2007年3月 6日 (火)

トヨタの「最速」は・・・

 1月は「行く」,2月は「逃げる」,そして3月は「去る」。そう表現されるほど,年度末は慌ただしく過ぎてゆく。そんな中でも,日々の仕事は待ってくれない。毎日自分のできることを,コツコツと積み重ねるしかない。「塵も積もれば山となる」という言葉が示すとおり,それがほんのわずかなものであっても,積み重ねれば大きな成果になるだろう。地道な努力を続けているのは,開幕戦を目前に控え,最後の調整に大忙しのF1チームも同じである。中でも天候不順やトラブルにより,オフシーズンテストで思うような速さを発揮できなかったトヨタは,スペイン・へレスで「追試」を行うことを決定している。

 今季こそ初優勝を期待されるトヨタだが,新型車TF107は絶対的なスピード不足に悩んでいる。ロングランでのタイムは安定しているものの,それとてトップチームには遠く及ばない。原因は様々だろうが,マシンの根本的なダウンフォース不足は明らかである。トヨタは「ヒレの王者」と揶揄されるように,ダウンフォースをウイングやフィンに頼る傾向が強い。ご多分に漏れずTF107にも,様々な種類の「ヒレ」が存在する。ウイングに頼るとダウンフォースは強くなるが,当然ドラッグも大きくなる。トップスピードは不足するのはもちろんだが,コース特性による得手不得手がハッキリとしてしまい,安定した成績は望めない。トヨタは参戦以来,この方向性から抜け出せないでいる。

 トヨタのマシンは,例年各チームの先陣を切って発表される。2006年前半を戦ったTF106は,何と2005年の12月にデビューを果たしている。もっともこのマシンは,2005年後半を戦ったTF105Bの改良型であり,ゼロキール化されて不要になったはずのセンターキールが残っているような状態だった。開幕直前に空力パーツの変更が行われたものの,各部にフィンを追加した程度。そんな中途半端なマシンで,ライバル勢に太刀打ちできるはずもなく,トヨタは開幕当初から速さと信頼性の両面に,課題と抱えることとなってしまった。その後TF106Bが投入され,いくらか安定した成績を残せるようにはなったが,そのマシンですら表彰台に届くことはなかった。

 さすがに今季は昨年の反省からか,「完成したマシンをベンチにかけて強度や剛性を確認し,徹底的にデータを取り検証した上で実走テストに持ち込む」という着実な方法をとったが,それでも状況は昨年と変わらないように見える。いっこうに開発の進まないマシンにラルフ・シューマッハも「今の状況では,トヨタはレッドブルと並んで,ただバックマーカーより速いというだけ」と,不満をぶちまけている。新居章年/技術コーディネーション担当ディレクターは,「目標を高いところに設定している。100%達成できれば戦闘力はある」と言うが,デビューの時期だけ「最速」でも仕方ないんだよなぁ。

参照リンク:FMotersports.nifty F1通信

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2006年11月12日 (日)

「参加」から「勝利」へ

 オリンピックには「参加することに意義がある」という人もいる。世界最大規模の大会に参加するためには厳しい標準記録をクリアする必要があり,それを突破するだけでも容易なことでない。いかにアスリートといえど「参加できただけで満足」という考え方があっても無理はない。サッカー・ワールドカップにも,似たような見方があった。しかし,日本が3大会連続出場を果たした現在は,もはや参加するだけでは満足していてはいけないという考え方が主流である。世界3大スポーツのF1も同様である。1987年に中嶋悟がフルタイム参戦を果たしたとき,「日本人が参戦できただけで満足」という見方がもっぱらだった。時は流れ,あれから20年。今はそんな甘い時代ではない。

