2007年2月22日 (木)

狸と狐の新たな噂

 狸と狐は,人や物に化けることができる「変化の術」を使うと,日本民話の世界では言われている。狸と狐に関するエピソードは非常に多く,それぞれが異なる性格の動物として描かれている。魑魅魍魎が棲むF1界にも,もちろん狸と狐は暮らしている。長くF1界に住み続けている古狸,マクラーレンのロン・デニス代表と,F1界と外界を行ったり来たりしている狐,プロドライブのデイビッド・リチャーズ代表である。お互い腹の内を見せることのないこの二人に関する話題は,以前「狐と狸の化かし合い」で書いたが,今回はこの狸と狐が新しい動きを始めたようである。

 まず,デニス代表に関しては,「プロドライブを買収するのではないか」という噂が出ている。周知の通りプロドライブは,2008年からのF1参戦に向け準備を進めている。プロドライブは来季からカスタマー・シャシー制が始まる事を前提として,マクラーレンとメルセデスからシャシーとエンジンの供給を受けるものとされている。しかし将来的には,このチームをデニス代表が買い取り,マクラーレンからは手を引くのではないかというものである。この噂の背景として,マクラーレンの株式はダイムラー・クライスラーと,バーレーン政府の持株会社であるムムタラカトがその大半を占めており,デニス代表が「マクラーレンへの関心を失いつつある」と報じている。

 一方リチャーズ代表には,「アストン・マーチンを買収するのではないか」という噂がある。世界的に有名なスポーツカー・ブランドであるアストン・マーチンは,現在フォードの支配下にあるが,これをフォードが競売にかけている。その競売に,リチャーズ代表が投資家と組んで入札しようと言うのである。元々プロドライブとアストン・マーチンとは深いつながりがあり,スポーツカー・カテゴリーで速さを発揮している「DBR9」の製作を請け負っている。しかし,この競売入札価格は9億ドル(約1100億円!!)とも言われており,これほどの巨額の買収となれば,プロドライブだけでどうこうできる規模ではない。以前噂になった「F1参戦権の売却」も,これと結びつけられるだろう。

 プロドライブが何のためにF1参戦を目論んでいるのか,その意図が今ひとつ掴みきれなかったが,今回の噂はこれを解決してくれるかもしれない。もちろん二つの話はあくまで噂であり,真相はまた別のところにあるのかもしれない。しかし,「火のない所に煙は立たない」と言われるように,マクラーレン,プロドライブ,アストン・マーチンの間に,何らかの動きがあることだけは確かなことであろう。リチャーズ代表とデニス代表の決定的な違いは,F1を「より大きな利益を生み出すビジネス」とだけ見ているか,そうでないかの差である。果たしてどう転ぶのか,色々と興味のある噂である。

参照リンク:@nifty F1通信

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2006年10月15日 (日)

狐と狸の化かし合い

 子どもにおもちゃをねだられ買い与えても,すぐにガラクタにしてしまう。せっかく手に入れた物でも,飽きてしまえばあとは用無しでなのだろう。しかしこれがF1参戦権となると,ずいぶん話は変わってくる。2008年からのF1参戦権を勝ち取ったプロドライブが,その権利を売却するのではないかという噂が立っている。プロドライブといえば,前B.A.R代表のデイビッド・リチャーズ氏が率いるレース屋で,かつてはF1だけでなくBTCCやWRCでタイトルを獲得するなど,幅広くレース活動を展開してきた。そのリチャーズ氏が再びF1界に戻ってくるためには,思いの外多くの障害が待ち受けていた。

 今シーズンはじめに行われた2008年からのF1参戦エントリーには,22チームもの申し入れがあった。既存11チーム以外には,昨年度までミナルディの代表を務めていた,ポール・ストッダート氏や,元ジョーダンのオーナーであったエディー・ジョーダン氏,元フェラーリドライバーのエディー・アーバイン氏など,F1に関わりの深い人物から,ART,ディレクシブなどのGP2チーム,そして,ロシアやアラブの大富豪まで,実にバラエティーに富んだ顔ぶれが並んだ。しかし,最終的に参戦権を獲得したのは,プロドライブだった。FIAとしても,過去に実績のあるプロドライブであれば,継続参戦の問題はないと考えたのだ。

 参戦権を獲得したプロドライブは,イギリスのウォリックシャー州にファクトリー建設の準備を進める一方で,カスタマーシャシーとエンジンの確保を進めていた。当初はシャシーを自社開発する意向でいたが,その後マクラーレン製シャシーとメルセデスエンジンを使用できるよう,マクラーレンとの交渉を続けていた。しかし,プロドライブ側が最新スペックのシャシー&エンジンをマクラーレンに求めたのに対し,マクラーレン側は,プロドライブに完全なるサテライトチームになることを求めたと伝えられた。この思惑の違いが,今回の参戦権売却話へと発展したのだろう。

 とは言えこの話,リチャーズ氏が交渉を有利に進めるための「ネタ」である可能性が強い。そもそもF1参戦権が,そう簡単に売却されることなどあるのだろうか?いくら資金をつぎ込んででも獲得したい者はいるだろうが,それをFIAが許すわけがない。参戦に当たっては,企業の規模や資金,過去の実績からチームの技術力まで数々の審査があっただろうし,右から左へと譲渡できるものではないだろう。子どものおもちゃとは訳が違うのだ。ホンダがSAF1と,トヨタがウィリアムズと,さらにはフェラーリがスパイカーとの連携を強める中で,ロン・デニス代表としてもサテライトチームは喉から手が出るほどほしいだろう。さてさて,リチャーズ狐とデニス狸の化かし合いが見物である。

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