕方がなかったのが,SAF1の新型車SA07の発表である。昨日はへそ曲がりにも閑話休題をエントリーしつつ,じっくりとこの発表を見守っていたが,さんざんヤキモキさせられた結果待っていたのは,うれしいギフトだった。一時は開幕戦にも間に合わないのではないかとさえ言われたSA07が,ついに開幕直前のメルボルンでお披露目されたのだ。

 アルバートパーク・サーキットに姿を現したSA07は,外観上オフシーズンテストを走ったインテリムカーと大きな隔たりはない。フロントウイングやカーリーフィンの形状からも,バーレーンでの最終テストで走らせたものを部分的に仕様変更したものであろう。インダクションポッドの形状の違いからもわかるように,先のバーレーンテストで走らせたインテリムカーには,SA07用のモノコックを使用していたはずであり,これが実質SA07だったと考えられる。従って,ベースとなるセッティングはある程度できているはずであり,まんざら「ぶっつけ本番」でもないだろう。今回は時間的な制約から投入できなかった空力パーツも,今後随時導入されると思われる。

 一方で注目を集めたのは,リアウイングやサイドポッドに大きく描かれた「SS UNITED」のロゴである。同社は,香港に本拠を置き「中国,ロシア,日本,タイ,マレーシア,イランなどに石油製品の供給のための広いネットワークがある石油会社」とのことだが,同社のHPも昨日開設されたものらしく,F1界では今まで全く無名の存在だった。昨日の発表の際には,白いスーツを身にまとった東洋人の姿が見られたが,彼が同社の代表を努める斎藤剛寿氏だろう。その他にも,同社の主要メンバーには日本人の名前も見られ,国内にも何らかの関与がある企業であると思われる。SS UNIETEDについては,今後チームからも正式な発表が予定されている。

 最後にどうしても言っておきたいことが,SA07のカラーリングについてである。SAF1のチームカラーである赤白に彩られているのは,昨年型SA06Bと同様であるが,昨年型が歌舞伎の隈取りを思わせる曲線的な模様だったのに対し,SA07は直線的でクラシカルなカラーリングとなっている。これについては賛否両論あるだろうが,今回のスポンサー決定が開幕直前であったことと,昨年のマシンも3度に渡りカラーリング変更が施されていることを考えると,これが正式カラーリングではなく,暫定カラーリングである可能性は高い。何はともあれホント,間に合ってよかった・・・。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月14日 (水)

あえてこの日に閑話休題

 人を待たせている時より,人を待ってる時の方が,時間の経過は遅く感じるものである。「待ちに待った」という使い古された表現がぴったりと当てはまるほど,このシーズンオフは,SAF1の新型車SA07の登場を待ち続けた日々であった。幾度となく発表が延期されたその新型車も,いよいよ本日,開幕戦の地オーストラリア・メルボルンで発表される。当然今日は各サイトとも,SAF1&SA07の話題で持ちきりだろうが,本サイトではまた明日じっくり書くことにして,今日はあえて別のエントリーを書いてみたいと思う。それは,モータースポーツと並んで私の趣味でもある「音楽」についてである。

 と言うのも,かねてより「レースと音楽は密接な関係にある」と考えている私にとって,どうしても書かなければならない話題があるからである。少し前の話になるが,フジテレビのF1中継のテーマ曲が,モデルチェンジされるという記事を目にした。新たにテーマ曲を手がけるのは,もはや伝説のロックバンドと言ってもいい「QUEEN」のギタリストで,大のF1好きとしても知られる,ブライアン・メイである。注目の楽曲は,映画「フラッシュ・ゴードン」のメインテーマである「FLASH」を,彼が新たにリミックスした「Flash's Theme 2007 High Octane Mix」になると言う。

 QUEENの楽曲ほど,レースに似合う曲はないだろう。以前「KINGに似合うQUEEN」でも紹介したように,彼らの楽曲はモータースポーツの様々な場面で用いられている。元来彼らの楽曲が持つスピード感や重厚感もさることながら,何より故フレディ・マーキュリーのハイトーンヴォイスが,メイの官能的なギターサウンドと相まって,独特の高揚感を生み出している。それ故彼らの楽曲は,日本はもちろん,世界中の音楽ファン,モータースポーツファンの間に広く浸透しているのである。かくいう私も,高校時代にフジテレビのF1中継を通じてQUEENの存在を知っただけに,今回フジテレビF1テーマ曲に,彼らの楽曲が採用されたことには,深い感銘を覚えている。