 先日TDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)の活動報告会が行われ,中嶋一貴のウィリアムズ加入に続き,平手晃平,小林可夢偉にもトヨタF1でのテストドライブの機会が与えられることが明らかになった.。もっともこれは,ある程度予想されていたことである。3人の契約主はトヨタ自動車であり,ウィリアムズやTMGへはレンタルされる形になると伝えられている。ゆくゆくはこの若き才能をトヨタF1のシートに座らせることが,トヨタ本社の目標だろう。日本チームに日本人ドライバーが乗ることがどれだけの効果をもたらすかは,今年のSAF1の注目度が物語っている。

 一貴&晃平の二人は,来季GP2へのステップアップが確認された。一貴はDAMSから,晃平はトライデントからのエントリーとなる。GP2はF1のサポートレースであると同時に,最大級の次期F1ドライバーマーケットでもある。ユーロF3のような走りを1年目から見せることができれば,2008年のシート獲得も決して夢ではない。一方の可夢偉は,もう1年ユーロF3に残り,2年目でのチャンピオン獲得を狙うこととなる。昨シーズン可夢偉と共にフォーミュラ・ルノーを戦ったミハエル・アメルミューラーは,今シーズンGP2に飛び級。さらにレッドブルのサードドライバーを務めるなど,注目を集めている。可夢偉もそれを意識しているだけに,来季に期待がかかる。

 さて,トヨタ三銃士の中で,もっとも可能性を秘めているのは誰だろうか。人により見方考え方も様々だろうが,個人的には可夢偉を見つめていきたい。筆者と誕生日が同じ,というどうでもいい理由はさておき,速さだけでなくその図太い性格が魅力である。SAF1の鈴木亜久里代表も「可夢偉はいいものをもっているよね」と,その才能を評価している。来季もAMSからエントリーする可夢偉には,チャンピオン獲得が命題となる。もはや日本人ドライバーにとってF1は,「参加することが意義がある」カテゴリーではなくなった。次に求められているのは,「勝利すること」である。

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2006年10月16日 (月)

ワークス最下位はどっちだ!?

 1980年代終わりから1990年代初頭は,4強と呼ばれたフェラーリ,マクラーレン,ウィリアムズ,ベネトン(現ルノー)が優勝争いを演じていた。これらのチームはワークスエンジンの供給を受け,毎年コンストラクタースランキングの上位を独占していた。それ以外のチームは4強の下,つまり5位が現実的な目標となった。5位の座は非ワークスチームのトップに立つことを意味していたのだ。しかし自動車メーカーが自チームを運営する現代では,同じ5位でも大きく意味合いが違う。BMWザウバーとトヨタが5位争いを演じているが,これに負けたチームは「ワークス最下位」ということになる。

 ザウバーを買収してワークス体制を敷いたBMWは,非常にうまく機能している。ザウバー時代よりもスタッフの人数は増えたが,それとてトヨタほど多くはない。シャシーとエンジンのバランスもよく,積極的な開発はシーズンを通して続けられた。どのタイプのコースでも安定した速さを発揮していることからも,F1.06の素性の良さが伺える。更に,ロバート・クビサのレギュラートライバー昇格以降,チームは完全な上昇気流に乗った。ポイントは獲得するものの,今ひとつパッとしなかったニック・ハイドフェルドも,いよいよ尻に火がついてきたのか,シーズン後半の方がいい走りをしている。

 一方のトヨタは浮き沈みが激しい。シーズン序盤はオーストラリアGPでラルフ・シューマッハが3位表彰台を獲得したものの,今シーズンから採用したブリヂストンタイヤとのマッチングに苦しみ,思うような成績が残せなかった。しかし,モナコGPでTF106Bを投入してからは徐々に速さと信頼性を増し,ヤルノ・トゥルーリがポイントを獲得する機会も増えた。2人のドライバーが安定した成績を残せるようになったことで,BMWザウバーを押さえての上位進出が期待されたが,トヨタはまたも失速してしまう。終盤戦にも毎戦アップデートした空力パッケージを持ち込むなど,可能な限りの開発を続けていたのだが,それが結果として表れないという最も苦しい状態に陥っている。

