トヨタの「最速」は・・・
1月は「行く」,2月は「逃げる」,そして3月は「去る」。そう表現されるほど,年度末は慌ただしく過ぎてゆく。そんな中でも,日々の仕事は待ってくれない。毎日自分のできることを,コツコツと積み重ねるしかない。「塵も積もれば山となる」という言葉が示すとおり,それがほんのわずかなものであっても,積み重ねれば大きな成果になるだろう。地道な努力を続けているのは,開幕戦を目前に控え,最後の調整に大忙しのF1チームも同じである。中でも天候不順やトラブルにより,オフシーズンテストで思うような速さを発揮できなかったトヨタは,スペイン・へレスで「追試」を行うことを決定している。
今季こそ初優勝を期待されるトヨタだが,新型車TF107は絶対的なスピード不足に悩んでいる。ロングランでのタイムは安定しているものの,それとてトップチームには遠く及ばない。原因は様々だろうが,マシンの根本的なダウンフォース不足は明らかである。トヨタは「ヒレの王者」と揶揄されるように,ダウンフォースをウイングやフィンに頼る傾向が強い。ご多分に漏れずTF107にも,様々な種類の「ヒレ」が存在する。ウイングに頼るとダウンフォースは強くなるが,当然ドラッグも大きくなる。トップスピードは不足するのはもちろんだが,コース特性による得手不得手がハッキリとしてしまい,安定した成績は望めない。トヨタは参戦以来,この方向性から抜け出せないでいる。
トヨタのマシンは,例年各チームの先陣を切って発表される。2006年前半を戦ったTF106は,何と2005年の12月にデビューを果たしている。もっともこのマシンは,2005年後半を戦ったTF105Bの改良型であり,ゼロキール化されて不要になったはずのセンターキールが残っているような状態だった。開幕直前に空力パーツの変更が行われたものの,各部にフィンを追加した程度。そんな中途半端なマシンで,ライバル勢に太刀打ちできるはずもなく,トヨタは開幕当初から速さと信頼性の両面に,課題と抱えることとなってしまった。その後TF106Bが投入され,いくらか安定した成績を残せるようにはなったが,そのマシンですら表彰台に届くことはなかった。
さすがに今季は昨年の反省からか,「完成したマシンをベンチにかけて強度や剛性を確認し,徹底的にデータを取り検証した上で実走テストに持ち込む」という着実な方法をとったが,それでも状況は昨年と変わらないように見える。いっこうに開発の進まないマシンにラルフ・シューマッハも「今の状況では,トヨタはレッドブルと並んで,ただバックマーカーより速いというだけ」と,不満をぶちまけている。新居章年/技術コーディネーション担当ディレクターは,「目標を高いところに設定している。100%達成できれば戦闘力はある」と言うが,デビューの時期だけ「最速」でも仕方ないんだよなぁ。
参照リンク:FMotersports.nifty F1通信
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