 その一方で残念なのは,長い間F1ファンに親しまれたテーマ曲である,T-SQUAREの「TRUTH」が聴けなくなってしまうことである。1987年にフジテレビのF1中継が始まって以来,20年に渡り採用されてきたこの曲は,すでに一つのスタイルを確立しており,TRUTHという曲名を知らなくとも,音楽を聴いただけでF1が思い浮かぶという,完全なるイメージの一致を果たしている。その証拠に,一時テーマ曲が別の曲になった時も,TRUTHの復活を望む声が多く,短期間でTRUTHはテーマ曲に復活している。皇帝引退による若手の台頭や,フジ・スピードウェイでの日本GP開催など,今季のF1は見所が多い。新世代F1にふさわしい楽曲を期待しながら,開幕戦を待つことにしよう。

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2007年3月13日 (火)

いざ出陣の時が来た!

 「武者震い」という言葉は,合戦を前に緊張する武士の心理状態を端的に表現している。天下分け目の大戦(おおいくさ)を前にすれば,歴戦の強者も武者震いをするであろう。ましてやそれが年端もいかない初陣の若武者ともなれば,相当の覚悟が必要になる。初陣で兜首を挙げようものなら,その若武者への評価は一気に上がることとなるが,初陣であるが故に,敵に狙いを定められることも多い。そのため戦国時代,初陣での死亡率は当然のように高かったと言う。さて,F1戦国時代の合戦に出陣し,昨年1年間を何とか戦い抜いた我らがSAF1。傷つきながら,それでも敵に背を見せることなく初陣を戦い抜いた彼らには,敵ながらあっぱれと多くの賛辞が寄せられた。

 そのSAF1が,2度目の大戦に出陣しようとしている。昨日東京都内でホンダF1活動に関する記者会見が行われ,SAF1の面々も開幕戦に向けた抱負を語っている。鈴木亜久里代表は,「昨シーズンは参戦するのがやっとだったが,今年はちゃんと参戦準備が整っている」と,2年目のシーズンを迎えるに当たり,ドタバタ参戦の昨年とは違うことをアピールしている。亜久里代表の「昨年より緊張している」という言葉は,「参戦し続けることがやっとの状態であった昨年とは異なり,今季はレースをしに行く」という強い意志の表れだろう。彼もまた,大戦を前に武者震いをしているひとりだと言える。

 既にエースドライバーという肩書きを超え,チームの精神的支柱となっている佐藤琢磨は,「チームのためにポイントを獲得できるようベストを尽くしたい」と語り,昨年は獲得できなかったチーム初ポイントを熱望している。昨年最終戦ブラジルGPでの10位フィニッシュ,そして,オフシーズンの安定したテスト走行を見ているライバルたちは,すでにSAF1をテールエンダーとは見ていないだろう。それだけに,ライバルたちのマークも一層厳しいものとなることが予想される。新規加入のアンソニー・デビッドソンも,「本当にワクワクしている」と,レースを心待ちにしている。SAF1で事実上の初陣を飾るデビッドソンは,琢磨がまず打ち負かさねばならない強力なライバルとなるだろう。

 さて,気になる新型車SA07は,いよいよ明日メルボルン・アルバートパーク・サーキットで発表されることになっている。琢磨自信もまだSA07のパッケージとしての状態を見ていないようだが,昨年の経験を生かした競争力のあるマシンであることを確信しているようだ。気になるスポンサーを含めたニューカラーリングも,明日は明らかになるであろう。昨日の記者会見では,スポンサーロゴのないシンプルなシャツを着ていた琢磨とデビッドソンだが,間違いなく明日は,新たなロゴが縫いつけられたレーシングスーツを身に纏っているはずである。さあ,今年も,いざ出陣の時が来た!

参照リンク:F1通信

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2007年3月12日 (月)

勝利の女神は浮気者?