 世界最高峰のF1でコストパフォーマンスを考えるのはおかしな話なのかもしれないが,どのチームも資金が無尽蔵にあるわけではない。したがって,限りある資金をどう効果的に使うかは重要事項である。例えば,F1につぎ込んだ資金を獲得ポイントで割ってみると,コストパフォーマンスに優れたチームであるか否かが一目瞭然になる。その考えでBMWザウバーとトヨタを比較してしまうと,どう考えてもBMWザウバーに軍配が上がる。マリオ・タイセン/ディレクターも「我々は満足すべき進化を遂げた」と,1年目のチームを賞賛している。しかし5位争いで満足しているようでは,初優勝は遠のくばかりである。どちらももっと上位を目指さなければならないチームなのだから。

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2006年9月19日 (火)

裏方達の就職活動

 優秀なハードを開発するには,「裏方」による努力が欠かせない。来シーズンのドライバーラインナップが続々と決まる中,F1チームの裏方であるテストドライバーの就職活動も忙しくなってきた。チームにとっても,優秀なテストドライバーの確保は重要な問題であり,金の卵を発掘する眼力が求められる。ヘイキ・コバライネンのレギュラー昇格が決まっているルノーは,現トヨタのテストドライバーであるリカルド・ゾンタと,今シーズンGP2ランキング2位のネルソン・ピケJrを就任を発表した。フェラーリ&マクラーレンは,今シーズンと大きく変動することはないと思われるが,中堅以降のチームのラインナップはこれから本格化することになる。

 まず注目されるのはトヨタである。昨日,長年裏方としてチームを支えていた,オリビエ・パニスの引退が発表された。ゾンタもチームを離れるので,トヨタのテストドライバーは現在空席の状態にある。そこに名前が浮上しているのが,現SAF1のサードドライバーを務めるフランク・モンタニーがである。テスト経験豊富なモンタニーの加入は,トヨタとしても歓迎するものであろう。TDP(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)の一員で,現在ユーロF3を戦っている,平手晃平,中島一貴,小林可夢偉の日本人トリオも,来シーズン中に一度はテストドライブのチャンスを与えてもらいたいものである。

 ホンダは依然として見えてこない。現在第3ドライバーを務めているアンソニー・デビッドソンは,来シーズンSAF1への加入が以前から噂されている。ニック・フライ代表も,「アンソニーにはSAF1でドライブしてほしい」と,移籍に前向きな発言をしており,実現の可能性は高い。そうなるとジェームス・ロシターが後任候補となるだろうが,トップチームのドライバーと比較すると若干見劣りする。トヨタもそうだが,ホンダもF3やGP2を戦う有望株を積極的に起用し,育成しようとは考えないのだろうか。デビッドソンに6年間もテストドラーバーを任せっきりにし,次世代のドライバーを育成しなかったツケを払わされるときが来るかもしれない。

 そう考えると,先見の明を持ってテストドライバーを起用しているのは,旧ザウバー時代から新人発掘に秀でているBMWザウバーであろう。今季はロバート・クビサという超新星を発掘したが,その後任がまたも驚異的な能力を発揮しているセバスチャン・ベッテルである。ミッドランド~スパイカーも,積極的に若手を起用している。今シーズンも3人の第3ドライバーを起用したが,印象的な走りを披露していたエイドリアン・スティールを日本GPで再起用。さらに中国GPではGP2ランキング3位のアレクサンドレ・プレマを,最終戦ブラジルGPでは,同6位ののアーネスト・ビソを,第3ドライバーとして起用することを予定している。SAF1もこれに続いてほしいが,まずは生き残ることが先決かなぁ。

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2006年9月 4日 (月)

トヨタが勝てない原因

 努力をしたにもかかわらず結果がついてこないことは,誰にとっても辛いことである。F1挑戦5年目を迎えるトヨタにとって,未だ初勝利を得られていないこともまた十分辛いことだろう。ましてや直接比較されることの多い同国のライバルが、勝利を挙げたことが気にならないわけがない。ラルフ・シューマッハは,ホンダの勝利はモチベーションを上げることはあっても,プレッシャーになることはないと語っている。確かに彼はホンダか勝とうがBMWザウバーが勝とうが,さして気にもしないだろう。しかし,チームの首脳陣は果たしてそうだろうか?

