TDP三銃士三様の1年
1年という時間を長いと考えるか短いと考えるかは,その人の捉え方しだいである。しかし,1000分の1秒を争うモータースポーツの世界に於いて,1年という時間は人生を大きく左右させるのに十分な時間である。ちょうど1年前,未来のF1ドライバーを目指し,共に激戦のユーロF3を戦った3人の若者がいた。ユーロ初参戦での光る走りが認められ,名門ウィリアムズのテストドライバーに抜擢された中嶋一貴。2年目のユーロを3位で終え,GP2へのステップアップを果たした平手晃平。フォーミュラ・ルノーのタイトルを手土産にユーロに参戦し,マカオGPではPPも獲得した小林可夢偉。それぞれが着実に結果を残し,次なる目標に向け羽ばたき始めた時であった。
あれから1年。3人を取り巻く状況は,大きく変わり始めている。まず,何と言っても最大の成功者は,来季からウィリアムズのでF1フル参戦を果たす一貴であろう。今季の一貴はDAMSからGP2に参戦し,ルーキー最上位のランキング5位という結果を残した。当初は来季もGP2に参戦し,今季果たせなかった勝利とタイトルを狙うものと思われていたが,事実上の「テスト参戦」となった最終戦ブラジルGPでの走りが認められ,ついに念願のレギュラーシートを獲得した。GP2未勝利の一貴に対し,「レギュラードライバーになるには経験が足りない」との声もあるが,そこは適応力の高い一貴のこと。きっと来季は,我々を驚かせてくれる活躍をしてくれることだろう。
一貴が夢への階段を一気に駆け上がったのに対し,不本意な形でヨーロッパを後にしたのが晃平である。トライデントからGP2に参戦した晃平だったが,わずか9ポイントのランキング19位でシーズンを終えた。不振の原因は,チームスタッフとのコミュニケーション不足。と言っても,これは晃平だけの責任ではなく,彼の言うことを聞こうとしなかったチームにも問題がありそうだ。もちろん,与えられた環境で最大限の成果を発揮しなければ,次へのステップに繋がらないのだが,せめてあと1年チャンスが与えられなかったのかとも思う。ただ,晃平はまだ21歳と若い。次なるステップに向け,来季は日本での復活を期待したい。
最後は2年目となるユーロF3で,タイトル獲得を狙った可夢偉。しかしその可夢偉も,今季は不完全燃焼の1年となってしまった。マニクールで待望のユーロF3初優勝を挙げたものの,トラブルやアクシデントで結果に結びつかないレースが幾度となく続き,最終的にランキングは4位。それでも来季はGP2への参戦が確実とされており,既にARTやDAMSでテストも行っている。順当に行けば,トヨタのテストドライバーも務めるはずであり,「トヨタの秘蔵っ子」とも言われる可夢偉の未来は明るい。今季の彼に残された仕事は,マカオGPでF3の総決算をすることである。TDP三銃士にとっては三者三様の1年だったが,来年の今頃はまた違った人生が見られるのだろう。
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