 春は別れと新たなる出会いの季節である。今まで慣れ親しんだ街を離れ,新たな土地で新生活を始める者も多いだろう。新しい生活に不安はつきものだが,それ以上に得るものも大きいはずである。F1界もいよいよ今週,オーストラリア・メルボルンで2007年シーズンの開幕戦を迎え,全17戦でタイトル争いが行われることになる。各メディアでは今季の「予想合戦」が熱くなっているが,希に見る混戦となるであろうシーズンの行方を占うことは難しい。従って今回は,オフシーズンテストの動向から,「勝利の女神が微笑みそうなチーム&ドライバー」を予想していきたいと思う。

 まず注目となるタイトル争いは,フェラーリのフェリペ・マッサとキミ・ライコネン,そしてマクラーレンのフェルナンド・アロンソの間で争われることとなるだろう。現時点でマシン的にはフェラーリに歩があるが,2年連続王者のアロンソには,それを補って余りある実力がある。ライコネンはまず,マッサをコンスタントに上回ることが要求される。しかし,皇帝の後継者が必ずしもライコネンとは限らない。昨年後半の活躍により,マッサの評価は内外で鰻登りであり,フェラーリがこのまま優位に開発を続けていけば,ライコネン&アロンソの前に大きく立ちはだかることになるだろう。

 誰もが注目している大型新人マクラーレンのルイス・ハミルトンと,チャンピオンチームからデビューするヘイキ・コバライネンも,今季中の初優勝が期待されるポジションにある。この二人に十分な「速さ」があることは,GP2での活躍やオフシーズンテストでも明らかである。だが,それらとF1は別物であり,デビュー後はレースで生き残る「強さ」が要求される。まずコンスタントに表彰台を獲得することが,今季の現実的な目標となるだろう。その一方でジャンカルロ・フィジケラは,今季がドライバー人生を賭けたシーズンとなることは,誰の目にも明らかである。コバライネンに負け続けるようなことがあれば,今季中の解雇もあり得るだろうから,1戦1戦が真剣勝負となるだろう。

 上記の3チーム6人には,間違いなく優勝或いはその可能性がある。しかし,他に優勝できるチームを探すとなると中々難しい。昨年優勝を果たしたジェンソン・バトン率いるホンダは,今季も上位に食い込んでくるべき存在だが,オフシーズンテストを見る限り,その可能性は遠退いてしまったように思われる。また,昨年の「新人王」ロバート・クビサを擁するBMWザウバーも,一発の速さを生かしPP獲得の可能性はあるが,信頼性の問題から優勝は難しく,表彰台の回数を増やすに留まるだろう。いかに混戦が予想されようとも,勝利の女神もそれほど浮気者ではないだろうから,残念ながらこれ以外のチームに彼女が微笑むことはないだろう。もっともこれだけいれば十分かな?

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月 9日 (金)

チャンスを生かすのも実力

 年度末は人事異動の盛んな時期である。3月下旬になると新聞各紙には,官庁や公務員の異動者名が掲載され,新規採用者を迎える4月までに,新体制を整えておく必要がある。しかし同時に,「どうしてこの人が,このポジションに?」と,疑問を抱かざるを得ない人事異動が行われる。どの世界にも実力以外の要素によって,ポジションを勝ち取る人間はいる。それはF1に於いても同じ事。むしろF1では,実力プラスαの要素によってシートを得るドライバーの方が多いのかもしれない。しかし,きっかけは何であれ,そのチャンスを生かすことができるかが,本当の実力ではないだろうか。

 さて,昨日興味深い新人の起用が,ホンダから発表された。ホンダは昨年のイギリスF3チャンピオンであるマイク・コンウェイとテストドライバー契約を結んだことを明らかにしている。コンウェイは昨シーズン,イギリスF3にライコネン・ロバートソン・レーシングから参戦。シーズン10勝を挙げ,見事タイトルを獲得している。さらに11月に行われた「F3統一戦」マカオGPでは,ユーロF3王者のポール・ディ・レスタや,同シリーズ2位で,カーリンから出走したセバスチャン・ベッテルなど,並み居る強豪を抑え優勝を果たしたしている。荒れた展開のレースであったが,下馬評では不利と言われていたイギリスF3勢の中で唯一気を吐き勝利を得たことは,彼の実力を証明しているだろう。

 B.A.R.時代からホンダは,アンソニー・デビッドソンやジェームス・ロシターなど,イギリスF3上がりの若手ドライバーを起用することが多い。今回のコンウェイ起用には,彼をマネージメントしている「2MB」からの,強い売り込みがあったようである。2MBは,元F1ドライバーであるマーティン・ブランドルとマーク・ブランデルの会社であり,イギリスの若手ドライバーを積極的にバックアップしていることで知られている。ホンダは既にロシターに加え,昨年末に元レッドブルのクリスチャン・クリエンともテストドライバー契約を交わしており,コンウェイが早急に必要なわけではない。実際彼がRA107をドライブするのは,シーズン後半になってからだという。