 大きなファクトリー,潤沢な資金,優れたスタッフ,優勝経験のあるドライバー・・・。そのどれをとってもF1を戦うには必要十分なものである。では,トヨタに足りないものはいったい何なのだろう。ヤルノ・トゥルーリは,「足りないのは経験」だと言う。参戦5年を経て,経験が足りないというのはおかしな話と思うかもしれない。しかし,トヨタが他のチームと大きく違う点は,ゼロからF1参戦を始めたことにある。ホンダやBMWが,B.A.Rやザウバーといったプライベートチームを買収し参戦を始めたのとは違い,トヨタはシャシーを含めて全てを手探りから始めている。5年という年月では,他のチームが長い時間をかけて培ってきた経験にはかなわないと考えても無理はない。

 しかし,それだけではトヨタが勝てない理由にはならない。1997年から1999年まで参戦したスチュワートは,トヨタより圧倒的に少ない資金と人員で,トヨタより短期間に初優勝を果たしている。とすれば何が原因なのだろう。最終的な結論を導き出すことは難しいが,強いて言うならばチーム運営方針に対する考えの違いであろう。確かにスチュワートは短い期間で優勝を勝ち取った。しかし,常に勝てるチームであっただろうか?答えはノーである。スチュワートは1勝のみでジャガーに買収され,トップチームになることはなかった。これはチームを全体的に強化するだけの資金と人員がなかったためだ。
 
 競争の激しい現代F1に於いて,組織の一部が優れているだけでは,常に優勝を狙えるトップチームになることはできない。一部の組織が突出してして強ければ,偶発的な勝利を得ることは可能かもしれない。しかし,それでは真のトップチームとはいえない。対するトヨタは組織の一部ではなく,組織の全てを少しずつ強化しているように思える。突出して何かが強いというわけではないが,だからといって決定的に劣っている部分もない。この運営方針こそが,初勝利を遠ざけている原因なのだろう。従ってトヨタが初優勝を果たす時は,すぐに2勝目を狙うことのできるトップチームになった時なのかもしれない。とは言えそれはいつになるのやら・・・。

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2006年8月15日 (火)

トヨタの目指すもの

 トヨタのGPMAからの脱退が昨日発表されたが,この件に関してはさほど驚きを持って捉えられてはいない。ルノーがGPMAから距離を置いた時点で,この組織の存在は希薄なものとなっていたのだし,2008年からの継続参戦が確約されている以上,トヨタがGPMAにとどまる理由もさして見あたらなかったのだろう。事実,トヨタとしては先日発表されたエンジン凍結案に対しては依然反対の姿勢を示しているものの,2012年までの新しいコンコルド協定については,近く同意する意向を示している。

 この発表の中でトヨタは自らの立場を,「技術的な挑戦の維持」と「独立チームに対する支援継続」という2点に加え,「地球環境およびF1メーカーを保護するために,技術的レギュレーションを提案」としている。先週のエンジン凍結案の中で,GPMAが新機軸のパワーユニットの導入についてのワーキンググループを発足させるという記事があった。この「新機軸のパワーユニット」とは,ハイブリッドエンジンのことと見て間違いないだろうが,すでにトヨタはFIAに対し,ハイブリッドエンジンに関する技術提供を行っている。このことから見ても,トヨタは未来に向けた技術開発の分野で,他メーカーをリードする立場を目指していることがよく分かる。

