「国内最高峰」の変革
「終わりよければすべてよし」という言葉があるように,どの様な過程があろうとも,最終的にスッキリする形で物事が終われば,嫌な思いをする人間も少ない。しかし,それまでどんなに素晴らしい戦いが展開されようとも,最後の最後でトラブルが起きてしまえば,「後味の悪さ」だけが残ることとなる。ブラジルGPでの「燃料温度問題」に対し,国際控訴裁判所がマクラーレンの控訴を却下したことで,キミ・ライコネンのチャンピオンがようやく確定したが,もしこの控訴が認められルイス・ハミルトンが逆転チャンピオンになろうものなら,今季数々のスキャンダルに見舞われたF1のイメージは,取り返しのつかないほど凋落したことだろう。
日本でも今日,鈴鹿サーキットを舞台に,もうひとつのチャンピオン決定戦が行われた。「国内最高峰」フォーミュラ・ニッポンのタイトル決定戦である。そしてここにも,後味の悪さが残る結末が待ち受けていた。インパルのブノア・トレルイエと松田次生,ナカジマ・レーシングの小暮卓史による三つ巴の戦いは,小暮が優勝を飾り大逆転のチャンピオンを決めたかに思えた。しかし,レース終了から2時間後,マシンのスキッドブロック違反により小暮に失格の判定が下った。これにより,4位に繰り上がった松田がリタイアに終わったトレルイエを上回り,1点差で再逆転のチャンピオンとなったのだ。
どのような形であれ違反は違反。そこに感情が入る余地はない。しかし,今まで繰り広げられてきた白熱の戦いが,僅か数ミリの狂いにより決まってしまったことには,小暮本人はもちろん多くの関係者やファンも失望していることだろう。小暮は今月20日に,今季インディ・プロシリーズを戦った武藤英紀と共に,SAF1でのF1初走行を控えていた。武藤が来季IRLにアンドレッティ・グリーン・レーシングからフル参戦するのに対し,小暮の来季に関してはまだ何の発表もない。小暮としてもF-NIPPONのチャンピオンを手土産に,F1へのステップアップを目指したかったに違いない。しかしそれも今となっては,叶わぬ夢となってしまうのだろうか。
チャンピオンがF1へとステップアップ出来ない状況が続いているF-NIPPONは,一体これからどの様な道を歩むことになるのだろうか。F-NIPPONの統括団体であるJRPは,2009年から現行のローラFN06に変わりスウィフト・シャシーと新エンジンの導入を決定。「日本独自のトップカテゴリーとして地位を確立し,アジア・パシフィック地域を代表するレースを構築する」としている。GP2がF1へのステップアップカテゴリーとして不動の地位を築いている今,F-NIPPONは独自路線を歩むことを決断したのである。エイドリアン・スーティル,中嶋一貴ら全日本F3出身者が次々とF1へとステップアップしていく中,「国内最高峰」のF-NIPPONにも大きな変革が迫っている。
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