 ではなぜこの時期に,テストドライバー契約を結ぶ必要があったのだろうか。言うまでもなくF1では,ドライバーの低年齢化が加速しており,レギュラードライバーでさえ20代前半というのは珍しくも何ともない。ましてやテストドライバーともなれば,更に低年齢となる。昨年のトルコGPでBMWザウバーのサードドライバーに抜擢されたベッテルは,当時弱冠19歳であった。金の卵はどこに潜んでいるわからないのだから,なるべく早い段階で優秀な人材を確保しておきたいと思うのは当然のことである。個人的には,日本の若手ドライバーにもチャンスを与えてほしいが,まだ少々実力不足かなぁ。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月 8日 (木)

ヒル先輩からの忠告

 「結婚は人生最大の賭」という言葉を聞いたことがある。確かに結婚は,多くの場合人生に於いて,ターニングポイントとなる出来事である。しかし,全ての結婚がお互いを幸せにするとは限らない。時にはその賭に,失敗してしまうこともあるだろう。F1ドライバーにとっても,どのチームで走るのかは,結婚と同じような要素があるのかもしれない。F1ドライバーなら誰しもチャンピオンを目指して戦うのは当然のことであるが,いくら自分自身にその能力があろうとも,F1はドライバーの能力だけで勝てるカテゴリーではない。チャンピオンになるためには,勝てるマシンを手に入れなければならないのだ。そのためには時として,冷酷な決断を下すことも必要とされる。

 ホンダのジェンソン・バトンが昨年のハンガリーGPで,113戦目のF1初優勝を飾ったことは記憶に新しい。バトンは今季も,ホンダRA107を駆り,チャンピオンを目指して戦うことになる。しかし,元ワールドチャンピオンであるデイモン・ヒル氏は,「バトンがF1のトップを目指したいのであればホンダを離れるべき」と考えているようだ。ヒル氏は「ホンダには何かが欠けている。ホンダがチャンピオンシップで優勝するようなチームにはならないと思う」とした上で,「どうやって常にトップを走るF1マシンを手に入れるか真剣に考えた方がいい」と,母国の後輩ドライバーに忠告している。

 「ジェンソンはホンダに全てを賭けてしまった」と嘆くヒル氏だが,当のバトン本人は現状を楽観視しているように見える。だからこそヒル氏は,バトンの将来が不安なのだろう。過去にチャンピオンとなったドライバー,例えばアイルトン・セナやミハエル・シューマッハからは,勝利に対する強烈な執着心が感じられた。しかし,バトンからはその執着心があまり感じられないのだ。それは「バトンにはもう少し悲壮感がほしい」と,ホンダ首脳陣も認めていることである。また,非常にスムーズでミスも少ない代わりに,強烈な速さを印象づけることはない彼のドライビング・スタイルも,「バトンの走りには華がない」というイメージに繋がってしまっている。

 ヒル氏がバトンの行く末を案じる理由に,マクラーレンからデビューする大型新人,ルイス・ハミルトンの存在がある。ヒル氏がデビューイヤーに3勝を挙げたように,ハミルトンが今季中に勝利を挙げると,F1ファンの注目は完全にバトンから離れることになる。イギリス期待の新人として,20歳でデビューしたバトンも,今年でもう27歳。「時間はどんどん経っていく。グランプリ・ドライバーには旬の時期がある」という言葉は,ヒル氏自信が32歳という非常に遅咲きのF1デビューであっただけに説得力がある。しかしながらヒル先輩からの忠告,超楽観主義者のジェンソン君に,果たして届くかどうか。

参照リンク:F1通信

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2007年3月 7日 (水)

理想の上司と呼べるのは

 上司によって,職場の雰囲気はずいぶん変わる。冷徹に人を支配するだけの人間がトップにいた場合,その職場に規律は生まれるだろうが,同時に部下にのしかかるプレッシャーも大きくなる。部下にとって理想の上司は,自分たちの思いをくみ取り,自由に実践させてくれる人物だろう。それは時として失敗に繋がることもあるのだろうが,進化に失敗はつきものである。トライ&エラーを繰り返すことにより,人も物も進化をし続けるのである。自由闊達に仕事ができるような組織づくりをした,ホンダの中本修平/シニアテクニカルディレクターなどは,エンジニアにとって理想の上司と呼べるのではないだろうか。