 トヨタはF1参戦にあたり莫大な資金を投入してきた。WRCを撤退してF1参戦の準備を着々と進め,その前線基地であったTTEを母体にTMGを設立。他チームをはるかにしのぐ莫大な資金と,550人以上と言われるスタッフのもとF1へのチャレンジを続けてきた。昨シーズンは,オフのテストが始まると同時に新車TF106をデビューさせ,モナコGPでは早くもTF106Bを投入するなど,他チームを凌駕する開発スピードを誇り,束の間の夏休みとなった現在でもファクトリーで開発を続けている。しかし,そのハードワークにもかかわらず,F1挑戦5年目に至っても勝利を挙げることができていないことに,チーム内外から苛立ちの声が上がっていることも事実である。

 トヨタは今後,どのような道を目指すのであろうか。先にも述べた「環境に配慮した新機軸パワーユニット」の開発においては,中心的な役割を果たしていくものと思われるが,それよりもまずほしいのは「初勝利」であろう。来年度からのウィリアムズへのエンジン供給に関しては,車体開発のノウハウを共有するとの話もある。ドイツ・ケルンを本拠地とするトヨタは,物的・人的な面から見てもその立地条件の中でのハンディもある。効率的なチーム運営をするためには,2008年からホンダがSAF1をBチーム化するように,トヨタもウィリアムズをBチーム化することも十分考えられる。いずれ未来の日本人F1候補生達が,そこからデビューする日が来るのかもしれない。

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2006年7月28日 (金)

ウィリアムズ・トヨタの不安

 トヨタが来シーズンからウィリアムズにエンジンを供給することが発表された。供給期間は3年間,トヨタワークスと同一スペックのエンジンが供給される。お金には厳しいウィリアムズのこと,一時はレクサスのバッジネームをつけることで無償供給を勝ち取ったとも噂されていたが,結局のところ年間1000万ユーロ程度の有償供給に落ち着いたようである。これにより今シーズントヨタエンジンを使用していたミッドランドは,コスワースエンジンを使用することになると考えられている。

 エンジンの性能は,成績を左右する大きなファクターであることは言うまでもない。ドライバー・シャシー・エンジンがバランスよくかみ合ったとき,好成績を上げられるチャンスがやってくる。ご多分に漏れず,ウィリアムズもエンジンにより成績の浮き沈みがはっきりとしていたチームである。ホンダ・ルノー・BMWなどのワークスエンジンを獲得したときは高い戦闘力を発揮しているが,ワークスを失うとジャッド・メカクローム(スーパーテック)・コスワースなどのカスタマーエンジンでしのぎ,上位浮上のチャンスをうかがってきた。

 そして今回のトヨタエンジン獲得である。自動車メーカーがすべて自チーム(メルセデスはマクラーレンに資本提携)を所有している現在,ワークス供給のエンジンが期待できるわけもない。今回ウィリアムズに供給されるエンジンもワークスと同性能とは言え,カスタマーエンジンであることは変わりない。今シーズンフェラーリエンジンを使用しているレッドブルが,性能調整をされたコスワースV10を搭載するトロ・ロッソとたいして変わらないのもある意味当然である。レッドブルは最新スペックを供給しないフェラーリエンジンを捨て,ルノーエンジンを獲得しようとしているのは周知の事実である。

 ここで不安なのが,来シーズンのウィリアムズ・トヨタで,同じことが起きないかということである。ウィリアムズは高い技術力と抜群のチームワークで長くF1界をリードしてきたトップチームであった。フランク・ウィリアムズ&パトリック・ヘッド&エイドリアン・ニューウィーががっちりとスクラムを組んでいた「常勝」ウィリアムズであれば問題ないが,ここ最近のウィリアムズはチームの成績不振を責任転嫁する傾向がはっきりと見られ,技術力だけでなく統率力の低下も目立っている。BMWと決別したことも,そのチーム力低下を認められない責任転嫁の体質が生み出してしまったものである。もう一度その体質を「カイゼン」し,来シーズンは持ち前の技術力でトヨタワークスを喰ってくれることを期待したい。

