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2007年10月 7日 (日)

神童が成し遂げる偉業

 歴史的な瞬間というものは,意外にあっけなく訪れるのかもしれない。今シーズン,ルーキーながらタイトル争いをリードしてきたマクラーレンのルイス・ハミルトン。彼が50年以上に渡るF1の歴史を塗り替え,数時間後には初の「ルーキー・チャンピオン」となるかもしれない。ハミルトンに関しては今週,日本GPのSCラン中に極端なスピードコントロールを繰り返したとして,25秒加算のペナルティが議論されていたが,結局この件はFIAにより「お咎め無し」の判決が下った。更に心配されていた台風15号も,東よりに進路を変えたことで,中国GPは無事スタートが切られるようである。危うく歴史的な瞬間が,戦わずして訪れるところであった。

 ファン-マニュエル・ファンジオ,スターリング・モス,ジム・クラーク,ジャッキー・スチュワート,アイルトン・セナ,ミハエル・シューマッハ・・・。歴史に名を刻んできた伝説的なドライバーでさえ,ルーキーシーズンからこれほどの活躍をした者はいなかった。もちろんハミルトンが10年以上に渡ってマクラーレンからバックアップを受け,下位カテゴリーで十分な成績を残し,準備万端の上でF1デビューを果たしていること。そして,今季グリッドに並んでいるマシンの中で,最も戦闘力のあるMP4-22を駆っていることも忘れてはならない。しかし,それを考慮しても余りある彼の才能は,もはや疑いようのない事実である。

 今季,まるで10年もF1ドライバーを務めていたような,円熟したドライビング・スキルを披露してきたハミルトンだが,彼が優れているのはそれだけではない。チーム・スタッフやゲスト,彼を応援するファンにまで,細かな心配りをすることのできる人柄である。それを表すエピソードが,日本GPの最中にあったという。土曜日,天候不良のためヘリコプターが飛べず,マクラーレンのゲストは東京からバスで富士に向かうハメになった。それを聞いたハミルトンは彼らを退屈させまいと,携帯電話からバスのスタッフに電話をかけ,彼のメッセージをバスのスピーカーから流すように頼んだという。こんな気配りを,普通22歳の若者ができるだろうか?

 もちろんハミルトンが,品行方正な優等生と決めつけるつもりはない。ハンガリーGPの予選で,チームの指示を5度に渡って無視し続け,挙げ句の果てにロン・デニス代表に暴言を吐いたこと。スタート直後やレース中に後続に対して見せる,執拗なまでのブロック。そして今回物議を醸した,SCラン中の急減速・・・。それらを見ればハミルトンが,普段の穏やかな人柄からは想像もできない,闘争心をむき出しの本性を内面に併せ持っていることは明らかである。しかしそれは,人間であれば多かれ少なかれ誰もが持つ二面性である。「神童」ハミルトンも「神様」ではなく,一人の「人間」なのだ。彼が成し遂げるであろう偉業を,今日は見守ることにしよう。

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コメント

 こんばんは!
 あえて決勝結果には触れずに、、、(^^

 今年デビューを果たしたドライバーとは思えないハミルトンの快進撃。さすがにここまでとは思いませんでしたが、彼のここまでの歩みを見ると必然なのかも知れません。

 後半に入ってからの騒動で印象が変わった方もいるようですが、ドライバーとしての能力も、人間性も、F1に一時代を築く人物としてふさわしいと思います。
 僅か10歳の頃から、ロン・デニスによってスターへのシナリオを用意されていますが、その道をここまで一度も踏み外さずに来た影には、想像を絶する努力が隠されているはずです。

 マンガ&ドラマ「花より男子」ではありませんが、彼のようなタイプが、実は一番好きだったりします。
 ぜひとも「偉業」を成し遂げて欲しいですね!

投稿: mar | 2007年10月 8日 (月) 01時57分

 marさん,こんばんは!
 富士に続いて,波乱の中国GP。ハミルトンの「偉業」は,最終戦に持ち越しになりましたね。一瞬の判断ミスが,ああいった場面では命取りになります。やはり神童も人間でしたね。とは言え,まだハミルトン優勢は変わりません。三つ巴の最終戦なんてしばらくぶりですから,ブラジルは熱くなりそうですね(^^;)
 個人的には,SAF1がついにホンダ&トロ・ロッソに抜かれたことがショックです(T_T)でも,両チームの戦闘力を考えると妥当なのかな。ベッテル君も富士のリベンジしましたしね(^^)vではでは!

投稿: KAZ | 2007年10月 8日 (月) 02時06分

こんばんは!

私も、すっかりハミルトンが決めてくれるものと思って、半分寝ながら観ていたのですが、ピットレーンの入り口で、亀の甲羅状態になった時は、ホントに飛び起きました。
レースというのは、本当に最後まで何が起こるのかわからないものだと・・・。また、計算上、確実にチャンピオンを決めるまでは、油断できないものであると・・・あらためて、認識させられました。

シーズン前半は、ハミルトン圧勝と思っていただけに、ライコネンまで絡んでくるというのは、本当に予想外でした。

バーニーの「ハミルトンは救世主様、チャンピオンを獲ってほしい」発言とか、ロン・デニス氏の「アロンソとレースをしていた」発言とか、外野で見ていると、楽しめる要素は満載ですが、その意味でも、最終戦は、「レース」というよりも、F1 ならではの「ノンフィクション・ドラマ」として、どのようなストーリーが用意されているのか、本当に楽しみです。

アロンソは・・・ですので(^^;)、ハミルトンが圧倒的に優位な状況にあるのは変わらないと思います。ただ、不気味なのは、フェラーリとライコネンでしょうか?

ハミルトンがルーキーチャンピオンを決めて、歴史的な偉業を成し遂げるのか、それとも、ライコネンが逆転チャンピオンを決めて、ゴリラのぬいぐるみで酒を飲んでくれるのか、ブラジルGP の開演が待ちきれませんね~!☆

投稿: Tommi-TAG | 2007年10月11日 (木) 00時26分

 Tommi-TAGさん,こんばんは!
 私も九分九厘ハミルトンだと思って,前祝いのようなエントリー書いたんですが,いやー,ホントにF1って,いや人生って何が起こるか分かりませんね(^^;)
 それにしても,カーカスまでもが出ていたタイヤで5周も走らせたのは,完全にチームの判断ミス。それなのにロン・デニスのあの発言があっては,もうアロンソはやってられませんね(>_<)
 こうなると一番強いのは,失うモノは何もないライコネンなのかもしれません。マクラーレンの二人が絡んで,ライコネンが大逆転チャンピオン!と言う結末も見たいような見たくないような・・・。
 ブラジルGPは,眠い目をこすりながらブラウン管の前で一喜一憂しそうです(^^)
ではでは!

投稿: KAZ | 2007年10月12日 (金) 22時42分

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