 さて,その逆に管理で真っ先に思い浮かぶ上司と言えば,マクラーレンのロン・デニス代表だろう。誤解してほしくはないが,デニス代表は決して無能な上司ではない。彼は弱小コンストラクターであったマクラーレンを,一代で大企業に育て上げた有能な経営者である。しかし,そんなデニス代表もキミ・ライコネンにとっては,理想の上司ではなかった。以前ライコネンはデニス代表を「支配マニア」と皮肉ったが,やんちゃなライコネンにすれば,そう感じてしまうのも当然のことだろう。これに対し,当のデニス代表は,「私が支配マニアだと聞いて笑顔になったよ。だってほんとうにそうなんだから」と,発言の詳細をさして気にする様子もない。

 確かにデニス代表は,細かいことにこだわる人間であり,何より規律を重んじる経営方針で有名である。「冷たい」「ユーザー・フレンドリーでない」「ややお高くとまっている」・・・。これはF1ファンが感じている,マクラーレンのマイナスイメージであるという。確かにマクラーレンには,「ファクトリーやピットには塵一つなく,整然と並べられたパーツの中でスタッフが仕事をしている」と言うような無機的なイメージがある。もちろんこれはイメージであり何の根拠もないのだが,多くのファンがマクラーレンに「人間らしさ」を感じていないということは,紛れもない事実である。

 デニス代表の常に完璧を目指す姿勢は,弱小チームを通算148勝,コンストラクターズタイトル8回という,トップチームに進化させた。彼の勝利に対する執着心も半端ではなく,「マクラーレンで優勝したドライバーのトロフィーはチームのものとなり,ドライバーにはレプリカが渡される」という話も聞いたこともある。それだけに,昨年ついに1勝も挙げられなかったことは,彼にとってショックな出来事だったのであろう。だからこそ今季は,ドライバー&スポンサーを一新し,新たなマクラーレンとして再出発を図ろうとしているのである。デニス代表が,フェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンにとって理想の上司と呼べるのかどうかは,今しばらく様子を見る必要があるだろうが・・・。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月 6日 (火)

トヨタの「最速」は・・・

 1月は「行く」,2月は「逃げる」,そして3月は「去る」。そう表現されるほど,年度末は慌ただしく過ぎてゆく。そんな中でも,日々の仕事は待ってくれない。毎日自分のできることを,コツコツと積み重ねるしかない。「塵も積もれば山となる」という言葉が示すとおり,それがほんのわずかなものであっても,積み重ねれば大きな成果になるだろう。地道な努力を続けているのは,開幕戦を目前に控え,最後の調整に大忙しのF1チームも同じである。中でも天候不順やトラブルにより,オフシーズンテストで思うような速さを発揮できなかったトヨタは,スペイン・へレスで「追試」を行うことを決定している。

 今季こそ初優勝を期待されるトヨタだが,新型車TF107は絶対的なスピード不足に悩んでいる。ロングランでのタイムは安定しているものの,それとてトップチームには遠く及ばない。原因は様々だろうが,マシンの根本的なダウンフォース不足は明らかである。トヨタは「ヒレの王者」と揶揄されるように,ダウンフォースをウイングやフィンに頼る傾向が強い。ご多分に漏れずTF107にも,様々な種類の「ヒレ」が存在する。ウイングに頼るとダウンフォースは強くなるが,当然ドラッグも大きくなる。トップスピードは不足するのはもちろんだが,コース特性による得手不得手がハッキリとしてしまい,安定した成績は望めない。トヨタは参戦以来,この方向性から抜け出せないでいる。

 トヨタのマシンは,例年各チームの先陣を切って発表される。2006年前半を戦ったTF106は,何と2005年の12月にデビューを果たしている。もっともこのマシンは,2005年後半を戦ったTF105Bの改良型であり,ゼロキール化されて不要になったはずのセンターキールが残っているような状態だった。開幕直前に空力パーツの変更が行われたものの,各部にフィンを追加した程度。そんな中途半端なマシンで,ライバル勢に太刀打ちできるはずもなく,トヨタは開幕当初から速さと信頼性の両面に,課題と抱えることとなってしまった。その後TF106Bが投入され,いくらか安定した成績を残せるようにはなったが,そのマシンですら表彰台に届くことはなかった。