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2006年7月19日 (水)

トヨタの躍進とホンダの苦悩

 フランスGPが終わり,各チームはへレステストを行っている。先日行われたフランスGPでは,ファン-パブロ・モントーヤの電撃交代劇で急遽マクラーレンのレギュラーシートに座ったペドロ・デ・ラ・ロサがいきなりの7位入賞。ファステストタイムもフェラーリ勢2台に次ぐ3位,ミシュラン勢の中では最速をマークしその存在を大いにアピールした。優勝はアメリカGPに続きM・シューマッハ,戦略を2ストップに変更しフェリペ・マッサを抜き去ったルノーのフェルナンド・アロンソが2位と,チャンピオンシップ争いもいよいよこの2人に絞られた感がある。コンストラクターズ争いも,ルノーとフェラーリの差が21ポイント差までつまっており,セカンドドライバーのポイントが勝敗に大きく関わってくるだろう。

 ここに来て速さの目立ってきているのがトヨタである。4-5位からスタートした決勝では,ヤルノ・トゥルーリが4位走行中トラブルで惜しくもリタイアしたものの,ラルフ・シューマッハがルノー1台,マクラーレン2台を押さえ込み4位入賞を果たした。一発の速さはあるもののレースラップが遅いかつてのトヨタの姿はそこにはなかった。今シーズン序盤を戦ったTF106が昨年度終盤に投入したTF105Bの改良型であったのに対し,モナコGPから投入したTF106Bは,フロントサスペンションの改良,センターキールを排除,ボディー剛性の向上を図ったことにより,ここにきてその本来の性能を発揮してきている。

 対照的だったのがホンダである。予選・決勝を通じてのスピード不足はもちろんだが,チームから明るい雰囲気が伝わってこない。ドライバーや首脳陣から出るコメントも歯切れの悪いものばかりで,オールホンダになったことによる一体感がまるで伝わってこない。トヨタが組織の大幅な改革を行い,テクニカル・ディレクターの.マイク・ガスコインを更迭したように,ホンダもジェフ・ウィリスの「自宅待機」を命じてはみたものの,もちろんそれで全て解決されるものでもない。アメリカでは速度記録挑戦『ボンネビル400』を行っているが,そんなことに使う資金と時間があったら,現行マシンを少しでも早くしろというのが大方の意見だろう。

 佐藤琢磨が1周リタイア,フランク・モンタニーが16位完走という結果に終わったSAF1ではあったが,いよいよ待望のニューマシン「SA06」がシェイクダウンを向かえる。チーム関係者の話からニューマシンのおおよその概要は伝えられているのだが,その姿は今まで公開されたことはなかった。ところが今週月曜日にフランスのあるサイトにSA06と思われる画像がアップされ話題を呼んだ。この「SA06」,カラーリングは大幅に変更されているものの,細身のノーズコーンに続くモノコックは明らかにSA05の流用と見て取れる。インダクションポットやサイドポット上部のなで肩もSA05とほぼ同様であり,ノーズコーンに至ってはA23のもののようにも見える。サイドポットのデザインはV8用に縮小されたようにも見えるが,真贋の程は定かではない。

 いずれにせよSA06は,今日明日中にもシルバーストーンの南コースでシェイクダウンされる予定である。ドイツGPまでにどれだけの距離を走行できるかは未定だが,SA05同様レース=テストでは新車を完成させた意味がない。ホンダから大幅な技術協力を得たとは言え,空力に関してはチーム独自のアプローチをしているとも伝えられている。速さを取り戻しつつあるトヨタと,泥沼にはまっているホンダ。ニューマシンを手にしたSAF1の未来はどちらになるのか,全ては2週間後,ドイツGPの舞台ホッケンハイムリンクで明らかになるであろう。

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