 さすがに今季は昨年の反省からか,「完成したマシンをベンチにかけて強度や剛性を確認し,徹底的にデータを取り検証した上で実走テストに持ち込む」という着実な方法をとったが,それでも状況は昨年と変わらないように見える。いっこうに開発の進まないマシンにラルフ・シューマッハも「今の状況では,トヨタはレッドブルと並んで,ただバックマーカーより速いというだけ」と,不満をぶちまけている。新居章年/技術コーディネーション担当ディレクターは,「目標を高いところに設定している。100%達成できれば戦闘力はある」と言うが,デビューの時期だけ「最速」でも仕方ないんだよなぁ。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月 5日 (月)

レースが文化になる日まで

 どのようなものであれ,それが文化として定着するまでには,ある程度の年月を必要とする。歴史の長さだけが文化の価値ではないのだが,人々に浸透するまでに時間がかかるのは,その歴史が証明している。モータースポーツも例外ではない。自動車文化が根付いた現代に於いても,モータースポーツに対する地域差があることは明白な事実である。以前「モータースポーツの特異性」で触れたように,モータースポーツ後進国と呼ばれていた日本も,ようやくモータースポーツが一般に認知されされようとはしているが,それが文化として定着している欧米には,未だ遠く及ばない。

 そんな「文化の差」は,GPの観客動員数にも影響を及ぼす。幸いにも日本GPの観客動員数は,毎年述べ30万人以上というトップレベルの数を推移しているが,他のアジアラウンドはそうも行かないようである。中国GPはそれなりの観客を確保しているものの,今年が9回目となるマレーシアGPは,ここ数年観客動員数で苦戦を強いられている。第2戦まであと1ヶ月と迫った現在も,マレーシアGPのチケットは,僅か11000枚しか売れていないという,日本では考えられない状況にある。主催者側は,「マレーシアのファンは,土壇場になるまでチケットを買わないが,レースが始まると観客数は12万人に達する」と豪語するが,とても目標とする人数は達成できそうにない。

 マレーシアにもしっかりとした自動車文化があり,マレーシア人ドライバーも各カテゴリーに存在する。ペトロナスをはじめ,モータースポーツに関与している企業も少なくない。しかし,それがGPの観客動員数に結びつかないのは,モータースポーツが広く一般に認知されていないという,マレーシア国内の現実がある。セパンで毎年開催されているスーパーGTには,多くの観客が詰めかけ盛り上がると言うが,それは一部の熱狂的なファンである。いくらサーキットという立派な箱を作っても,そこに集うファンを開拓していかなければ,自国のモータースポーツが盛り上がるわけがない。これは何もマレーシアに限ったことではなく,日本にも言えることなのだが・・・。

 レースをサーキットという閉鎖された場所で行っている限り,一般の人がモータースポーツに触れる機会は少ない。ならばサーキットを飛び出し,一般の触れることの多い場所でレースを開催すれば,モータースポーツを体感する機会を増やすことができる。公道を使用したGPにも,その可能性はあるだろう。日本では残念ながら実現されていないが,以前から噂のあったシンガポールでの市街地レースは,早ければ2008年から開催されるという。騒音や環境問題など,依然としてモータースポーツへの風当たりは強いが,地道な活動を続けてゆけば,いずれ日本でも,レースが文化となる日が来るだろう。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月 2日 (金)

SA07の抱える矛盾

 言っていることとやっていることが違う人間は,なかなか人の信頼を得ることはできない。そういった人間の行動を,人は中国の故事になぞらえ「矛盾」と呼ぶ。F1などは矛盾だらけの世界でだろうが,その中にあっても自分の信念を貫き,誠実に戦う人間も多い。「F1最後の清貧チーム」と言われるSAF1は,佐藤琢磨が最終日となる昨日,オフシーズン最後となるテストを行った。残念ながら,縁石でモノコックにダメージを負ってしまったため,テストは途中で打ち切られることになったが,それでも午前中だけで53周を周回し,予定していたプログラムを,ほぼ終了させることができたようである。

 テスト終了に合わせるように,チームからは1通のリリースが発表されている。3月12日に東京で予定していた新型車SA07の発表を,48時間延期するというものである。チームは開幕戦オーストラリアGPに新型車を間に合わせるため,不休で作業を続けているものの,残念ながら東京での発表会には間に合わず,メルボルンのピットレーンで発表することになるようである。autosport.comはこの新型車発表の遅れについて,先週と同様に「新マシンのクラッシュテストの遅れと,カラーリングに大きな影響がある,メインスポンサーの未定に関連したもの」としている。

 この発表により明らかになったことは,一部噂になっていたような開幕戦にインテリムカーを投入することはなく,SA07を間に合わせるということ。そして,そのSA07は事前テストを行わず,メルボルンでぶっつけ本番のデビューを果たすということである。しかし,どうも腑に落ちない点がある。琢磨は今回のテストを終え「色々はな空力作業をすることができ,メルボルンのパッケージのために,多くのデータを集めることができました」とコメントしている。これでままるで,「インテリムカーはほぼSA07」であると言っているようなものである。鈴木亜久里代表や,ホンダのニック・フライ代表が発言していた「ホンダとは全く似ていないマシン」が,どうしても見えてこないのである。

 大きな矛盾を抱えるSA07だが,以前マーク・プレストン/テクニカル・ディレクターは,「各部の空力パーツは完成し次第,段階的にインテリムカーに投入していく」という旨の発言をしていた。確かにバーレーンテストに持ち込まれたインテリムカーは,サイドポッドやカーリーフィンに若干仕様の違いが見られるが,見た目の印象は依然として「RA106」である。ようやく投入された新型のフロントウイングも,RA106を思わせるノーズ下が一直線のもの。似ている似ていないは主観的な判断であり,ホンダと全く同じではないこともわかるのだが・・・。こんな事を書く裏には,SA07が「SAF1らしいマシン」であってほしいと願う気持ちがある。しかしそれも,現実的には厳しいのかなぁ。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2007年3月 1日 (木)

ポジションが見えてきた

 記録的な暖冬と言われているこの冬だが,例年通りインフルエンザは流行の兆しを見せている。今年は幸いにも感染していないが,一度発症すれば何日も高熱にうなされることとなる。先日から,インフルエンザの治療薬「タミフル」の危険性も報道されているが,一刻も早く苦しみから解放されるのであれば,多少の危険があっても服用したくなるだろう。このインフルエンザに,バーレーンでテストを続ける佐藤琢磨も感染してしまったようだ。普通の人間だったら立っているのもやっとな状態だろうが,さすがF1ドライバー。そんな状態でもテストを行い,何と合計100周もの走り込みを行っている。SAF1は,これが開幕戦前最後のテストと言われているだけに,琢磨の体調が気がかりである。

 さて,先週から行われているバーレーンでのテストも5日目を迎え,各チームともレースに向けた最後の調整に余念がない。特にタイトル奪還を目指すフェラーリは,完全装備のメカニックが本番さながらのピットストップ練習を繰り返すなど,開幕戦への準備は万端のようだ。新しいエアロパーツの評価をしたフェリペ・マッサが,連日トップタイムを記録している一方,キミ・ライコネンもブリヂストンタイヤの評価を中心に順調なテストを続けている。両者とも連日100周前後の走り込みを続けていることからも,課題であった信頼性の確保もできつつある。

 現時点でフェラーリと対等の速さを見せているのは,フェルナンド・アロンソ率いるマクラーレンである。もっともアロンソの速さは今更驚くこともないが,新型車MP4-22を初テストでスクラップにするという大物ぶりを発揮した,新星ルイス・ハミルトンの速さも本物であろう。これに僅差で続くのがルノー。4日目に大クラッシュを演じたヘイキ・コバライネンも,昨日は元気にテストに復帰している。このトップ3の差は昨年よりも少なくなっていることに加え,オフテストで安定した速さを発揮しているBMWザウバーと,急ピッチで開発が進むホンダが上位に絡んでくることが予想される。

 上位チームが順調にマシン開発を進めているのに対し,苦戦を強いられているのがトヨタとレッド・ブルである。トヨタはこのテストに新型のフロントウイングを投入したものの,以前から課題となっているマシンのアンダーステアの傾向が改善されず,タイムも下位に沈んでいる。また,レッドブルもトランスミッションを中心にトラブルが多発しており,十分な周回を重ねることができずにいる。チームはバーレーンテスト後に,フランスのマニクールで追加テストを予定するなど,マシン開発の遅れを取り戻そうと必死である。オフシーズンの合同テストも,残すところあと1日。開幕戦を目の前に,各チームのポジションが,徐々に見えてきている。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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